「全てを見ているカフェ店員は、この行く末を正確に言い当ててしまいそう」違う惑星の変な恋人 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
全てを見ているカフェ店員は、この行く末を正確に言い当ててしまいそう
2024.2.1 アップリンク京都
2024年の日本映画(116分、G)
拗れた四角関係を紡ぐラブコメ映画
監督&脚本は木村聡志
物語の舞台は都内某所
この美容院で働き始めて3ヶ月になるむっちゃんこと玉山むつみ(莉子)は、あるきっかけで先輩のグリコ(筧美和子)と共通の話題ができた
グリコの誘いでシモキタにあるライブハウスに行くことになったむっちゃんは、そこでナカヤマシューコ(みらん)が所属しているレコード会社の社員・浅井ことベンジー(中島歩)と出会いを果たす
名刺をもらい浮かれ気分で家路に着いたむっちゃんだったが、彼はナカヤマシューコと関係を持っていた
グリコには元カレのモー(綱啓永)がいて、同棲時の荷物がまた置き去りにされていた
モーは飛び込みで美容室を訪れ、そこでカットしてもらうのだが、同時に荷物の引き上げを告げて帰る
そこでグリコはむっちゃんを引き連れてモーの部屋に行くことになり、隙を見て二人きりにさせる作戦に出るのである
物語は、好きの矢印がバラバラな4人を描き、そのベクトルをどうにかしようと作戦会議が行われる様子が描かれていく
脱力系の会話劇になっていて、それぞれの噛み合わなさを堪能する映画なのだが、この不毛な会話劇を楽しめるかどうかが鍵になっている
4人の会話の箸休めとして、モーのボウリング仲間の柱谷(村田凪)と井原(金野美穂)が登場したり、グリコの偵察先のカフェの店員・澤(坂ノ上茜)とのやりとりもシュールすぎて吹いてしまう
個人的にはツボが多い作品で大好きだが、物語派は遅々として進まない話と、終着点が結構はっきりしているので面白みを感じないかもしれません
いずれにせよ、戦犯ベンジーにかき乱されている4人なのだが、ベンジーが憎めないキャラというところが救いだろうか
配役が絶妙で、新しいベクトルになりそうでならないところも良いと思う
それぞれが恋愛の相手に対するこだわりがあって、それが別の相手ではダメなので、いつまでも平行線(ループ)を辿ってしまうように思えた
個人的にはカフェ店員の空気読めない感じがツボで、彼女から見た4人がどのような妄想でつながったのかが気になってしまう
当然、ナカヤマシューコを連れてきた場所でもあるので、どこかから覗き見して、あらぬ物語を作り上げているのではないだろうか