劇場公開日 2024年3月22日

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「正直よくわからん。こういうのはテレビでやったほうがいいんじゃないの?」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 よんしんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5正直よくわからん。こういうのはテレビでやったほうがいいんじゃないの?

2024年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

う~ん、空に正体不明の宇宙船が浮かんでるのに日常生活が続いている・・・って、『第9地区』以降、けっこう出てきたジャンルだけど、この世界の為政者さんたちが非常にステレオタイプで短絡的に攻撃しようとしたりする。んでアメリカ様は日本で好き放題やる悪者ってよくある構図。
シン・ゴジラでは退避してないおばあさんのために攻撃を控えたせいでとんでもない結果になったけど、この世界の偉い人はすぐ近くを旅客機が飛んでいようと攻撃する。
もう、偉い人たちがバカ。まったく現実味がない。すごい兵器作る頭はあるのに。
巨大な未確認飛行物体に攻撃したら、地上に多大な被害が及ぶって考えもない。
現実の世の中では飛行機の部品一つ落ちてきても大騒ぎなのに。

辞職に追い込まれることをビビってる高校教師が平気で女子生徒を自宅アパートに入れる。ドアも閉める。
んで、卒業したらセ〇レにしてやるとか言う。
世の中の先生は、異性の学生と二人っきりになる場合、めちゃくちゃ気を使いますよ。

申し訳ないんだけど、全部ステレオタイプっぽくって、こういう人いるよねっていうのを描きたいんだろうなあ、って感じ。でもどうしても浅く感じてしまう。まさにおんたんの兄のようにネットの世界の情報と想像だけで構築したような人間ばかり出てくる。
これが、こんなステレオタイプに描かれた人間たちは現実にはいないだろうという、あえての演出だったらすごいと思う。

もしかして、このまるでリアリティのないステレオタイプな世界が、実は過去の出来事によって少女たちの想像やら望みやらでつくられた世界だったとかいう展開だったら衝撃かも。ビューティフル・ドリーマー以来の名作の誕生???

作中でリアリティを感じたのが「イソベやん」の「デベ子」。アニメの中の漫画のキャラクターが一番現実的だった。でも主人公はデベ子を否定してるのよね。
このくだりも一時期しずかちゃんを否定する流れみたいのがあったのを彷彿とさせたなあ。

本作はテレビアニメでなく映画なわけだから、観る方としてはこの映画がどこに向かっているのかを探るわけですよ。どうなるのがハッピーエンドで、どうなってはいけないのか?というのが描かれ、観客はそれを理解して映画を見進めるというのが映画鑑賞のセオリーなわけだけど、この作品はそれがない。少なくとも前章ではそれを示してくれるところまで行かなかった。なもんで、物語的な盛り上がりどころがなく終わってしまう。

ところどころ友人の死とかUFOの撃墜とか、ストーリーのポイントになりそうなエピソードがちりばめられるんだけど、一つ一つを掘り下げず、引きずることもなく何事もなかったように話が進んでいく。
言ってみれば、えげつないことが起こるけど、スルーしていく日常系アニメって感じ。

なんだろ、今どきの映画やアニメの見方に慣れちゃったのか、山場もなくとにかくつかみどころがなく進んでいくストーリーに困惑させられました。
少なくとも、つかみとか、次回への引きとか、物語を作るうえでの良しとされているものがないもので、つまらなくはない、面白そうだけどなんだかよくわからない作品でした。

ただ、評価はいいようなので、今どきはこういう作品が受けるのかあ…、と自身の感受性のなさに落ち込む要因にはなりました。

※追記 : 原作者の方の舞台挨拶を見て、徹底的に原作者がかかわっていて、そのこだわりが後章の公開延期に繋がっていると知りました。ドラマ化で原作者が生命を失う時代に、逆に原作者が携わって映像化に魂を込め生命を吹き込んだ作品を、ちゃんと最後まで観たくなりました!

よんしん