「ゲイの話にする必要はあったのか?」異人たち tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲイの話にする必要はあったのか?
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死別した両親との再会の物語だと思っていたら、完全にゲイの話になっていて、困惑させられる。
久しぶりの再会なのに、失われた時間を取り戻そうとする親子の「再生」の物語が描かれることはほとんどなく、両親が、自分達と同じくらいの年齢の息子に世話を焼くといった面白さも感じられないのは、物足りないとしか言いようがない。
その一方で、自分がゲイであることを打ち明ける息子と、そのことを理解し、受け入れる両親を描くことに力点が置かれていることには、違和感を覚えざるを得なかった。
そもそも、同じマンションに住む男性との「ラブ・ストーリー」や、比較的ハードな「ラブ・シーン」は必要だったのかという根本的な疑問が残る。
仮に、それが必要だったとしても、彼が「異人」である必要性はなかったと思うし、むしろ、「その後、2人は幸せに暮らしました」というハッピーエンドにした方が良かったのではないかとも思う。
序盤の、死別した両親との再会の場面や、終盤に訪れる衝撃的な展開も、何が起こっているのかを、すぐには理解することが難しく、少なからず戸惑ってしまった。
過剰な演出を避けるのは良いとしても、もう少し上手い見せ方はできなかったものだろうか?
それから、主演のアンドリュー・スコットは、まるでゾンビ・ウィルスに感染したかのような大きな「黒目」が印象的で、常人とは異なる独特な雰囲気を醸し出しているので、こちらを「異人」に配役した方が良かったのではないかとも思ってしまった。
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