「主役は…どーなの」ARGYLLE アーガイル キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
主役は…どーなの
もちろんマシュー・ボーンの過去作には大好きなものが多いし、ブライス・ダラス・ハワードは好きな女優だし。
で、大好きなスパイ映画ときたら。
というワケで劇場へ。
結果から言うと「もう少し」でした。
全体はかなりコメディに振り切っているので、あまりリアリティを意識しないでポンポン進んで欲しいのに、所々でたいしたシーンでもないのに変な「タメ」があったり、説明がダラダラ始まったり。
後半はケレン味が暴走して、『キングスマン』の1作目クライマックスをイメージさせるカラフルでゴージャスな共同カタルシスからの、上乗せでアーガイル単独ステージ。
本来、この辺りはファンである私も楽しみにしていたシーンであったはずが、それほどノれなかった。
「ルッキズム」と言われたら反論の余地もないが、あれだけのアクションをさせる女性主人公に、ブライス・ダラス・ハワードはやはり無理がある。
もちろんその「ギャップ」で魅せるという感じも解るが、それには彼女は絶妙に中途半端なのでは…?
クロエ・グレース・モレッツに似てるので、不意にそっちでのエリーを想像してしまうと、「これじゃない感」が強調される。
だから、ここでのキャスティングは「絶妙に違う」って感じてしまった。
いや、好きな女優さんなだけに、違和感ばかりが目立ってもったいないなということです。
「スパイもの」らしい、アクションや裏切り、ギミックやどんでん返し、「マシューボーン作品」らしい、ポップな音楽に乗せた大殺戮、クラシカルと最新テクノロジーの融合など、見たかったものが盛りだくさんに詰め込まれてはいたんだけど、逆にそのせいで物語全般が散漫になった感じは否めない。
ま、Apple TV配信なので、観られる人はまた二度、三度と観て「あれ、だれだっけ?」と確認するのは楽しいかもね。