若き見知らぬ者たちのレビュー・感想・評価
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演者の力では作品の酷さはカバーできない、最大の戦犯は上映館だ😡
自宅介護の実態を全く理解してない脚本、冒頭からその薄っぺらさが瞬時に分かる。万が一分かっていたなら自宅介護者への冒瀆で指摘したらキリがない。ネグレクトでない自宅介護に献身した主人公(と思ってた)は中盤で呆気なく死亡、その顛末の酷さは他の方のコメント通り。そこから荘平が父の記憶とともに突如メインになり長回しの格闘シーン展開には全く付いていけないし、勝ち負けも何か意味があったのか。ラストの2人の警察官の処理は観客の溜飲を下げるサービスのつもりなら火に油でふざけすぎだし、何日経ったのか不明だがひなが母親と食事してる→面倒見てるならムリ→要介護5クラスを看護婦といえどヘルパー等無しでワンオペ出来るわけないので。
磯村、岸井、染谷など中堅ところを集めて演者は良かったと思うが、鶴も掃き溜めでは泳げない見本です。監督、脚本とも若い方はもっと社会勉強してください。何より新宿P館、ふざけるなです。
発想、題材は興味深いのに勿体ない
あまりに共感しづらい
まとまりのない群像劇とでも言おうか。
要するに何だったのか、とにかく分かりにくいという印象しか残らない。観る側に解釈を委ねるというニュアンスなのかどうかすらよく分からないほど、この物語の主軸を定められなかった。つまり本来この作品の主題である「何が彼を殺したのか?」に対する解答を僕は最後まで見つける事が出来なかった。
彩人の死によって途中で主人公が弟へ交代するというアイデア自体は決して悪いとは思わないが、結局それが映画に何をもたらしたのか僕には正直あまり伝わって来なかった。もちろん僕の読解力の責任でもあるが、とは言え弟の背景がほぼ描かれていないので、そもそも感情移入出来るわけがない。なので後半は主人公が交代すると言うよりも主人公不在のまま話が進んだだけなのでは、と言わざるを得ない。だから主人公を交代させた意味は結局何だったの?となるわけだ。
最後の格闘技も、ワンカットで撮るという大胆さで素晴らしいシーンだったとは思う。ただその生々しさや迫力が映画をより「高み」へと導くという役割をまるで果たしてないように感じられた。ワンカットであろうかなかろうが、そのシーンが映画の中で効果的に生かされなければ何の意味もないわけで、もしかしてワンカットで撮る事自体が「目的」になってしまったのではと感じた。この映画のこの場面でこの長回しの格闘技シーンは本当に必要なのか?とさえ思ってしまうほど意味が全く見出せないのだ。だから非常に素晴らしいシーンであると同時にとても残念なシーンであるとも言える。でもこれだって要するに弟の人物像をしっかり描いてないからこういう事になるのではないか。
各登場人物も一人一人を見れば良かったとは思うが、基本的に描写や表現が少な過ぎて個々の人間性や心の動き、それぞれの関係性などが分かりづらく、想像するにしても振れ幅があまり大きいためひたすら戸惑ってしまう。例えば彼女が食べ物を吐くシーンも過食なのか妊娠なのかよく分からない。また母親をどう描きたかったのか、難病や貧困や介護の問題、父親の存在が兄弟に与えた影響、兄弟間の葛藤、友人との絆、それら全ての描写に何らまとまった方向性を見出せず、非常にストレスが溜まる形になったと言わざるを得ない。
そして何より警察官の対応や事件の処理の仕方などリアリティに欠ける表現がさすがに限度を大きく越えていて、それ以降の話がどうにもこうにも入って来ない。この作品に限らず意外にありがちだと思うのだが、世の中の「悪意」というものを表現する際に誇張が過ぎると逆効果というか「そんな事あるかい」とすごく冷めてしまうのだ。デフォルメの全てがいけないとも思わないが、少なくともこの作品においては彩人の死に直結するエピソードだけに、警察官との絡みはリアリティがとてつもなく重要ポイントだったはずだ。なので途中からすっかり気持ちが離れてしまったのは否定出来ない。
ただ唯一、彩人の死後に親友の大和が警察署へ出向いて警察官を問い詰めるシーン。「人なんて曖昧で不確かなものですよ」「だから信じるんですよ」このやり取りは良かった。これがこの映画のハイライトかなと思う。またチャンピオンになった弟がお店のカウンターで茫然と佇むラストカットもとても良かったと思う。ただこれも直前の格闘技シーンがいまいちハマってないから結局あのラストが生きて来ないのだ。本当はもっと圧倒的に良いシーンに出来たはずなのに。
