劇場公開日 2024年10月11日

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若き見知らぬ者たちのレビュー・感想・評価

全123件中、61~80件目を表示

3.0発想、題材は興味深いのに勿体ない

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

若くして母親の介護をしながら苦悩の日々を描いた今作。
磯村さんの熱演が堪らない。
献身的に支える恋人役の岸井さんも流石の一言。
しかし、残念なのが、警察への描き方があまりにも、、、
そのせいでたのシーンのインパクトだったり心情が非常に薄れていった。
この映画の伝えたかったのは警察ではないとは思うのだが。
そのまま王道で進めたパターンが見たかった。

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ダルメシアン07

2.5あまりに共感しづらい

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

まとまりのない群像劇とでも言おうか。
要するに何だったのか、とにかく分かりにくいという印象しか残らない。観る側に解釈を委ねるというニュアンスなのかどうかすらよく分からないほど、この物語の主軸を定められなかった。つまり本来この作品の主題である「何が彼を殺したのか?」に対する解答を僕は最後まで見つける事が出来なかった。

彩人の死によって途中で主人公が弟へ交代するというアイデア自体は決して悪いとは思わないが、結局それが映画に何をもたらしたのか僕には正直あまり伝わって来なかった。もちろん僕の読解力の責任でもあるが、とは言え弟の背景がほぼ描かれていないので、そもそも感情移入出来るわけがない。なので後半は主人公が交代すると言うよりも主人公不在のまま話が進んだだけなのでは、と言わざるを得ない。だから主人公を交代させた意味は結局何だったの?となるわけだ。

最後の格闘技も、ワンカットで撮るという大胆さで素晴らしいシーンだったとは思う。ただその生々しさや迫力が映画をより「高み」へと導くという役割をまるで果たしてないように感じられた。ワンカットであろうかなかろうが、そのシーンが映画の中で効果的に生かされなければ何の意味もないわけで、もしかしてワンカットで撮る事自体が「目的」になってしまったのではと感じた。この映画のこの場面でこの長回しの格闘技シーンは本当に必要なのか?とさえ思ってしまうほど意味が全く見出せないのだ。だから非常に素晴らしいシーンであると同時にとても残念なシーンであるとも言える。でもこれだって要するに弟の人物像をしっかり描いてないからこういう事になるのではないか。

各登場人物も一人一人を見れば良かったとは思うが、基本的に描写や表現が少な過ぎて個々の人間性や心の動き、それぞれの関係性などが分かりづらく、想像するにしても振れ幅があまり大きいためひたすら戸惑ってしまう。例えば彼女が食べ物を吐くシーンも過食なのか妊娠なのかよく分からない。また母親をどう描きたかったのか、難病や貧困や介護の問題、父親の存在が兄弟に与えた影響、兄弟間の葛藤、友人との絆、それら全ての描写に何らまとまった方向性を見出せず、非常にストレスが溜まる形になったと言わざるを得ない。

そして何より警察官の対応や事件の処理の仕方などリアリティに欠ける表現がさすがに限度を大きく越えていて、それ以降の話がどうにもこうにも入って来ない。この作品に限らず意外にありがちだと思うのだが、世の中の「悪意」というものを表現する際に誇張が過ぎると逆効果というか「そんな事あるかい」とすごく冷めてしまうのだ。デフォルメの全てがいけないとも思わないが、少なくともこの作品においては彩人の死に直結するエピソードだけに、警察官との絡みはリアリティがとてつもなく重要ポイントだったはずだ。なので途中からすっかり気持ちが離れてしまったのは否定出来ない。

ただ唯一、彩人の死後に親友の大和が警察署へ出向いて警察官を問い詰めるシーン。「人なんて曖昧で不確かなものですよ」「だから信じるんですよ」このやり取りは良かった。これがこの映画のハイライトかなと思う。またチャンピオンになった弟がお店のカウンターで茫然と佇むラストカットもとても良かったと思う。ただこれも直前の格闘技シーンがいまいちハマってないから結局あのラストが生きて来ないのだ。本当はもっと圧倒的に良いシーンに出来たはずなのに。

それにしても群像劇がまとまる事なく最後までバラバラだと、結局何がしたかったん?となってしまう。改めて言うが僕の読解力の問題も否定は出来ない。ただ公平に見ても非常に伝わりにくい作品だと言うしかないだろう。基本的に監督は観る側に媚びたりせず、思うように好きなように作れば良いと個人的には思っている。とは言えただの「自己満足」になってしまってもいけないと思うのだ。

