「二転三転」ARGYLLE アーガイル U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
二転三転
若干の混乱を伴うが面白かった。
現実のスパイ組織とリンクする小説。この作家が預言者云々の件はミスリードだとしても、その記憶こそが鍵とか…どうにもまどろっこしい脚本ではある。
その記憶を呼び起こす為に、5年の月日を費やし、ベストセラーさながらの話題を呼ぶ。
呑み込むに苦労する設定だった。
なのだが、細部はホントに凝っていて…現実と空想のキャラが入れ替わるアクションは楽しいし、まぁ見事な編集だ。
主人公の立ち位置がややこしくて…おそらくなら敵側のスパイで潜入任務についていたが、元の組織を裏切る過程だったのだろうと思われる。
マスターファイルなる組織の全貌が記されてあるファイルを潜入先の組織に流し、元の組織を壊滅させる意図だったようだけど…その作戦の途中で記憶の操作が行われるのかな。
この洗脳の過程にも疑問はなくはないのだけれど…まぁ本筋ではないし目を瞑るかって感じ。
本人は創作のつもりが、過去の記憶を辿り文字に起こしているってのが真相で…そこを結びつけるアレコレも楽しかったなぁ。
コメディ色が強くテンポがいいから、気持ちよく見てられもするのだけれど、後半になり少々グダる。
カラフルなスモークは「キングスマン」へのオマージュでいいのだけれど、甲板でのアクションはくどかったかなぁ。説明台詞も多かったしな。
とはいえ、スケーティングもスモークも洒落てて面白かった。原油の床で回転しながら銃をぶっ放すってのはどうかと思うが、ビジュアルは良かったなぁ。
で、ファイルを送信して、基地である船ごと爆破するって事になるのだけれど…もう組織は壊滅状態だよね。わざわざファイルを送信する理由もなくなったかのように思われる。
ああ、アレは組織の一角だったのかな。
となると、カイルの戦いはまだ続くのかもしれない。
ラストにはアーガイルまで現実に出てきて…まぁ、それはカイルの想像の中のアーガイルと瓜二つって事なのだけど、お話のコンセプトが「カイルの記憶を呼び起こす」って事だから、次作への布石なのかもしれない。
キングスマンに連なるオマケもあったりして…何気にこのシリーズは大好きなのである。