ロボット・ドリームズのレビュー・感想・評価
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ニューヨーク歳時記
レビューのタイトルにDo you remember?って書こうとしたけど、既に同じことを考えてた人が複数いたのでやめた。でも、歌詞も含めて、この映画のメインテーマにふさわしい。映画見た後、気がつくとSeptemberを鼻歌で歌ってる。
子供の落書きのような完成度の低いデザインのロボットで、目と口の動きだけしかないのにものすごく表情が豊か。セリフが一切ないのに感情や状況がここまで伝わってくるのは演出の妙。DOGくんの小さな尻尾の細やかな動き。効果音もとても臨場感があった。
ニューヨークの四季がポップな絵柄で丁寧に描写されていて、そこが次の海開きまでの(体感的に)長ーい月日を感じさせている。80年代のニューヨークはよく知らないけれど、現代のように情報化されていないぶん、アナログ感たっぷりのロボットが歩いていたとしても逆に違和感がない。WTCビルが遠くでキラキラしている。ハロウィンは子供たちだけで家々を回っていたし、降雪量も今よりずいぶん多い。
一方、これは野暮なことだけど、DOGくんの職業がなんなのか気になった。働いているようには見えない割にはロボットを通販で買えちゃうぐらいにはお金に困っていなさそう。棚にMac Plus(初代Macかもしれないけど、これも当時はたいへん高価だった)が置いてあったし、何かデザイン系のお仕事なのだろうか。そして、金属探知機のおじさんは監視の厳しいビーチにどうやって入り込めたのだろうか。
あと、ハロウィンのシャイニングの双子が個人的にはツボだった。
登場人物が全員動物だけど、最後の最後にOdd Taxiみたいなどんでん返しがあったらどうしようと思った。そうじゃなくてよかった。
大画面じゃなくてもいいから、もう一度見たい。ブルーレイが出たら絶対買う。
(追記)米国のamazonからblurayを取り寄せて再鑑賞しました。セリフがないので、日本版じゃなくても十分。
with or without you
この犬とロボットに幸あれ。
現時点で2回見ています。
1回目見たときは、そんなにいいとも思いませんでした。
というのも、前夜の寝不足がたたって眠気に勝てず、ビーチの場面のはじめあたりからお別れに至るまでのくだりを、丸々見てなかったんですよね。
気がついたらロボットがビーチに寝てて雪が降ってて。
そこからは一応最後までちゃんと見たんですが、そんなに感情が動くこともなく、最後の展開も、これはなかなか現実的だけどもこれじゃダメなんじゃね?と思えて、ほんとに大事な相手なら状況をぶっ壊してでも、少なくとも気持ちは伝えるべきで、それを避けてこんな穏当な着地をする話がこんなにも評価高いのはいかがなものか、なんて思ってました。
もう一回見直すかどうかも、微妙だなーと思いました。
主人公の犬が、あんまりいいやつに思えなかったんですよね。
こいつの話もう一回見るのはかったるいな、と思って。
ただ自分の意見とは違うけど各所で絶賛されてるし、途中肝心なとこ見逃したままなのもモヤモヤするなと思って、もう一回見て確かめようと思って2回目を見ました。
もう一度見て評価が変わるとは全然思ってなかったですね。
そしたら、ものの見事に変わってしまいました(笑)。
あの犬の、ビーチでロボット助けようとするあれこれが、その後の展開知ってるだけに切なくて切なくて。
もうそっからは、後から後から涙が出てくるんで困りました(笑)。
そこから先は1回目に見たので、当然もう知ってる流れをなぞってくわけですが、断然胸に刺さってくるんですよ。
ですからね、皆さん、人のある側面だけ見てイマイチいけすかないやつだと思っても、その人が自分の知らないとこで取った行動を知ったらまるきり見方変わってしまうこともあるんだから、人のことを簡単に全部わかった気になっちゃダメだってことですね(笑)。
2回目見たときの後半、犬はやっぱり煮え切らないというか、窓にロボットの顔描いたりして寂しんぼやってるくらいならまたビーチ行けよと思ったし、新しい出会いを求めて中途半端に終わるのも前回と同じように格好悪いなーと思ったんですけど、、なんかそれが全部自分に見えてくるんですよね(笑)。
そうなるともうその煮え切らなさが人ごとでなく、それがまた、よく見ると細部まで実によく描けてるもんだから、堪え難いほどに切なくて。
あの再開したビーチに走っていくときの期待、ビーチを見渡して見つからないときの不安、ロボットの寝てた場所を見つけたときの嬉しさ、砂を掘り返すときの祈るような気持ち、そして、ああもうここにはいないんだとわかったときの絶望。
全部が、本当に、本当に、本当にわかりました。
そして最後、今度はロボットが(涙)。
犬を見つけて、どんなに会いたかったか。
でも会うことができないということを、どんな思いで悟ったか。
どんなに相手のことを、大事に思っていたか。
それがもう、完全に自分のこととして、胸に染みて染みて。
泣いて泣いて、泣きました。
誰かのことを本当に大事思う気持ちを、こんなにも自分も持っていたんだということを、思いもよらず掘り起こされて、苦しいほどに切なかったけれど、でもそれを知れて良かったです。
それを教えてくれた映画でした。
NY在住のDOGさん、孤独だったのが ロボットを購入し、かけがえの...