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luna33

2.5ああ無情

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

2点台は滅多につけないんですが……
認知症の母を抱えて生活が苦しく、夢も諦めてそれでも何とかギリギリ生きている青年に、次々と不運が重なる話。

表現したかったことは分からないでもないですが、観る側は、それで?と思います。
ドラマティックな悲劇というより、生活感のある災難が続きますがリアリティに欠けるから、共感できません。警察に怒られそう。何でも食べてしまうのに、テーブルの上に食べ物や調味料を置きっぱなしにはしないですよ。映像もわざと不快な感じにしてますね。
大変な役を演じた磯村勇斗さんと霧島れいかさんにはお疲れさまでしたと言いたいです。

カラオケの選曲、あれは無いですね。歌ってる場合じゃないところで敢えて歌うなら、私だったらTRAIN-TRAINにするかな。それとも、昔みんなで盛り上がって歌った曲。あの歌よりはリアリティがあると思います。

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ゆり。

1.5若い監督が撮ったとは思えない古さ

2024年10月14日
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陰々滅々とした話が延々続く。ツッコミどころだらけ。
不幸ばかりに見舞われる一家が主人公だが、被虐的な演出が過剰では
露悪的でもあり、若い監督が撮ったとは思えない昭和的な古臭さを感じました。

自分を抑えて恋人とその家族に尽くす日向、恋人が死んでもまだまだその家族と家に尽くすんだ、日本の伝統的家族制度の「嫁」ですか。こんなところも古い。

神奈川県警のあれはヒドイ
住民の通報があったなら目撃者だっているだろうし、なんで救急車を呼ばないのか、どこに連れて行こうとしたのか、何がしたかったのか、町中には防犯カメラだってある。検死すれば死因も明らかになるし、それら全部をもみ消せるっていうことですか?
世間では「神奈川県警」といえば〇〇と言われているけど、神奈川県警から苦情来なかったんだろうか

ほぼ動きのないひとつのシーンが長回しで延々続く、それが多用され、視線の先になにがあるのか、次にどうなるのか、なかなか表れなくてフラストレーションが溜まる。そのくせ、肝心なことを明らかにするかしそうな場面は一瞬でぱっと切り替わる。これ、監督的にはスタイリッシュなのでしょうか?

あんな母がいるのになんで公的扶助を受けないのか
母の病気は何なのか、いつからなのか、きっかけはあるのか
アヤトは難病らしいがどんな病状なのか
父親は退職金その他をどうしたのか
父親はなぜ死んだのか
スナック花火の血まみれの床を見て、なぜ誰も何とも思わないのか

などなど、疑問と不可解と不明解ばかりなのに説明がまったく足りていない。
ツッコミどころも満載。

後半、唐突に弟主観の話になり、それまで弟をほとんど掘り下げてないのに唐突すぎて今までのは何だったんだろうと思った。
そして、予想はできたが格闘技の場面を延々と編集なしワンショットで見せられる。

なんとか最後まで見たが苦痛だった。

今後、内山拓也監督の映画をみることはないと思う。

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かばこ

4.0映画ならではの良さ

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

9:25から観ました。観ようかどうか迷っていましたが、王様のブランチの映画コーナーに、磯村と岸井が出てて、感じが良かったので観ました。レビューの評価が良くないので、あまり期待していなかったのが、良かったのか、映画作品として、良かった!自分の母親の介護などテレビで、描ききれないところが秀逸です。親の介護はとても大変です。特に認知症があるとものすごく大変。私も母親の介護を経験してるので良く分かります。結局私は施設に入れましたが、本作は、磯村が精一杯面倒をみている姿に感動しました。警察の対応は良くないが、ありそうな感じが描かれている。暴力はいけないというメッセージが感じられました。岸井が素晴らしい!こういう彼女がいると救われます。染谷の演技も良い。格闘シーンもgood!やっぱり映画はいいね~観て損しない作品です。

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junjun

2.5傑作になり損なった凡作?

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

映画鑑賞中から???だった点を順不同で書いてみた。

①若い方の警官が良心の呵責から告発、或いは最低限の再調査を行うように警察内部での問題化、もしくは遺族に上司の隠蔽のことを教える等の行動はなにもしないまま?
②①がなかったとしても、医師の判断で彩人の飲酒量の検査結果や酒瓶による傷であることは分かるから司法解剖になりませんか?
(あの警官二人はそれをもみ消せるほどの大物ではまったくない!)
その結果、あのカラオケスナックでの調査が本格化するのでは?
③父親が「誤認逮捕で責められたことを苦に自殺」(という理解で合ってる?)という経緯があったことから、彩人の家族にとって警察は悪代官のような存在=滝藤賢一はその象徴のように描かれていたが、この警官が本当の悪者である3人を放ったらかしにしてまで救急車を呼ばない理由がまったく理解できない
④いやいや、この映画のテーマは警察の闇を浮き彫りにすることなんかではなく、もっと深い社会派ヒューマンドラマじゃなかったっけ?