それにしても群像劇がまとまる事なく最後までバラバラだと、結局何がしたかったん?となってしまう。改めて言うが僕の読解力の問題も否定は出来ない。ただ公平に見ても非常に伝わりにくい作品だと言うしかないだろう。基本的に監督は観る側に媚びたりせず、思うように好きなように作れば良いと個人的には思っている。とは言えただの「自己満足」になってしまってもいけないと思うのだ。
ああ無情
2点台は滅多につけないんですが……
認知症の母を抱えて生活が苦しく、夢も諦めてそれでも何とかギリギリ生きている青年に、次々と不運が重なる話。
表現したかったことは分からないでもないですが、観る側は、それで?と思います。
ドラマティックな悲劇というより、生活感のある災難が続きますがリアリティに欠けるから、共感できません。警察に怒られそう。何でも食べてしまうのに、テーブルの上に食べ物や調味料を置きっぱなしにはしないですよ。映像もわざと不快な感じにしてますね。
大変な役を演じた磯村勇斗さんと霧島れいかさんにはお疲れさまでしたと言いたいです。
カラオケの選曲、あれは無いですね。歌ってる場合じゃないところで敢えて歌うなら、私だったらTRAIN-TRAINにするかな。それとも、昔みんなで盛り上がって歌った曲。あの歌よりはリアリティがあると思います。
若い監督が撮ったとは思えない古さ
陰々滅々とした話が延々続く。ツッコミどころだらけ。
不幸ばかりに見舞われる一家が主人公だが、被虐的な演出が過剰では
露悪的でもあり、若い監督が撮ったとは思えない昭和的な古臭さを感じました。
自分を抑えて恋人とその家族に尽くす日向、恋人が死んでもまだまだその家族と家に尽くすんだ、日本の伝統的家族制度の「嫁」ですか。こんなところも古い。
神奈川県警のあれはヒドイ
住民の通報があったなら目撃者だっているだろうし、なんで救急車を呼ばないのか、どこに連れて行こうとしたのか、何がしたかったのか、町中には防犯カメラだってある。検死すれば死因も明らかになるし、それら全部をもみ消せるっていうことですか?
世間では「神奈川県警」といえば〇〇と言われているけど、神奈川県警から苦情来なかったんだろうか
ほぼ動きのないひとつのシーンが長回しで延々続く、それが多用され、視線の先になにがあるのか、次にどうなるのか、なかなか表れなくてフラストレーションが溜まる。そのくせ、肝心なことを明らかにするかしそうな場面は一瞬でぱっと切り替わる。これ、監督的にはスタイリッシュなのでしょうか?
あんな母がいるのになんで公的扶助を受けないのか
母の病気は何なのか、いつからなのか、きっかけはあるのか
アヤトは難病らしいがどんな病状なのか
父親は退職金その他をどうしたのか
父親はなぜ死んだのか
スナック花火の血まみれの床を見て、なぜ誰も何とも思わないのか
などなど、疑問と不可解と不明解ばかりなのに説明がまったく足りていない。
ツッコミどころも満載。
後半、唐突に弟主観の話になり、それまで弟をほとんど掘り下げてないのに唐突すぎて今までのは何だったんだろうと思った。
そして、予想はできたが格闘技の場面を延々と編集なしワンショットで見せられる。
なんとか最後まで見たが苦痛だった。
今後、内山拓也監督の映画をみることはないと思う。
映画ならではの良さ
9:25から観ました。観ようかどうか迷っていましたが、王様のブランチの映画コーナーに、磯村と岸井が出てて、感じが良かったので観ました。レビューの評価が良くないので、あまり期待していなかったのが、良かったのか、映画作品として、良かった!自分の母親の介護などテレビで、描ききれないところが秀逸です。親の介護はとても大変です。特に認知症があるとものすごく大変。私も母親の介護を経験してるので良く分かります。結局私は施設に入れましたが、本作は、磯村が精一杯面倒をみている姿に感動しました。警察の対応は良くないが、ありそうな感じが描かれている。暴力はいけないというメッセージが感じられました。岸井が素晴らしい!こういう彼女がいると救われます。染谷の演技も良い。格闘シーンもgood!やっぱり映画はいいね~観て損しない作品です。
傑作になり損なった凡作?