NY在住のDOGさん、孤独だったのが
ロボットを購入し、かけがえのない親友になり。
海水浴に出かけたら、錆び付いて動けなくなり、
動かせないままビーチの季節が終わり、離れ離れになり
それでも互いを想う様子。
物語も絵も、極限までシンプルで、わかりやすく。
表情があまりに豊かで、感情が伝わってきて。
人間の物語よりも感情移入して観たように感じます。
あの名曲 Earth, Wind & Fire "September " が、物語が進むにつれ、深い意味を持ってきます。
かつては、アゲアゲ!アップテンポ!な曲としてしか聞いたことが無かったですが
こんなに、もの悲しさを伴った聞こえ方になるのかと、映画みながら涙している自分に驚きました。
DOGさん&ROBOTさんにとっても、NYの街にとっても、9月は明るい意味だけではないですね…。
ロボフレンド 消費社会では友達も金で買う時代に
ロボフレンドと書いたけど、やはりロボペットの方が相応しいかも。孤独の寂しさを紛らわせるために安易に恋人や友達の代替品としてロボットを購入してしまう主人公の姿を見てなんともやりきれない気持ちに。今の消費社会を風刺した作品なのかと思ったけど、そのあとはただ離れ離れになったロボットと主人公の思いがつづられるだけ。
人の出会いと別れという普遍的な物語を寓話的に描いた作品として評価されるのは理解できるがそこに介在する消費行動がどうしても引っかかる。友達や恋人をお金で購入してしまえることにそこまで割り切れるものなんだろうか。これが貰い物であったり、たまたま拾ったりしたものならまた本作への印象は変わっていたはず。
確かに切ないと感じられなくもないけど、なんだろう全然心に響かなかったな。ロボットと人との交流を描いたアニメーションの傑作「アイアンジャイアント」を見たばかりだけに余計に面白く感じられなかった。あの作品と比べるのはちょっと酷だけど。
かの作品はロボットが少年と交流することで次第に心を持ち始める過程がとても丁寧に描かれていて、違和感なくロボットも心を持ち得るのかもと思わせるのがうまいんだよな。でも本作はそういう描写は一切なくて、初めからロボットにはある程度感情とかがあるみたいな描き方がされてるから見ていても感情移入しづらい。
それに本作の話は人間と動物、特に人と犬との物語というパターンで散々やりつくされたような話なので新鮮味は一切ない。
孤独な男が子犬と出会い互いに絆を深めていく。ある時トラブルに見舞われて犬と男は離れ離れに。犬は街中をさまよい車にひかれそうになったり、野良犬に襲われたりしてあげくに保健所に捕獲されてしまう。そして殺処分直前に優しい人に間一髪引きとってもらう。新しい飼い主と仲睦まじく暮らしていると前の飼い主の男と再会してしまうという具合に。
前に等身大のアニメフィギュアと結婚した男性の話題がテレビで取り上げられていて、時代はここまで来たんだなあと驚かされた。周りの反応も本人が幸せならそれでいいんじゃないかとおおむね好意的だった。お死活とか、もとい推し活がはやる時代だからかな。恋愛するより自分のお気に入りのアイドルやアニメキャラに夢中になる人が多い時代だもんね。少子化も止まらんわけだ。ある意味人類は成熟しきった果実といえるんだろう、その実が落ちるのも近いのかも。
友達になれるかと思ったダックはヨーロッパに移住して結局生身の友達も得られず主人公のドッグは最後までレンチンした食事から抜け出せない。便利で手軽だけど味気ない食事。それはお金で気軽に得られるロボットの友達も同じ。新たに買い替えた半額のロボットでこれからも我慢するしかないのか。これははたしてハッピーエンドなのかな。
評判が良かったので期待したんだけどさほど楽しめなかった。絵柄がポップで音楽も良かったけど、心にあまり響かなかったな。
貿易センタービルが妙に気になって最後には9.11につながるラストになるのかと思って見てたがそれもなし、まあこの物語から9.11にどう繋げるんだよと言われそうだけど。
「アイアンジャイアント」はおすすめです。
あの9月を覚えてる?
