「どうしたマシュー!つまらんぞヴォーン!」ARGYLLE アーガイル jin-inuさんの映画レビュー(感想・評価)
どうしたマシュー!つまらんぞヴォーン!
スパイ小説シリーズを執筆中の中年女性作家、エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)。小説はベストセラーのようだが、生活は地味で話し相手はペットの猫と遠くの母親。実家への帰省の途中の列車の中で、自分のファンだという男、エイデン・ワイルド( サム・ロックウェル)と知り合い、実はエイデンは本物のスパイで、エリーもスパイ同士の抗争に巻き込まれ…。
という始まりなんですが、敵と戦うエイデンがエリーには創作上の主人公であるエージェント・アーガイルと重なって見えていたり、他の乗客がドンパチに全く無反応であったり、このシーンははたして映画の中の現実なのか、エリーの脳内妄想なのか。などと考えることが馬鹿らしくなります。ストーリーの構造は複雑ですが演出が雑。
本作はスパイ映画のストーリーに映画中のスパイ小説の原作者とストーリーが絡んでくるという入れ子構造、メタフィクションですが、その理由が明かされた中盤以降、映画の面白さは一気に萎えてしまいます。たださえないおばさんとさえないおじさんが真面目にアクションを頑張っているだけのダサいシリアスシーンの連続に、周囲からため息が聞こえてきました。大乱闘殺戮ダンスも既視感ある上にスケールダウンしてるし。
中年女性作家が実は凄腕スパイだったって設定にするなら、5年間のブランクで体重も増えて腕もなまってしまって、アクションはイマイチ、でも頭は切れるのでエイデンとのチームワークで敵を倒して、みたいなコメディタッチのほうが良かったのでは?猫の使い方ももうひとつぱっとしません。英国伝統の動物虐待ギャグも歯切れが悪い。
もうスパイ映画にもマシュー・ヴォーンにも、期待はできないかも知れませんね。キングスマンも面白いの1作目だけだったし。アイディアもセンスも枯渇してしまったのでしょうか。