「素晴らしい、ただ!」ロボット・ドリームズ Liskyさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい、ただ!
冒頭から主人公ドッグのひとり寂しい生活、そして1980年代後半のニューヨークの雑多だけどエネルギーあふれる感じに引き込まれました。小さなシーンですが地下鉄でタコがバケツドラムを叩いているシーンが良かったです。音楽は全般的に、劇伴も選挙も素晴らしいです。
ただ!
ストーリーとして考えれば考えるほど、「ドッグ、あなたねぇ…」と思わざるを得ません。そもそも海でロボットが動かなくなった理由は何だったのでしょうか?明確には説明されませんが、例えば組み立て不良(最初にドッグが組み立てた時にネジがちょっと余ってたような…)であれ、例えば「水につけてはいけなかった」であれ、そういうのちゃんとしてれば今回の話、起こらなかったはずです。
また、動かなくなった以降もドッグ、もうちょっとなんとか出来たのでは?「自分のパートナーが動かなくなったんでビーチ立ち入らせてください」とお願いするとか、誰か呼ぶとか。入れなくなったとわかってからは完全放置ですし。たまには見に行ってあげてもよかったでしょう。
このあたりはどうにももやもやします。
しかしながらこのCGアニメ、AI活用が一般的な時代にシンプルな線でただただシンプルなストーリーを描いたことは素晴らしいことだと思います。
特に名曲セプテンバー(9月)。1980年代後半のニューヨーク、たびたび映るワールドトレードセンタービル、それを見て「9月」と言われるとどうしてもあのアメリカ同時多発テロを思い出さずにいられません。
結論としては、ストーリーのツッコミどころはあるけども、それでも泣かされてしまう良作です。
細かいことですが、ロボットが届いたとき、箱に「AMICA 2000」って書いてましたよね?AMICAとはイタリア語で「女友達」(男友達はamico)なので、あのロボットは女の子なのかなーと思いました。