まぁ9月は一緒にいなかったと思うけど...
小島監督のラジオで聞いて見に行きました
街もキャラも生命力にあふれて、画面に映るものみな楽しくて感動しました😮
ただ一つ気になるのは、ロボ君目線だと初日に犬が帰った後、一度も犬の気配を感じていなかったのではないかということですね。
次の日来て入れなかったのも、不法侵入に失敗したのもロボにはわからなかったのだろうと思うと辛いですね
願わくばロボ君には、犬君はずっと君のことを思っていたよということを教えてあげたいです🐶🤖
ラストシーンがすべてをもっていく
チラシのデザインが可愛くも美しいく、前々から気になっていました。
平日昼に鑑賞、客層は20代〜70代まで様々。
オールドニューヨークが可愛くも鮮明に描かれています。
中盤は退屈したのですが、ラストですよ。あのロボット君が隠れるシーン。音楽は明るいのに切なくて‥。
「きみは覚えてる?あの夏、出会った日のことを」その一言が、この映画のすべてを語っています。
セリフがないことで伝わる心情
西野カナにきいてみてくれ
愛嬌のある動物たちがたくさん出てくるアニメ。セリフはほぼないが、アニメ映画では珍しいことではないだろう。
キャラクターの仕草が細かくてとても面白い。
監督とは別の人の原作の絵本があって、それのアニメ映画化。
1980年代のニューヨークの設定。
懐かしいわけだ。
映画の解説にロボットが「錆びる」と重要なネタバレがあるが、首から上は機能しているので、頸髄損傷でもいいかとは思うが、できれば伏せておいて欲しかった。
海水に浸かったら、
ダメよダメダメ。
ロボットの夢と現実が入り乱れるが、記憶はほぼ保たれているからこそ切ない。
犬が彼なのか彼女なのかはわからないところも優れている。同性愛カップルがのめり込むであろうアニメ映画。
ビーチで水着を脱いでタオルを巻いて、タオルを落として、拘束されたロボットに跨がる犬は人間の女性みたいではあったが···
擬人化された一人暮らしの犬はチンごはんでカウチポテトの怠惰な人間である。
ロボットは通販で買ったとはいえ、友達であり恋人。
ビーチに連れて行ってはしゃぎ過ぎたのは、トリセツをよく読んでなかったからじゃないの?
保護者義務違反というか。
そこは西野カナに聞いてくれ。
SeptemberもEarth, Window&Fireというよりも、竹内まりあのセプテンバーでもいい感じ。
お気に入りはスキー場のアリクイのカップル。
窓辺の土鳩とか海辺の鳥の親子には癒やされました。
あと、地下鉄のホームのドラムタコ。
僕たちのテーマソング
平穏な日々を暮らす主人公は
仲睦まじい姿をみて羨む事もある
そこで偶然のきっかけでロボットを買う
少しずつ距離を縮めて
公園でローラースケート
一緒にダンス
レンタルビデオを借りて映画鑑賞
一緒にホットドッグを食べたり
一緒に散歩したり
一緒に海に行ったり
でも突然の別れ
君に会いに行きたいけど
会えない日々が続く
時が経つに連れて
君を思い出し
他の誰かを
出会いを求めたりしたけど
たまに君を思い出す
君を姿を探してしまう
「September」
僕たちの思い出の曲
僕たちのテーマソング
楽しくダンスした曲
僕のお気に入りプレイリスト
君のお気に入りプレイリスト
素晴らしい、ただ!
冒頭から主人公ドッグのひとり寂しい生活、そして1980年代後半のニューヨークの雑多だけどエネルギーあふれる感じに引き込まれました。小さなシーンですが地下鉄でタコがバケツドラムを叩いているシーンが良かったです。音楽は全般的に、劇伴も選挙も素晴らしいです。
ただ!
