ロボット・ドリームズのレビュー・感想・評価
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すべてのヒトに
舞台は1980年代のニューヨーク。
何も知らずに見たので、あとから、なるほどなぁと想うところ多々あり。
なぜなら、今ならSNSだって、YouTubeだってあるのだから、不便だからせつないシーンが胸をよぎる。
3匹の鳥が巣立つ当たりから、だだ涙。
見終わってから、これはビジュアルが人間じゃないから、こんなにも暖かい気持ちで見れたのかなと思う。
1人が寂しいことも、スキー場での意地悪なシーンも、ダックさんとのコトも、生きていればふつーによくあること。
これは人生そのもののお話。
なのに、ビジュアルが人間でないというだけで、こんなにも、すうッと素直に観ていられた。実にうまい作品。セリフが無い分、音楽も素晴らしい。世界中のヒトに観てほしい。
ラストがうるうる、シンプルなキャラがステキすぎる
記憶のどこかの隙間に刺さる
愛くるしく、苦しい映画。
誰かの記憶にきっとある、
孤独で死んだ目状態も、友人やパートナーとのはっちゃけも、別れを余儀なくされることも、うざいカップルとのいざこざも、やたらグローバルなやつとの接近も、ボーリングで笑われたことも、自分が代替可能であることの不安も、新しい出会いも、元カレ元カノが今の自分を形成していることも、、、様々なシーンが様々人のどこかの記憶に刺さり、そしてその後の人生を肯定してくれるような作品。
台詞と性別が無いことで、視聴者それぞれのあの時の台詞やあの時言って欲しかった言葉が脳内で再生されるような作りになっているのではないだろうか。
ツインタワーが映るニューヨークで『9月をおもぼえてる?』は強制的に別れることとなった人を想起させ、よりテーマ的の質量を高めていた。
ラストダンスのスプリットスクリーンでリンクする二人は最高。感情をぐちゃぐちゃにされた。
巧くはないけど丁寧に作られていて、ポップだけどウェットで、しんどいけど楽しい本当に愛おしい本作。
集中してみることが、絶対条件なので映画館でみることは必須ですし、観た人が歩んだ人生によって感想も変わるので、もし、いっしょに語らう人がいるなら是非共に劇場で鑑賞することをオススメします。
その機械人形は人生の夢を見る
おっさんロボット
うわーー。
そりゃさ、俺だってもう一度遊びに行きたい友達居るし、またあの時間を一緒に過ごしたい女の子だって居るし、も一度抱きしめたいペットだって居ますよ。
大好きだったおばあちゃんもさ。
でももう会えないんだよな。
人生と時間の流れは時に残酷で、現実を突きつける。
でも、人って忘れたり諦めたりする生き物だから次を見つけちゃうんだよな。
軽くていい加減だけど、そうで無きゃ毎回自殺してるだろしね。
人間の気持ちなんてロボットみたいに重くないし、頑丈でも無い。
でもこの映画見て思った。
俺はロボットだ。安アパートで安酒のんで、映画館と安飲み屋行くだけの週末だけど、あの時の思いはメモリーに保存だけして今をそれなりにハッピーに生活してるよ。
今日はアニメの良い映画を見たんだよ、あの頃の皆んな。
ぬくもりに満ちた映画の魔法に包まれる愛着と親近感
孤独を知るすべての人へ贈りたい切なくも心温まる傑作。そうした、現代社会とりわけ大都会におけるそれ。季節の流れを感じ四季折々丁寧に綴られる生活模様と、セリフがない分も重要な役割を果たす音楽が印象的・効果的に使われては作品を彩る、魔法のような102分に恋する。また人生で大切にしたい作品に出逢えたかけがえのなさ。
本作は単なる友情モノである以上に、(手をつなぐというモチーフや助けようとするシーンなどに象徴されるように)80年代ゲイカップルのラブストーリーである。ただ、それでも深い部分で他人事じゃないように感じられた。どうしようもなく押し寄せてくる寂しさ、愛され方もわからず世界にたった一人このまま誰にも愛されることなくただ日々が虚しく流れすぎていくのではないかという漠然とした恐怖…。たとえ誰かと親しくなれたって、不器用に献身的な自分なんて他の人と替えのきく代替品のような存在でしかない、と。流石によすぎてこれは言葉にできないし、引きずる。
ベタ塗りでも奥行きの感じる画作りに、美しく素晴らしいアニメーションと素敵なドラマ。実写もアニメも関係なく、監督の演出が心に沁み渡ってはいつまでも反芻するように残る。しっかりと作り手の温度と制作意図を感じる。胸締め付けられて、最後は突然自分の中で何かが爆発したように、嗚咽するくらい大号泣してしまった…。
♪September
セプテンバーの使い方が最初は(温かな感じはもちろんありつつ)純粋に盛り上がれる曲として流れているのが、話が進んで再び流れるときには歌詞の内容にマッチした切ないものになっているのが効果的で、すごく良かった。だから入場特典がカレンダーなのも納得頷ける。『オズの魔法使』のブリキ男tin manでもあるロボット。
