「Do you remember ? Dancin’ in September」ロボット・ドリームズ JUNさんの映画レビュー(感想・評価)
Do you remember ? Dancin’ in September
舞台は80年代のNY。
擬人化された動物とロボットの出会いと別れの物語なのだが、この作品はそんな関係すらも希薄になっている現代に対するノスタルジーとアイロニーなのかも知れない。
その後の90年代から、一般レベルでもアナログからデジタルに移行し仕事や生活が便利になり始めたけど、そんな中で手の隙間から砂がこぼれ落ちる様に抜け落ちていく大切な何か…。
そして今は制度面でも働き方改革やパワハラ・セクハラ等のルール等も厳格化して良い面もあったが、人間らしい素朴な触れ合いももっと沢山あった筈。
人間の世界は、中々思う様には成らず難しい。
さて80年代ニューヨークの名所を彼等が巡るのも中々良い。今作は監督パブロの「オズの魔法使い」や「マンハッタン」「シャイニング」「ジョーズ」等々の過去の作品に対するオマージュが感じられるシーンが多いが、素敵な映像がNY名所シーンにも使われていてとても面白い。
最後に偶然街で見かけたドッグに対して、会わない方が良いと判断したロボット。
それは現在のお互いにとっての大切な人を思いやる気持と、ドッグがもっと新しい世界に進んでいって欲しいと思ったからでは無いかな。
ロボットが、ドッグと一緒に居た楽しかった頃の生活の中で学んだ、相手の幸せを考える最善の事だと思ったのだろう。
本当は漸く会えて、夢観るくらい一緒にいたくてたまらないのに…。
Ba-dee-ya〜
Dancin'in September〜
最後、自分といた楽しかった頃の想い出が届く様にと…ドッグに歌を送る。
覚えているかい…と。
映像と音楽だけでセリフも無いのにそんな事を思わせる、とても切ないけど素敵な作品。
宣伝ポスターで砂浜で楽しそうにしているドッグとロボット。でもその影はお互いに違う方向に向いている。そしてドッグの方をロボットが目で追っている。
実はポスターの段階で、この物語の方向性を示唆しています。