ストーリーとして考えれば考えるほど、「ドッグ、あなたねぇ…」と思わざるを得ません。そもそも海でロボットが動かなくなった理由は何だったのでしょうか?明確には説明されませんが、例えば組み立て不良(最初にドッグが組み立てた時にネジがちょっと余ってたような…)であれ、例えば「水につけてはいけなかった」であれ、そういうのちゃんとしてれば今回の話、起こらなかったはずです。
また、動かなくなった以降もドッグ、もうちょっとなんとか出来たのでは?「自分のパートナーが動かなくなったんでビーチ立ち入らせてください」とお願いするとか、誰か呼ぶとか。入れなくなったとわかってからは完全放置ですし。たまには見に行ってあげてもよかったでしょう。
このあたりはどうにももやもやします。
しかしながらこのCGアニメ、AI活用が一般的な時代にシンプルな線でただただシンプルなストーリーを描いたことは素晴らしいことだと思います。
特に名曲セプテンバー(9月)。1980年代後半のニューヨーク、たびたび映るワールドトレードセンタービル、それを見て「9月」と言われるとどうしてもあのアメリカ同時多発テロを思い出さずにいられません。
結論としては、ストーリーのツッコミどころはあるけども、それでも泣かされてしまう良作です。
細かいことですが、ロボットが届いたとき、箱に「AMICA 2000」って書いてましたよね?AMICAとはイタリア語で「女友達」(男友達はamico)なので、あのロボットは女の子なのかなーと思いました。
80年代ニューヨークが舞台だとしたらメッツがヤンキースタジアムで試...
EW&FのSeptember!最高
予告編を観て気になった海外のアニメ作品
もしかしたら、ストーリー次第では観ながら泣いてしまうかも思ったけど、悲しさから泣くより心がギュッとなるような切なさが勝った
全編を通して音楽や効果音、ため息などはあるけど、言葉は発しないので、字幕もない作品。シンプソンズやサウスパークのような2Dな絵は海外アニメを強く感じるが、とにかくストーリーが好みな展開で、これは観て良かった。
ワンプレートのグラタンみたいなやつをレンジでチンして、TVを見ながら1人ご飯。DOGの悲哀を感じる。
場内も9割くらい入っていて一部ではパンフレットも完売しているような人気ぶり。パンフレットはロボットの梱包段ボール模様で、ちゃんと作られてる印象
出会いと別れ
犬とロボットがお互いを見合ったり、口元をニッとしたり表情がかわいくて、セリフがない分、こう思ってるのかな?と想像しながら見れた。途中、車の中子どもにいじめられているロボットのシーンがあったけど、ガラクタ屋のとこにもロボットらしきゴミがたくさんあるのを見ると、捨てられたりいろいろあるのかな。
犬は最初はロボットを救出しようと頑張ってたけど、海開きまで待つことにしたのはちょっとびっくり。のんびりしてるなー笑。でもロボットはロボットで小鳥たちと出会ったり、新たに別の主人にも出会い、犬も犬で新たな出会いがあって、それはそれで良かったかな。2人だけの世界に閉じこもらない。お互い大事な友だちだけど、良い思い出を残しつつ、新たな人生をスタートする。
9月
アジアでは日本以外の放映が無理か…
今年414本目(合計1,505本目/今月(2024年11月度)20本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
※ 政治思想論の話がちらほら出ますが、レビューのためであり、それを誰かに押し付けるものではない点は断っておきます。
さて、こちらの映画です。
テアトル梅田(旧シネリーブル梅田)で、いわゆる無声映画が2週続けて(先週はゴンドラ)というのは珍しいかなといったところです。大阪市では専門というほどではないですが、無声映画に活弁士(無声映画のころに声をつけていた職業をいう。今でも古典的な映画に付随する形で伝統芸能としても残る)がつく映画館として多く放映されるところとしては、シネ・ヌーヴォさんが有名ですね。
前の「ゴンドラ」はグルジア(旧ジョージア)という山岳地帯をメインにゴンドラを描く本当に無声映画だったのですが、こちらはやはり無声映画である一方で、一応にもスペインほかヨーロッパ各国の合作扱いですが、70年か80年のアメリカが舞台といったところです。
結論からいうと、ストーリー自体は無声映画であっても理解がしやすいように展開が配慮されていてわかりやすいし、理解に混乱をきたすところは少ないといったところです。ただ「日本基準で見ると」気になる点は幾つも残ります(この点後述)。映画の趣旨としては、ロボットとの友情は成り立つかなど、古典的な論点がメインになりましょうが、それを無声映画という「伝わりにくい形」で挑んでその点についてはほぼ誰でも同じ理解ができるという点においては良かったところです。
