劇場公開日 2024年11月8日

「すごく切ない恋愛映画を観た気分」ロボット・ドリームズ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5すごく切ない恋愛映画を観た気分

2024年12月30日
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鑑賞方法:映画館

ロボットが出てくるアニメなのにSF感が全くないのも珍しい。一つにロボットの造形の問題がある。「アイアン・ジャイアント」に少し似た感じの造形だが、さらに優しくした感じ。これでSFを感じるのは難しい。そして人ではなく動物を擬人化したことも拍車をかけている。それでいて、出てくる物はリアルに存在している物で、トーキング・ヘッズのアルバムジャケットを見つけてオッと思ったりする。まずはこの世界観についていけるかどうかが試されるということ。
途中の展開もかなり不思議。あんなことでロボットが置き去りにされるもんかね。イヌにもうちょっとできることがありそうな気がしてしまう。リアルな人間の物語ではすれ違いを作ることが難しいのかもしれない。途中で起こすイヌの行動も若干受け入れがたい。まぁ寂しさに負けてしまった気持ちもわからないではないけど。
さぁ、こんな流れでどんな終わり方するのだろうと思っていたら、めちゃめちゃ切ない終わり方だった。でも切ないだけじゃなくてちゃんと前を向いている感じ。遠距離恋愛をしている恋人たちのすれ違いを描いた、上質の恋愛映画を観た気分だ。セリフなしでここまで描いたことにも感動した。
9.11が起こっていないニューヨーク。印象的な場面で使われるEW&Fのセプテンバーが何かを示唆しているような気がしてならない。ロボットが出てくるのに少しノスタルジックという、少し不思議な映画だった。

kenshuchu