映画鑑賞中から???だった点を順不同で書いてみた。
①若い方の警官が良心の呵責から告発、或いは最低限の再調査を行うように警察内部での問題化、もしくは遺族に上司の隠蔽のことを教える等の行動はなにもしないまま?
②①がなかったとしても、医師の判断で彩人の飲酒量の検査結果や酒瓶による傷であることは分かるから司法解剖になりませんか?
(あの警官二人はそれをもみ消せるほどの大物ではまったくない!)
その結果、あのカラオケスナックでの調査が本格化するのでは?
③父親が「誤認逮捕で責められたことを苦に自殺」(という理解で合ってる?)という経緯があったことから、彩人の家族にとって警察は悪代官のような存在=滝藤賢一はその象徴のように描かれていたが、この警官が本当の悪者である3人を放ったらかしにしてまで救急車を呼ばない理由がまったく理解できない
④いやいや、この映画のテーマは警察の闇を浮き彫りにすることなんかではなく、もっと深い社会派ヒューマンドラマじゃなかったっけ?
不運な境遇にあっても、心はとっくに絶望でほとんど折れているのに、それでも公助に頼ることをせず(もしくは頼る方法を知らない)、自助努力でなんとかしようと真面目に働き、かろうじて生きている人。そんな人に追い打ちをかけるように襲いかかる不幸。
周囲にはそれを支えようとしてくれる人だっていたのに。日向=岸井ゆきのは彼の子を授かるほど愛していたのに(トイレのシーンはそういうことですよね?)。
これでもかというほど徹底的に報われることのない『若き見知らぬ者たち』。
穴だらけの設定は、それなりに意図的なものだとは思うのですが、ことごとく裏目に出てしまった。
そんなふうに感じました。
苦痛であり不快
前半がとても良かった。 前頭側頭型の若年性認知症の母を諦めた視線で...
舞台挨拶にて鑑賞 テーマ、ストーリー共に重い重い。 途中で帰りたく...
ご都合主義。だから、撮り手の撮る動機の浅さが分かる。
わかりにくいのがもったいない
悲壮感漂う予告から話の結末が気になり、公開2日目に鑑賞してきました。予想どおり観客はまばらでしたが、それも頷ける感じの作品でした。
ストーリーは、病気で自身の行動も制御できない母・麻美と格闘技で頂点を目指す弟・壮平の三人で暮らす青年・風間彩人が、母の世話をしながら昼は工事現場、夜はカラオケバーを経営して生計を立てる一方、母の不始末の謝罪と弁償に奔走する毎日を送っていたある日、バーに現れた理不尽な客とのいざこざから事件に巻き込まれてしまうというもの。
こう書くと事件ドラマに思えるかもしれませんが、そういう類の話ではありません。全方位にわたって救いのない彩人の生活が、序盤から終盤に差しかかる頃までずっと続き、とにかく胸が苦しくなります。こんな生き地獄のような生活の中で、人間らしさをかろうじて失わない彩人の姿が沁みます。理不尽な職質を受ける若者を見過ごせずに警官との間に入ったのは、警官だった亡き父の「あらゆる暴力から自分の範囲を守るんだ」という教え、その父が誤認逮捕を犯してしまったことから狂い始めた人生を思ってのことでしょうか。
また、母への接し方にも胸を締めつけられるものがあります。スーパーの商品を勝手に持ち帰る、近所の畑を荒らす、台所にさまざまな物をぶちまける、しまいには水道を出しっぱなしにして水浸しにするといった奇行を繰り返す母。実の親でも殺意を感じるレベルの壊れ具合を見せる母に対して、怒りをぶつけることなく穏やかになだめる彩人の姿には、優しさを通り越して、心を無にする諦めの境地が見て取れます。途中で描かれる自殺を思わせるシーンは、その表れでしょう。
そこへ追い打ちをかけるような酔っ払い客、さらに理不尽な警察の仕打ちに、はらわたが煮えくり返る思いがします。友人の大和が詰め寄るも、保身を図ってのらりくらりの対応を見せる腐った警官と警察組織に吐き気がします。壮平と仲のよい警官が辞めたのも、そのあたりが理由なのでしょうか。
本来なら、そんな彩人と支え合わなければいけないはずの壮平さえ、彩人との確執もあり試合を優先して自宅を離れます。格闘家の彼も、父の教えを受けてリングに立ったように見えますが、本作における存在意義がイマイチ見出せません。壮平は辛くもベルトを手にしますが、彩人を亡くした今、暴力ではない格闘能力で彼が守ったものは何だったのでしょう。とはいえ、タイトルマッチでのワンカット長回しのファイトは圧巻です。普段は格闘技を見ることがないので余計にそう感じたのかもしれませんが、福山翔大さんの役者魂がビンビン伝わる迫真のファイトが秀逸です。
