「大人によるアニメ」リンダはチキンがたべたい! ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
大人によるアニメ
今の日本ではほぼ確実に作られることがないタイプのアニメ映画。
主人公が子供であっても、ちゃんと大人たちの葛藤があり、背後に社会の現実があり、軽やかなユーモアがある。あとなぜか歌もある(ミュージカル)。
だから表現上アニメであっても、中味は実写と変わらないだけのドラマが描かれる。もちろんアニメ的な飛躍が可能だからこその展開もある。
これがパッケージとしてどの程度受容されているのか、ビジネスが成立してるのかは、よくわからないけど、文化としてのアニメの可能性は感じることができた。
舞台はフランスの郊外のようだけど、われわれが想像する優雅な生活ではなく、おそらく移民とか貧困などが理由で団地に住んでいる多様な人々と子供たち。ちゃんと現実の社会が反映されている。
「幸福路のチー」もそうだったけど、ちゃんと背景に社会とか歴史の連続性とかの手応えがあった。
日本みたいに「大人が子供心のまま楽しめる」みたいなタイプのアニメじゃない。
……というか、少なくとも私の知っている範囲でそういう頭を空っぽにしたい観客層をターゲットにしたアニメ映画って日本しかないのでは(ロシャオヘイは貴重な例外かも)?
まあエンタメ系のアニメはほぼアメリカと日本に独占されてて、現状アート系しかないということかな。
逆に日本ではアート系の長編がほとんど観られない気もするし。
ふつう大人になった制作者がアニメを作ろうとすると、どうしてもそういうテーマとか目線を内包してしまうのが普通で、逆に日本ではドラマでもそういう動機の空虚さが平常運転だからなぁ。。
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