言葉を必要としない映像表現の賜物。ここには『裏窓』のような都会の孤独も、『トイ・ストーリー』が作品を追うごとに描いたオモチャ(玩具=人間以外のもの)との別れも、『ラースと、その彼女』や『her』のように人間以外のものに対する恋愛も、『ブロークバック・マウンテン』のような障壁の多い無理解な時代における愛する相手をせっかく見つけても離れ離れになる不在期間も、そのすべてがある。
勝手に関連作品『オズの魔法使』『トイ・ストーリー(2, 3)』『ラースと、その彼女』『her』『スノーマン』『裏窓』『パスト・ライブス』『ブロークバック・マウンテン』『ロスト・イン・トランスレーション』『最強のふたり』
せつないね
ひとりぼっちのドッグのところにロボットが来てから幸せそうで微笑ましかった。手を強く握られて驚いた後で、そっと手を繋いで。とっても素敵なシーン。
ずっと楽しそうな2人を観ていたかったけれど。
自分では絶対作れはしないけど、すごくシンプルだったから心配していたら、ああやっぱり。
ドッグが焦りと不安と寂しさの入り混じった表情をするから、つられて泣きそうに。
その後は期待していたのと違う方向に進んで行くけれど、お互いに再会を夢見て過ごしていて、ドッグは新しい友だちを作ろうとするも、ロボット以上にならないのがたまらなく愛おしい。
何度ももう騙されないぞと思いつつ、後半さらに思いもよらない方向に。
2人思い出の『September』がかかった後の交差点のシーンが切なくて涙が出てしまった。
きっとまた観たくなる、けど耐えられるかなぁ。
証明写真ステッカー売り切れだった。
もしも友達が難病になってしまったら
冒頭、部屋で一人、黙々と死んだ目でゲームをプレイするドッグ。
腹が減ったら、わびしく孤食。
チラッと目にしたカップルに対して、羨望の眼差し。
まるでいつもの自分を見ているようで、映画が始まって数分で胸が苦しくなった。
世界観は『ズートピア』+『デトロイト ビカム ヒューマン』。
ロボットは持ち主によって「親友」になることもあれば、「奴隷」として扱われることもありそう。
横を通る車の中で虐待されているロボットの、訴えかけてくる表情が心に残った。
ロボットと友達になり、幸せを手に入れたドッグ。
ところが、遊びに行った海水浴場でロボットが故障。
重すぎて運べず、泣く泣くロボットを海水浴場に放置したまま帰宅するドッグ。
そのまま海水浴場は閉鎖。
会えなくなる二人。
この後、『ロボット・ドリームズ』の意味を理解して戦慄。
夢の中では自由の身、夢から覚めたら残酷な現実。
最近でいえば『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』、昔でいえば『ダンサー・イン・ザ・ダーク』みたいな演出。
こういうのに弱い人間なので、ここら辺から話に一気に引き込まれてしまった。
ロボットが故障する場面を見て、昔、入院中に感染症になり、全身麻痺みたいになった時のことを思い出した。
首から上しか動かせないロボットの姿が、あの頃の自分そっくり。
「周りからされるがまま」な感じも、身に覚えがありすぎる。
お見舞いに来る人間がいなくて(友達がゼロだから仕方ないけど)、毎日孤独との戦い。
世間話する相手がいないまま数ヶ月が経った結果、だんだんとノイローゼ気味になり、病室に一人でいると勝手に涙が溢れ出てしまう体質になり、ずっとひっそりとメソメソ泣いていた、そんな日々だった。
海水浴場でずっと一人ぼっちのロボットを見ていて、闘病で辛かった時期の記憶が蘇ってしまい、映画を観ながら目からオイルが止まらなくなってしまった。
こんな中盤の場面で号泣している人間は、たぶん世界中で自分だけかも。
一方その頃、ドッグの方はロボットがいなくてもわりと平気なようで、活発にアウトドアに励む姿に困惑。
一人でスキーに行くなんて、ソロ活としては上級者。
ハロウィンで頑張って子供たちを驚かせようと奮闘するドッグ、それに対し「そういうのいいから早く出すもの出して」と言いたげな表情の子供たちの冷め切った表情が印象的。
冷蔵庫に貼られたロボットに関するメモが、存在感を失っていく演出が切ない。
後半のロボットを見て、「移植」のことを思い出した。
終盤は音楽の雰囲気も相まって、『ラ・ラ・ランド』のラストみたいで苦かった。
しょうもない余談。
映画を観終わった帰り道。
回想しながら田舎道を歩いていたら、感情がぶり返してきて、涙が溢れ出す始末。
そんな中、普段は来ない映画館だったため、途中で道に迷ってしまいあたふたしていたところ、畑にいたおじさんから突然「あんた大丈夫?本当に大丈夫?」と声をかけられてしまった。
全力で「大丈夫です!」と言って、一目散にその場を立ち去る。
道に迷って泣いている人に見えたのかな?
