「インド人目線になってしまうほど素晴らしい英雄譚」サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
インド人目線になってしまうほど素晴らしい英雄譚
「RRR」を観たときに意外だったのが、エンドロールで独立運動で活躍した(らしき)人たちを映して称えていたこと。インドにとって、イギリスから独立したことの持つ意味の大きさを感じた。
本作は、イギリスによるインドの植民地化が始まった時期が舞台。基本的にインドの人たちの独立運動が描かれる。独立運動というか、レジスタンス運動であり、抵抗の戦争だ。個人的には、このレジスタンスが描かれる物語にめっぽう弱い。
ナラシムハーがリーダーとして認められ、イギリスの軍人を次々と殺していく姿は実に痛快。やはり、序盤にイギリス人将校の酷さをちゃんと見せているからだな。完全にインド人の立場で「イギリス憎し!」と思いながら観てしまった。
もちろんスローをうまく使いながらのアクションシーンもさすがの迫力。飛び上がり、回転し、敵を切り、倒し刺していく姿はカッコよかった。そんな首の飛び跳ね方ある?ってシーンもあって思わずニヤけてしまう。ちなみに、ナラシムハーが茂みから馬に乗って飛び出してくるシーンがあるのだが、あれインド映画で定番なのかな。「RRR」では虎かなんかに乗って飛び出してきたし、この前観た「マガディーラ」でも似たようなシーンがあったから、ちょっと笑ってしまった。
ナラシムハーの恋愛も描かれているが、このへんは現代の感覚で見ると若干の違和感があったのはたしか。愛し合っているのに別れてしまった恋人がいながら、結婚した妻にすぐ愛情感じてしまうし。でもその別れた恋人の再登場もまたよかった。ああいう盛り上げ方うまいよな。
ナラシムハーが立ち上がった思い、戦った姿は、次の人に引き継がれていくということなのだが、インドの植民地時代長いな!たくさんの独立運動の英雄たちを称えるシーンを入れたくなるのもわかる。あの恨みはそう簡単には消えない。完全にインド人目線で物を言ってしまう。