「ロボの夢」ロボット・ドリームズ なつさんの映画レビュー(感想・評価)
ロボの夢
80年代、あのゲームやったな〜って思い出した。
ただピコピコとピンポンみたいなやつ。あれ2人用なのよね。
あれを1人でプレイして冷食をチン。それをぼんやり眺めながら食べる。ブラウン管に映る1人きりの自分。慌ててチャンネルをつける。
たったあのシーンだけでドッグのぼっち寂しい生活がマジマジと痛感する。辛いよね〜窓の外には仲睦まじいカップル。わかる〜。
縋る想いの友達ロボ購入。お金で友情を買っていくスタイル。
ニコニコ可愛いロボ。ドッグ大喜び。
ロボは見るもの全ての楽しみを真似して歩く。
手を振られれば振り、手を繋ぎ、食べ物を飲み込む。
決してドッグの嫌な事はしない。主人の命令は聞くものだ。それがロボット。
Septemberを軽やかに踊る2人。名曲に名シーンを被せてくるとかすごい所業だ。
そんな彼らの別れはまさに夏の終わりであろう9月。
周りの子共やドッグの喜ぶ顔を見て遊ぶロボは海で動けなくなる。
あそこ、私なら絶対置いていかない。
ずっとしがみついて離れないし、なんなら警備員や他の人の手を借りて絶対連れて帰る。
逮捕されてもまた帰る。
でも、ドッグはきっと困って悩んでいたと思う。だからロボは目で帰っていいよと伝える。主人の為。
迎えに行けるのは6月。
その間、ドッグは新たな友達を作る為に奔放し、ロボはドッグの元へ帰る夢を見る。何度も。
その時の彼はいつもSeptemberを口ずさんでいる。
きっとドッグの喜びが詰まっている曲。
そんなロボの献身的な想いを他所にことごとく友達作りに失敗するドッグ。いい気味だと思った。
早くロボの元へ帰り、彼の存在の大きさを知れよ!って。
ドッグの寂しさもわかるけど優しいロボ側への肩入れが半端ない私。
しかし、ロボはスクラップ場へ。
もちろん嫌などと言えるわけもなし。
またぼっちになったドッグが掘り返したのはロボの片足のみ。
顔だけになったロボをなぜラスカルが連れ帰り修理したのか分からない。
同じく友達が欲しかったのか、興味なのか…
そんなこんなでラジカセロボになり、ラスカルと楽しい日々が始まる。その時ロボが奏でる曲はhappyへと変わる。
新しい日々の始まり。
BBQの最中、ソースを取りにふと窓の外を見やるとドッグの姿。新たなロボと手を繋ぎとても楽しそう。
何度も夢見たドッグの姿を見て駆け寄り手を繋ぐ想いを堪えて、彼は思い出のSeptemberを流す。
覚えてるかい?
君のことを想っているよ
ドッグの耳には届かないが、遠く離れた2人のリズムはピッタリと合った。
そこへやってくるラスカル。
ロボは音楽を一瞬変えるが、再びSeptemberへ。
新たな主人と共にビートを合わせるロボ。
新たなロボットと共に歩くドッグ。
彼はロボット。主人の命令は絶対。
ロボットだから、新しいロボットといて幸せそうなドッグの邪魔は出来ないと思ったのかな?
だけど、あの時そうしなかったのはロボットとしてではなく、感情を持った彼の意思だと思う。
ちなみに、涙腺崩壊ポイントはスクラップ場でラスカルがロボを手にニコッとしたシーン。
そこからなんかずっと泣き通しで同じ列に座ってた男性に申し訳ない事をした…
序盤に車内で子供に叩かれながら困り顔のロボットとすれ違ったロボの顔を思い出した。
全てのロボットは人間のエゴで生み出され使われる。
ロボット三原則に縛られる。
サイレント?なのに全く違和感を感じなかったのは幼少期に夕方に放送してた「トムとジェリー」を楽しんで観ていたからかな。
帰りにめちゃくちゃSeptember聴いた。