「ヴォーン監督のお茶目なスパイ映画健在!」ARGYLLE アーガイル 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
ヴォーン監督のお茶目なスパイ映画健在!
予告編を初めて観たときから、「楽しそう」を期待させてくれた。監督が、大好きなキングスマンシリーズのマシュー・ヴォーン監督と知ってますます楽しみにしていた。
【物語】
エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)は人気女流作家。すご腕エージェントのアーガイル(ヘンリー・カヴィル)が活躍するスパイ小説が大ヒットし、既に4作が刊行されている。
5作目も既に完成が近づいていたが、初稿を遠方の母親に送ると「面白いが、重大なことを先送りにする結末が拙い。1章追加して完結させるべき」と言われる。「こうご期待よ」と返答したものの、まだ次の展開を考えられていないエリーは気になりアイデアのヒントをもらうことを兼ねて実家に帰省することにする。
愛猫のアルフィーを連れて実家に向かう列車の中で、前の席に座ったエイダンと名乗る男(サム・ロックウェル)に声を掛けられる。彼女の小説を手にしたエイダンは彼女に気付きファンだと言う。さらには仕事はスパイだと言い出すが、信じないエリーに突如見知らぬ男たちが次々と襲いかかる。エイダンが信じられない身のこなしでエリーを守り、ついには走る列車から2人は脱出する。
エイダンによればエリーの書いた小説が本物のスパイ組織が関わる出来事と一致していることから、予言者としてスパイ組織に狙われているのだという。エイダンを頼るしかないエリーは彼と行動を共にするが、予期せぬことが次々と起こる。
【感想】
テイストは“キングスマン”シリーズそのまま。 実に楽しい!
“キングスマン”シリーズを観ていない人のために、どんな作品か説明しよう(自分のレビューから引用)。
・“ミッション・インポッシブル”・“007”がスパイ映画の王道とするならば、相当脇道にそれてる(笑)
・意外性のある展開と思いっ切り“くだけた”面白さ
・アクションのど派手さ。 スタントが凄いとかいうことではなく見た目の派手さ!(笑)
・キーワードは、「ど派手」「ハチャメチャ」「痛快」
ほぼほぼそのまま本作にも当てはまる。
違いと言えば、キングスマンのアジトは表向き英国紳士服店ということもあり、コリンファースを代表とするとても“オシャレ”というもう1つのキーワードが有ったのだけど、ちょっとそれは薄れている。逆にACTIONについてはグレードアップ。 特に冒頭の女スパイのバイク爆走シーンはミッション・インポッシブル、007ばりの凄さでワクワクした。
もう1つ本作で優れているのは主人公エリーの設定というか全体構成のアイデア。
ネタバレになるので、具体的に書けないのだけど、「そういうことか!」となる秀逸さ。
序盤にあるエリーの会見シーンにもナイスな伏線があることが後で分かる。
ただ、ちょっと残念な部分も。
前半は上述誉め言葉全開で文句無しに面白く、後半に期待が高まったが、後半はやや失速気味。その大きな理由はエリーのキャスティング。ネタバレを気にするとこれも書けなくてもどかしいのだが、前半についてはブライス・ダラス・ハワードはこれ以上ないくらい、エリ―にハマっている。が、後半エリーの活躍の仕方に変化があるのだけど、これが全く持って無理があった。サッカーに例えれば、前半戦はセンターフォワードが獅子奮迅の活躍で2ゴール、サポーターも大興奮だったけど、作戦を変えた後半戦はセンターフォワードがチームの足を引っ張り、「早く替えろ」の大ブーイングを浴びるくらいの落差。
俺的には後半戦の作戦を考えたら、別のキャスティングにして欲しかった。
という減点要素もあるけど、全体としては十分楽しめる。