不運な境遇にあっても、心はとっくに絶望でほとんど折れているのに、それでも公助に頼ることをせず(もしくは頼る方法を知らない)、自助努力でなんとかしようと真面目に働き、かろうじて生きている人。そんな人に追い打ちをかけるように襲いかかる不幸。
周囲にはそれを支えようとしてくれる人だっていたのに。日向=岸井ゆきのは彼の子を授かるほど愛していたのに(トイレのシーンはそういうことですよね?)。

これでもかというほど徹底的に報われることのない『若き見知らぬ者たち』。

穴だらけの設定は、それなりに意図的なものだとは思うのですが、ことごとく裏目に出てしまった。
そんなふうに感じました。

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グレシャムの法則

3.0何を描きたかったのだろうか?

2024年10月14日
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はりー・ばーんず

0.5人生初の頭痛を催した😱

2024年10月14日
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おたか

2.0苦痛であり不快

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

 鑑賞することが苦痛であり、不快でもある。不幸を凝縮したような家族を被写体にしたのは、わずかな幸せの光でも眩しく感じる効果を期待してだと思うが、露悪的というか被虐的な演出が過剰で、ゲンナリする。

 中盤終わりで、最大の事件が発生するが、いくらなんでもそれはないでしょ。興醒めするリアリティのなさ。

 ラスト20分は、やっと見れるようになったが、伝統的家族観に答えを見出そうとするあたりに、この作品の古さが垣間見える。

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bion

4.0前半がとても良かった。 前頭側頭型の若年性認知症の母を諦めた視線で...

2024年10月13日
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鑑賞方法:映画館

前半がとても良かった。
前頭側頭型の若年性認知症の母を諦めた視線で懸命に介護する息子。
辛さを一人で抱えて、昼夜働いて頑張っている。
お金がなければ介護サービスも使えない。家族で介護するしかない。
幸せになって欲しいと願いながら観る。

中盤、理不尽な暴力に晒される。
これについては他の方も書いてるように胸糞が悪いの一言。映画館で叫び出したくなるほどの胸糞の悪さ。
ここからはだいぶツッコミたくなることのオンパレード。

弟の試合のシーンは格闘技に興味のない私は長いと感じた。

それでも私はこの映画を観て良かったと思った。

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みさこ

3.0舞台挨拶にて鑑賞 テーマ、ストーリー共に重い重い。 途中で帰りたく...

mさん
2024年10月13日
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鑑賞方法:試写会

舞台挨拶にて鑑賞

テーマ、ストーリー共に重い重い。

途中で帰りたくなったくらい胸糞悪かった。

お母さんを施設になんで入れないのかずっと分からなかった。
生半可な気持ちで観に行く映画ではなかったなと後悔。面白くない映画ではないけどどんよりした気持ちで帰りました。

覚悟して観に行った方がいいかな…。

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m

2.0ご都合主義。だから、撮り手の撮る動機の浅さが分かる。

2024年10月13日
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非支持。
出た、これぞご都合主義。
思い当る世の不幸要素を主役周りに並べ置き、
不埒な酔客と悪徳警官を偶然に最適時に会わせる。
野暮を言うが、
家にその症状の病人が居るなら、
食材と卓上調味料は毎回全部片付けるだろ。
そういう脚本と描写の浅さから、
撮り手の撮る動機の浅さが分かる。
取って付けたかの拳闘試合長回しも宙に浮く。
次作には期待。

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きねまっきい

3.0わかりにくいのがもったいない

2024年10月13日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

悲壮感漂う予告から話の結末が気になり、公開2日目に鑑賞してきました。予想どおり観客はまばらでしたが、それも頷ける感じの作品でした。

ストーリーは、病気で自身の行動も制御できない母・麻美と格闘技で頂点を目指す弟・壮平の三人で暮らす青年・風間彩人が、母の世話をしながら昼は工事現場、夜はカラオケバーを経営して生計を立てる一方、母の不始末の謝罪と弁償に奔走する毎日を送っていたある日、バーに現れた理不尽な客とのいざこざから事件に巻き込まれてしまうというもの。

