「ロボットは友だちになれるのか」ロボット・ドリームズ MP0さんの映画レビュー(感想・評価)
ロボットは友だちになれるのか
世界貿易センタービル(WTC)のツインタワーが描かれている時代のNYマンハッタンで様々な動物たちが擬人化されて描かれている世界観の中で、友だちのいない犬が友だちが欲しくて組み立て式ロボットをテレビショッピングを見て注文。
組み立てて友情を育む日々とトラブルから離れ離れになってしまう。
ロボットの見た夢、犬が見たロボットへの夢、それぞれの歩みとすれ違いが描かれている作品。
絵のタッチは優しく、太めの輪郭で描かれていて可愛らしいが物語は結構残酷なシーンなどもあり重くてシュール。
だからこそ動物やロボットに置き換えられたキャラクターで描かれている意味があるのだろうけど。
マニュアル通りの行政、襲いかかる理不尽、日常と季節の移り変わり、積もっていく雪に埋もれていく日々…
AIや汎用ロボットの普及が身近になっていく現代に「ロボットは友だちになれるのか?」を問いかけるような作品だと思いました。
日本的にはドラえもんやコロ助が理不尽によって壊されていく展開と言えば、感じる所があるのではないでしょうか。
監督はスペインの方という事で、NYへ留学で渡った経歴のようで当時のマンハッタンの雑多な雰囲気や地下鉄やスラム街の荒廃した感じがよく描かれていると思います。
作中で度々流れるEarth wind &fireの 『September』(パ〜リラ♫)は1978年、監督が15歳の時の音楽でアメリカンミュージックの原風景だったのかも。
WTCは1973年開業なので、作中の時間軸は監督がNYへ留学していた1990年代〜2001年の直前辺りか。
また1998年にSOPHIAの『黒いブーツ〜oh my friend〜』のミュージックビデオも手がけられた方という事で情緒や感受性が高い方には刺さる作品だと思いました。
他の方のレビューにもありましたが、言葉にして表現するには複雑な感情を揺さぶる作品ではないでしょうか。