今思うと恥ずかしい。
ホワッとしてるのに凄い作品なのは伝わる!
ブラウン管テレビでするシンプルなTVゲーム、スマホはおろか携帯電話さえ普及していない時代背景から推察するにおそらく年代的には1970〜80年くらいの都市部(大都会)の設定なんでしょう。私の子供時代そのまんまだったので受け入れ易かったですが、その中で唯一の特異点は「登場人物が擬人化された動物で話さない」ことと「ロボット技術のみ高度に発達し日常に溶け込むレベルである」ことです。
この作品の凄いところは、子供向けカトゥーンアニメみたいなほホワッとした絵柄にもかかわらず、演出の的確さと情景描写のセンスの良さが凄まじく、動く画面から得られる情報量は予想を超えて多いことです。むしろ会話などの情報が邪魔になるレベルですよ!
これは子供が観ても楽しいかもしれませんが、都市部の独り身の孤独の解像度の高さ(笑)など、むしろ大人が唸る内容になってるんじゃないでしょうか。
ストーリーラインとしては演出とは対照的、技巧に走ってる訳じゃなくこれといった起伏もなく単純明快です。前述の類稀な演出技巧を駆使すれば例えば泣きに傾倒させた感動作になる可能性もあっただろうに、その辺りは実にあっけらかんと、サラッとすすめていて逆に潔いくらいです。
私が特に印象深かったのは唐突に挿入されるロボットの夢、Dogの夢。ありきたりではあるのになぜか人ごとではなく、自分自身が同じ夢を過去に観たんじゃないか・・・まるでデジャブをみてるみたいな特異な親和性があったのは大変不思議な体験でした。
万人受けはしないもしれないけど、刺さる人にはブッ刺さる傑作と思います。
皆さん、ぜひ試しにご鑑賞を!
ビターな若き日の追憶をサイレントで描く
ニューヨーク、貿易センタービルがツインでそびえたっている、ブルックリンあたりも地下鉄も随分と汚い、通販もテレビショッピングのみ、そしてケータイ電話もない時代。Earth, Wind & Fireの「September」が殆どテーマソングとして鳴り響く。そんな1980年頃の追憶のニューヨークを舞台にイルミネーションの映画「SING/シング」よろしく動物たちの世界として物語がスタートする。
もとはグラフィックノベルだそうで今時シンプルなアニメですが、カメラの視点が相当に振るっていて、奥行きのある構図を多用し飽きる事はない。孤独な主人公ドッグがテレビ通販でロボットを購入、それをドッグが組み立てる描写。窓外の鳩が驚く何羽も集まって来る、手前に窓外から鳩、ガラス窓、ソファ、組み立て最中のドッグ、さらに奥の寝室まで縦構図で描く。こと左様に左右のパン移動から、実写さながらのクレーン移動のような高低も駆使する画面構成によって深みが増す。
骨子は、寂しきロンリーマンがロボットを手に入れ、あちこちに行動し寝起きを供にし、絆が深まってゆくことで心の豊かさを謳歌する。ふと小指同士が触れ、ドキリと電気が走るなんて胸キュン描写。「手を繋ぐ」ただそれだけでひとりじゃない喜びが込み上げる、ちょっと驚くほどに私の胸に刺さりました、このシーンは。ここではロボットが男なのか女なのか、なんてどうでもよく、人と人の繋がりの温か味が心地よい。
ニューヨークの各所を観光旅行よろしく描き、セントラルパークから、エンパイア・ステートビルディングからの光景まで描く。そして仲良くロングアイランドまでバスで海水浴に訪れる。ここで悲劇が起き2人は離れ離れを余儀なくされ、ストーリーが動き出す。砂浜に身動きできないロボットが幾度も夢を見るのがタイトルの所以。現実なのか夢なのか敢えて作者はあやふやに描いていると思われる。こうして夏が終わり秋となり冬となるが、ビーチ全体がクローズされ、幾度となるロボットの救出も敢え無く失敗し、次の夏を待つしかない。
そうこうするうちにドッグも、そしてロボットすらも予想に反してそれぞれのパートナーに出会ってしまう。よくあるラブストーリー映画に似た設定に突入、いや、本作自身がラブストーリーなんですよ! 当然に広いニューヨークとは言え、出会うのですよ、2組のカップルが。ここが最大のクライマックスで、ビターな大人の振る舞いに、私の心は鷲掴みにされました。よかったよかったと言うべきでしょう、過ぎた時は取り戻せません。今のニューヨークにあのツイン・タワーはもうないのですから。
そう言えば、セリフがないのですね、効果音・音楽・溜息とか驚きの擬音はあるけれど。Do you remember the 21st night of september? の歌詞はもちろん聞こえてきますが。ラストシーンはほとんどチャップリンの「街の灯」を連想させる切なさで、そうサイレント映画なのでした。「SING/シング」がそうであるように、さまざまな動物で描くのは人種を超越した状態で描きたかったからでしょう。