ただ、全体的には悲壮感が漂うばかりで、本作のテーマがどのあたりにあったのかはよくわかりません。彩人と壮平がそれぞれの信念に基づいて“自分の範囲を守る”ために奮闘する姿を通して、現代の若者が抱える悲しみや怒りを描こうとしたのでしょうか。だとすると、回想シーンから父への尊敬や思慕を感じさせるものが少なすぎたように思います。いずれにせよ、悲惨な末路への切なさと理不尽な暴力への胸糞の悪さが印象的な、苦味の残る作品です。
主演は磯村勇斗さんで、これまでの役とは異なる抑えたトーンが印象的です。脇を固めるのは、岸井ゆきのさん、福山翔大さん、染谷将太さん、霧島れいかさん、滝藤賢一さん、豊原功補さんら。中でも、霧島れいかさんの壊れっぷりが凄まじいです。
「舞台挨拶」
ヤングケアラーの思いを代弁した作品
どんな内容の映画なのか、あまり詳しい情報を持たずに鑑賞しました。ただ主演の磯村勇斗をはじめ、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、滝藤賢一、豊島功補、霧島れいかなどなど、若手からベテランまで中々の巧者を集めていたことに期待していました。内容的には、チラシの写真で磯村勇斗が頭にピストルをあてていたので、てっきりノワール系なのかと思っていたものの、全く違う内容でした💦チラシで注目すべきは、ピストルよりも磯村勇斗の虚ろな視線の方だったようです。
で、肝心の内容ですが、いわゆる”ヤングケアラー”のお話でした。若くして前頭側頭葉変性症という一種の認知症を患った母親(霧島れいか)の介護をしながら、父親(豊島功補)の残した借金の返済も続ける兄弟(兄・磯村勇斗、弟・福山翔大)という、何ともやり切れないシチュエーションに置かれた主人公の生き様を描いており、未来への光明が全く見えないその救いのなさに、気持ちは自ずと沈まざるを得ませんでした。
ただ注目すべきは、こうしたヤングケアラーに対して公的支援(公助)がないとか、地域社会や周りの人たちの手助け(共助)がないと言った現代社会の重大問題を告発している訳ではなく、また自らの努力(自助)が足りないと言った話を描いている訳でもなかったこと。一般に介護保険の適用は、65歳以上の高齢者に限られますが、認知症については特定疾病に該当し、40歳以上であれば介護保険の給付対象になるようです。従って、本作でもセリフの中で少し触れられていましたが、母親の年齢から考えれば恐らくは介護保険の助けを得られると考えられた訳ですが、磯村勇斗演ずる彩人は適用申請をしようともしていないことが窺われました。
また、母親を定期的に病院に連れて行きながらも、処方された薬を自分で服用している彩人の行動は、中々理解できないものでした。母親が、スーパーの商品を勝手に食べてしまおうが、近所の畑を荒らそうが、水を出しっぱなしにして台所を水浸しにしようが、キレもせずに母親を見守り続ける彩人の心の深奥に、一体何があるのか?これは観た人それぞれが百人百様に感じるものであり、監督の意図も観客毎の解釈に委ねているように感じました。
私的には、ところどころ挿入されるピストルで頭を撃たれる(若しくは自ら撃つ)妄想シーンを観る限り、彩人の心には無力感が満ちており、生きることへの執着が一切感じられませんでした。こうした心理状態こそ、”ヤングケアラー”の特徴的な心情なのかと想像するしかありませんでした。監督が伝えたかったのもそうした立場に置かれた人たちの他人に伝えられぬ思いだったのだろうと解釈が、果たしてどうなのでしょう。ただ質の悪い警官(滝藤賢一)や質の悪い酔っ払いの存在に引っ張られて、ストーリーが一定の方向性を見出しにくくなっていて、”ヤングケアラー”の理解を妨げているような気もしたところに若干首を傾げてしまいました。
あと、総合格闘家を演じた彩人の弟・壮平を演じた福山翔大が、試合のシーンで3ラウンド2分31秒の間、ガチで闘っていたのは評価すべきかなと思います。シナリオの範囲で動いているのは勿論ですが、身体を仕上げて”試合”=”撮影”に臨み、インターバルを挟みながらも9分近く動き続けた福山の役者魂は素晴らしかったです。
そんな訳で、本作の評価は★3とします。
妄想と現実の区別が・・・
風間彩人は、亡くなった父の借金を返済するため、認知症の母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いていた。そして、恋人の日向と結婚を望んでいた。総合格闘技の選手となった弟の壮平も、借金返済と介護を担いながら、練習に明け暮れる日々を送っていた。しかし、彩人の親友の大和の結婚祝いのパーティの日、3人の酔っ払いがカラオケ店に来て、閉店だと告げると暴力をふるってきて・・・さてどうなる、という話。
現実と妄想の区別が付きにくく、やたら拳銃で撃ち殺されるシーンが出てくるが、あれは何なんだ?