採点は以下まで考慮したものです。
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(減点0.2/英語に関して求められる知識が高すぎる)
この映画はセリフすらないので字幕もありませんが、街を散歩するシーンほかいくつかで看板などの日本語訳は出ます。ただ、この点、「ホテル」や「閉店」など、英検でいえば3級レベルの初歩的なところにつきながら、かなりレベルの高い語彙にはつかなかったりとバラバラで英語力勝負になっているのがきついです。
(※) 代表例が pawn shop で、「ポーンショップ」(「ポーン」は、チェスで最弱の駒。将棋でいえば「歩」にあたるコマ)ですが、 pawn には「担保」や「質草」の意味があります。つまりこの店は「質屋」です(映画内では質屋に行くシーンはないが、この店は何度か出てくるだけは何故か何度も出てくる。何屋であろうが関係はないがかなりの方がわかりにくいのでは…)。
(減点0.5/アジア内では日本以外での放映がかなり難しい)
この点は以下に書くところですが、「妙なところで」政治思想の入った映画であり、この点配慮があったのか不明ですが、どう考えてもヘンテコです。
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(減点なし/参考/海外のチャイナタウンと漢字表記)
映画のストーリー内でアメリカのチャイナタウンに行くシーンがあり、そこには「賣店」と書かれています。このお店は要は日本でいえば「売店」なのですが(この店で購入する品物はネタバレ回避)、当然お店なので仕入れが必要ですが、 made in china (中国産)と登場します。そして「賣」は日本では「売」にあたる繁体字です(簡体字ではない)。
このことから2つの解釈ができますが、いずれもヘンテコな理解になります。
(1) チャイナタウンで繁体字が使われるケースそれ自体
これ自体は、第二次世界大戦前に中国から各国への移住者が使用しているケースがあり、それは現在でも同じです(いわゆる「華僑/華人」と呼ばれる方のカテゴリ)。これらの人「どうし」の会話であれば当然繁体字でも通じますが、「中国産」である以上品物は中国(狭い意味での中国)から輸入しているわけで、一方で中国大陸においてのこの字は「卖」であり、異なる漢字字体でのコミュニケーションはかなりの困難を伴います(ある程度の長文であれば、前後関係から類推できることもある。このことは、簡体字や繁体字でかかれたある程度の長文があれば、前後関係から意味を類推できるのと同じ。逆に文字数が少なすぎると類推できない場合が多い。よって、ニュース記事等長文になればなるほど意味を類推しやすくなるといった妙な逆転現象も起きる)。
(2) いわゆる台湾の方のチャイナタウンの場合
何もチャイナタウンは中国本土の方だけが形成したのではなく、戦中戦後に台湾籍の方で作られたチャイナタウンもあります。その場合、「賣店」はその通りです(よって「売」は、日本、台湾・中国の3つで字体が異なる)。しかしそうであれば made in china は「台湾を含む中国」と解釈せざるを得ず、実際に輸出入が絡む国産表示においてはトラブル防止のため国の争いがあっても「実際の地名通りに書く」のがルールなので(日本は国として台湾を認知していないが、一方で台湾料理のお店や台湾アンテナショップ等の品物として産地表示をする場合は「台湾産」かmade in taiwan でないと通らない。このことは貿易に関する条約に絡みますので各国共通)、china に taiwan を含めて解釈しないと変な状況になりますが、それこそ政治思想を押し付ける行為です。
ただ、映画の監督や多くの方は、おそらく「中国・台湾の領土問頼」や「国としての認知問題」は知っていても、「チャイナタウン」を表現するためにそう出してしまったのだと考えるのが妥当であり(この映画でそのような理解まで監督やスタッフ他に求めていたらとてもではないが求められる量が多すぎて無理)、「結果的に」何がどうなってるのか(多分、日本では気が付かないか、気が付いても「あの問題か」で済むでしょうが、中国台湾はもちろん、依存関係が高い韓国やシンガポール他ではいろいろ圧力がかかりそう)察する必要があり、この映画は「そういう意味で」変な部分に踏み込んでいる点は誤解がないようにしてほしかったです(どういう解釈をしてもこの部分はおかしくなる)。
セプテンバーで泣くとは
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