そして本作はなんとスペインでの映画化とは驚きで、監督の追憶の世界だったのかも知れません。やたら精緻に描きすぎる邦画アニメもいいけれど、シンブルでもここまで深い心の機微が描けるのですから、要は腕しだいってことですね。なんか本作のロボットのぬいぐるみでも欲しくなってしまう程に愛おしい作品でした。
sweet sorrow
スペイン・フランス合作なのに、ポップでアメリカンな絵柄可愛い
ワンちゃんの寂しくて何やってもダメなところとか ロボットも利用されるばっかでとっても世知辛い世の中 ドリームというか妄想というか
でもロボット、ワンコその他大勢も表情豊かでカラフル愉しい
EWFのセプテンバーがこんなにハマって切なく響くとは...えぇーそうなるの?お互いその後幸せになりましたみたいなお話でした
比喩を観客の何かに置き換えると
犬をはじめとする、ニューヨークらしき都市にいる擬人化された動物も、ロボットも何かの比喩です。動物が街に暮らす訳がないですし、ロボットに感情がある訳もないですからね。
ペットが逃げ出した人であれば、ロボットをそのペットだと置き換えるとか、友人や恋人と別れた人は、ロボットをその相手だと思う等、自分に起きたことに置き換えるといいでしょう。
いろんな動物が暮らす街は、もちろんいろんな人種や立場の人が暮らしているということの比喩。ナマケモノやアリクイまでいたのには、笑ってしまいました。
ビーチに入れなくなった理由と、意外と早く諦めたところについては、ちょっと腑に落ちないところがありましたが、それによってロボットに起こったことが、最後にうまくつながった感じでした。
犬が飲んでいた飲み物は、以前コカ・コーラから出ていたノンシュガーのコーラ「TAB」。目玉模様のゲイラカイトも懐かしいです。テクニックなしに、高く揚がる凧だったと思いますけど。ピザ屋に「Since 1963」と書いてありましたが、監督の生まれ年のようですね。映画評論家の町山智浩氏いわく、今から35年ぐらい前、監督が留学していた頃のニューヨークの町並みが再現されているんだそう。
アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」が効果的に使われていて、犬がロボットと楽しい日々を送ったのが9月であれば、頻繁に映るツインタワーが攻撃されたのも9月。ロボットが犬に対して"Do you remember?"であれば、あの事件についても"Do you remember?"なのかなと思いました。
さよならするのはつらいけど
昨年のTIFFで上映されていたものの観られなかったので、約1年待ってようやく鑑賞。
ドッグとロボットの蜜月描写は予想以上に短く、大半が離ればなれになった状態で進むのに意外。その間、各々がいろんな出会いを経た後にラストにつながるわけだが、ドリフターズの「いい湯だな」の「さよならするのはつらいけど」がリフレインする。
アース、ウインド&ファイヤーの「セプテンバー」を使う映画にハズレなしと思っているが、本作もご多分に漏れず。というか本作以上に「セプテンバー」を活用していた映画はないだろう。
セリフ無しアニメといえば、今年のTIFFで上映された『Flow』も良い出来だった。セリフだらけの日本アニメは見習ってほしいもの。
ドゥーユーリメンバー?
きめ細かい演出
シンプルな絵・設定・ストーリーで、演出において非常にきめ細かいものがあったという印象。光と影とか動きとか色味なんかが非常に丁寧で見やすかったです。ニューヨークの街並みも構図がしっかりとしていて、なおかつ色彩豊かに描かれているので美しい情景を見ているだけでも楽しいものがありました。
心温まる内容でしたが、展開や設定はかなり強引なところを感じます。そういった細かいところが気にならなければ、絵だけで存分に楽しむことができると思います。セリフとか字幕などほとんど気にする必要がないので、楽な気持ちで堪能できる作品です。
音響もいいので、良き音で良き音楽やミュージカルも楽しめます。シンプルに美しい絵と迫力ある音響で華麗にアニメーションしていくので、無心でこの作品を味わうことができました。
多少ノスタルジックな雰囲気も感じたので、別の意味で堪能できる要素も感じました。
これこそがまさに王道アニメといったところでしょうか。
そういえばセリフなかったね。
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