こう書くと事件ドラマに思えるかもしれませんが、そういう類の話ではありません。全方位にわたって救いのない彩人の生活が、序盤から終盤に差しかかる頃までずっと続き、とにかく胸が苦しくなります。こんな生き地獄のような生活の中で、人間らしさをかろうじて失わない彩人の姿が沁みます。理不尽な職質を受ける若者を見過ごせずに警官との間に入ったのは、警官だった亡き父の「あらゆる暴力から自分の範囲を守るんだ」という教え、その父が誤認逮捕を犯してしまったことから狂い始めた人生を思ってのことでしょうか。

また、母への接し方にも胸を締めつけられるものがあります。スーパーの商品を勝手に持ち帰る、近所の畑を荒らす、台所にさまざまな物をぶちまける、しまいには水道を出しっぱなしにして水浸しにするといった奇行を繰り返す母。実の親でも殺意を感じるレベルの壊れ具合を見せる母に対して、怒りをぶつけることなく穏やかになだめる彩人の姿には、優しさを通り越して、心を無にする諦めの境地が見て取れます。途中で描かれる自殺を思わせるシーンは、その表れでしょう。

そこへ追い打ちをかけるような酔っ払い客、さらに理不尽な警察の仕打ちに、はらわたが煮えくり返る思いがします。友人の大和が詰め寄るも、保身を図ってのらりくらりの対応を見せる腐った警官と警察組織に吐き気がします。壮平と仲のよい警官が辞めたのも、そのあたりが理由なのでしょうか。

本来なら、そんな彩人と支え合わなければいけないはずの壮平さえ、彩人との確執もあり試合を優先して自宅を離れます。格闘家の彼も、父の教えを受けてリングに立ったように見えますが、本作における存在意義がイマイチ見出せません。壮平は辛くもベルトを手にしますが、彩人を亡くした今、暴力ではない格闘能力で彼が守ったものは何だったのでしょう。とはいえ、タイトルマッチでのワンカット長回しのファイトは圧巻です。普段は格闘技を見ることがないので余計にそう感じたのかもしれませんが、福山翔大さんの役者魂がビンビン伝わる迫真のファイトが秀逸です。

ただ、全体的には悲壮感が漂うばかりで、本作のテーマがどのあたりにあったのかはよくわかりません。彩人と壮平がそれぞれの信念に基づいて“自分の範囲を守る”ために奮闘する姿を通して、現代の若者が抱える悲しみや怒りを描こうとしたのでしょうか。だとすると、回想シーンから父への尊敬や思慕を感じさせるものが少なすぎたように思います。いずれにせよ、悲惨な末路への切なさと理不尽な暴力への胸糞の悪さが印象的な、苦味の残る作品です。

主演は磯村勇斗さんで、これまでの役とは異なる抑えたトーンが印象的です。脇を固めるのは、岸井ゆきのさん、福山翔大さん、染谷将太さん、霧島れいかさん、滝藤賢一さん、豊原功補さんら。中でも、霧島れいかさんの壊れっぷりが凄まじいです。

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おじゃる

4.5「舞台挨拶」

2024年10月13日
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鑑賞方法:映画館

知的

今年240本目。

土曜日この映画館の舞台挨拶。他の所と合わせて本日5回目だったそうです。凄い。監督がゆるくても鋭く表現しようと。現実にはどうしようもない厳しい環境もある。そこをここに来たお客さんも表現者、一緒に発信して行こうと。身に染みる言葉がたくさんありました。

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ヨッシー

3.0ヤングケアラーの思いを代弁した作品

2024年10月13日
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鑑賞方法:映画館

どんな内容の映画なのか、あまり詳しい情報を持たずに鑑賞しました。ただ主演の磯村勇斗をはじめ、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、滝藤賢一、豊島功補、霧島れいかなどなど、若手からベテランまで中々の巧者を集めていたことに期待していました。内容的には、チラシの写真で磯村勇斗が頭にピストルをあてていたので、てっきりノワール系なのかと思っていたものの、全く違う内容でした💦チラシで注目すべきは、ピストルよりも磯村勇斗の虚ろな視線の方だったようです。

で、肝心の内容ですが、いわゆる”ヤングケアラー”のお話でした。若くして前頭側頭葉変性症という一種の認知症を患った母親(霧島れいか)の介護をしながら、父親(豊島功補)の残した借金の返済も続ける兄弟(兄・磯村勇斗、弟・福山翔大)という、何ともやり切れないシチュエーションに置かれた主人公の生き様を描いており、未来への光明が全く見えないその救いのなさに、気持ちは自ずと沈まざるを得ませんでした。