それと、カラオケ店に彩人の血が残ってたのに誰も気にしないのはおかしくないか?
警官もあんなに無茶苦茶な事するか?
負の連鎖のようなストーリーで光が無いのが悲しかった。
磯村勇斗や岸井ゆきの、染谷将太、霧島れいか、滝藤賢一、など、役者は素晴らしかったのに、脚本?演出?がイマイチだった。
お前、顔汚いな
辛い
雑
評価は分かれるとは思うが、行き過ぎた警察に問題提起する意味では。
今年368本目(合計1,460本目/今月(2024年10月度)19本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
父親の残した借金の返済と母親の介護にふりまわされる主人公と(この映画の主人公をどこに取るかは多々あると思いますが)、境遇は似ても苦しい総合格闘技を目指す弟との対比、そして2023~2024年とはちょっと思えない無茶苦茶な日本の警察のいわゆつ職務質問を描く映画です。
個人的には問題提起型の映画なのかな…とは思いましたが、日本において「行き過ぎた」職務質問は問題にはなっても実際に当事者が処分されることはレアで、ご存じの通り「行き過ぎた」程度だと結局従わざるを得ないので(従わないと面倒なことになるのはご存じの通り)、問題提起といって「警察官はこの作品をみて学習せよ」というものではなく、「日本にはこういう不条理がある」という部分における問題提起なのかな、といったところです。
この「警察のいきすぎた職務質問」についてはちょっと(映画内での)表現の度合いが厳しい(というより、ここは戦後の混乱した日本が舞台なの?というほど)ところもあり(一応、映画ではPG12扱い)、一方で回想シーンもあり時間軸が数軸(2軸かあって3軸か)あること等、理解がかなり難しいのかなといったところです。「フォリ・ア・ドゥ」は結局のところアメリカの刑訴法という特殊な分野の知識を要求するだけですが、こちらは日本国内の問題提起型の映画ではあっても、その「問題提起」を広くしすぎたためにあれこれ疑問点がわくシーンも多々あり、厳しいかなといったところです。
なお、この作品も色々な理由から「暗い」映画ではあります。また、貧しい生活環境にあることは「映画内での虫表現」などからもわかります(極端に虫表現が苦手な方は避けたほうがよいかも)。ただ個人的にはおそらく「行き過ぎた職務質問によるところ」と、「(明らかに生活が乱れている等)見えないSOSを発見して警察や行政等に相談する周りの目」というった問題提起の映画だろうといったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/主人公が多額の借金を背負った理由が説明されていない)
他の方も書かれている通り、この映画、「よくわからない点」が結構多い映画だったりします(細かい部分がカットされている?)。ちなみに先立たれた父親がどうして多額の借金を作ったのかも確か描写なしだったような気がします。
ただ、相続人が「当然に」借金を相続することはなく、単に相続放棄をすればよいだけの話でしかありません。この点、詐害行為取消権(現在では「~取消請求」)との関係が気になりますが(424)、「相続放棄は身分行為で、相続放棄を対象に詐害行為取消権を行使することはできない」というのが最高裁判例なので(昭49.9.20)、「どうして借金を背負っているんだろう」というのがよくわからず(最高裁判例と異なる構成を取っている?)、このあたりからわかりづらいところが多々あります。
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