「チキンが食べたいリンダが素敵!」リンダはチキンがたべたい! sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)
チキンが食べたいリンダが素敵!
まずアニメーションが素晴らしい。
ラフなタッチなんだけども、、これ見ないとわからないと思うんだけど、我々が実際に目にするような、動き、光、イメージを見事に再現していて、それを見るだけで楽しかった。
夜の道を走る車の中が、街灯の下をくぐるたびに明るくなったり暗くなったりする様子とか、その車の窓から見える景色の中を流れる街の灯りとか、思わずハッと息を飲むほどに鮮やかで。
あと主人公リンダが、、こんなに可愛いとは!
宣伝に使われてるトップの絵じゃ伝わらないんじゃないかなあ。。
パンフの表紙の絵はすごく感じがでてるんだけど。
とにかく子供らしく傍若無人というか、元気に思った通りにしゃべったり行動したりするんだけど、まるで悪意がなくて、すがすがしくて微笑ましい。
それを言ったらお母さんもそうなんだけど。
ただ、元気で大らかで、基本サバサバしてる彼らなんだけど、常にどこか切ない空気が漂っている。
どうしてそう感じるのか不思議なんだけど。
お父さんがいないのは最初からわかってて、それを特に苦にしてるようなエピソードもセリフもないんだけど、本来いるはずの人がいない寂しさが、微かに香るほどに、けれども確実に、感じられる。
その寂しさは、リンダが今日絶対にチキンが食べたいという気持ちと、理屈はうまく説明できないけど、つながってるんだと思う。
お母さんもそれをわかってる。
だから、彼らがなぜあんなに頑張るのかわかる気がしたし、自然と彼らを応援する気になった。
そしてラスト。
これもなんか、あからさまではないんだけど、何故かとても暖かくて、幸福感に溢れていて。
こんな日々を送っていきたいもんだと、なんかこう、心の底からそういう気持ちを不思議に掘り起こされるような映画だった。
最後に、、ニワトリ目線で考えると、ちょっとだけ悲しいですね。
あんなに一生懸命逃げたのにTT(笑)。