ただ注目すべきは、こうしたヤングケアラーに対して公的支援(公助)がないとか、地域社会や周りの人たちの手助け(共助)がないと言った現代社会の重大問題を告発している訳ではなく、また自らの努力(自助)が足りないと言った話を描いている訳でもなかったこと。一般に介護保険の適用は、65歳以上の高齢者に限られますが、認知症については特定疾病に該当し、40歳以上であれば介護保険の給付対象になるようです。従って、本作でもセリフの中で少し触れられていましたが、母親の年齢から考えれば恐らくは介護保険の助けを得られると考えられた訳ですが、磯村勇斗演ずる彩人は適用申請をしようともしていないことが窺われました。

また、母親を定期的に病院に連れて行きながらも、処方された薬を自分で服用している彩人の行動は、中々理解できないものでした。母親が、スーパーの商品を勝手に食べてしまおうが、近所の畑を荒らそうが、水を出しっぱなしにして台所を水浸しにしようが、キレもせずに母親を見守り続ける彩人の心の深奥に、一体何があるのか?これは観た人それぞれが百人百様に感じるものであり、監督の意図も観客毎の解釈に委ねているように感じました。

私的には、ところどころ挿入されるピストルで頭を撃たれる(若しくは自ら撃つ)妄想シーンを観る限り、彩人の心には無力感が満ちており、生きることへの執着が一切感じられませんでした。こうした心理状態こそ、”ヤングケアラー”の特徴的な心情なのかと想像するしかありませんでした。監督が伝えたかったのもそうした立場に置かれた人たちの他人に伝えられぬ思いだったのだろうと解釈が、果たしてどうなのでしょう。ただ質の悪い警官(滝藤賢一)や質の悪い酔っ払いの存在に引っ張られて、ストーリーが一定の方向性を見出しにくくなっていて、”ヤングケアラー”の理解を妨げているような気もしたところに若干首を傾げてしまいました。

あと、総合格闘家を演じた彩人の弟・壮平を演じた福山翔大が、試合のシーンで3ラウンド2分31秒の間、ガチで闘っていたのは評価すべきかなと思います。シナリオの範囲で動いているのは勿論ですが、身体を仕上げて”試合”=”撮影”に臨み、インターバルを挟みながらも9分近く動き続けた福山の役者魂は素晴らしかったです。

そんな訳で、本作の評価は★3とします。

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鶏

2.0後味の悪さしか残らない

2024年10月13日
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tohko

3.5何から何を守るのか

2024年10月13日
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警察嫌いになる映画です。
磯村くん、岸井ゆきのさん、染谷くん、みんないい仕事してます。

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ひつじさん

2.5妄想と現実の区別が・・・

2024年10月13日
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悲しい

難しい

風間彩人は、亡くなった父の借金を返済するため、認知症の母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いていた。そして、恋人の日向と結婚を望んでいた。総合格闘技の選手となった弟の壮平も、借金返済と介護を担いながら、練習に明け暮れる日々を送っていた。しかし、彩人の親友の大和の結婚祝いのパーティの日、3人の酔っ払いがカラオケ店に来て、閉店だと告げると暴力をふるってきて・・・さてどうなる、という話。

現実と妄想の区別が付きにくく、やたら拳銃で撃ち殺されるシーンが出てくるが、あれは何なんだ?
それと、カラオケ店に彩人の血が残ってたのに誰も気にしないのはおかしくないか?
警官もあんなに無茶苦茶な事するか?
負の連鎖のようなストーリーで光が無いのが悲しかった。
磯村勇斗や岸井ゆきの、染谷将太、霧島れいか、滝藤賢一、など、役者は素晴らしかったのに、脚本?演出?がイマイチだった。

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りあの

3.5いつの間に、こんなふうになってしまったのか…。

2024年10月13日
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悲しい

知的

難しい

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のりたまちび

2.5お前、顔汚いな

2024年10月13日
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あー胸くそ悪い…
冒頭のキスシーン、舐め回すようなカメラワーク、妙な長回し、蟻の大群、蓋をせず写し出されるものたち、警察官、長い格闘シーン、過去の挿入、床の汚れ、大量の卵焼き、過食、警官の辞職願…何もかもが胸くそ悪い…
でもきっとそういうことなんだろ、これは。

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shige12
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