「夏やお盆は関係なし」異人たち ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
夏やお盆は関係なし
山田太一の原作、大林宣彦の映画、いずれも未読・未見で、元ネタはタイトルしか知らない丸腰での鑑賞。主人公アダムおよび同じマンションの住人ハリーは同性愛者設定で、その辺はアンドリュー・ヘイ監督の性的指向にあわせて…ということなのだろう。同じく劇伴にはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドにペット・ショップ・ボーイズなんかが使われているし。
自身が性的マイノリティであることの孤独感が、それが理解をされぬまま早世した両親との夢うつつな展開と、登場人物の極端な少なさ、常にどこか不安さを抱えているようなアダムの所作で表現されていて、なんか昨年のアフター・サンっぽさを感じると思ったらハリー役ポール・メスカルは同作のパパだということが後でわかった。オープニング、日の出とともに自分の姿が徐々に窓ガラスに浮かび上がるカットは見事で、なるほど「異人」ぽさを感じさせた。
自分が子どもからカミングアウトされたらどう受け止めるか…と親目線で考えつつ観てしまったが、両親との別れや理解とで大の大人がうるうる泣き出す姿にはじんわりもらい泣き。子どもの頃と同じアダムのパジャマ姿は笑えたけど。
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