「絶絶絶絶対聖域」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
絶絶絶絶対聖域
アニメ映画が今年も豊作、今作も原作は未読ですが、雰囲気が好みでしたし、終末世界ものには目が無いので喜んで鑑賞。特典はポストカードでした。
東京の上空に突如現れた母艦が空中に停滞したまま数年過ごしていて、それが日常に溶け込んでしまっているような状況、身も蓋もない情報に踊らされる人々、人の目を気にしいで動けないもの、このコロナ禍でより浮き彫りになった課題などを浅野先生が既に描いていたのは先見の明があるなぁと感心するばかりです。
SFの部類の中でも<すこしふしぎな>に該当する作品で、ズレた日常の中で生まれる青春や友情や葛藤が詰め込まれており、主人公2人がその状況下でわちゃわちゃする合間に過去が語られたりするので、頭をフル回転させながら観れたのがまた良かったです。
事故で亡くなってしまう友人の喪失感だったりを紛らわそうと必死になったり、過去の出来事が現代に繋がっていったりと、ならないでくれと願った方向へと全速力で向かっていってしまうのもダークさが滲み出ていました。
終盤はセカイ系に当てはまる感じの壮大な物語になっていきますが、浅野先生の毒は要所要所に残っているので、原作がより一層読みたくなってしまいました。
幾田りらさんとあのちゃんがメインキャラクターを演じていますが、超熱演でクセのあるキャラクターを乗り切っていたのが印象的でした。
真面目さの中に自分の正義を信じすぎてしまうがために、暴走してしまう未熟な狂気を兼ね備えていた門出ちゃんが凄かったです。全体的に聞き取りやすい声でしたし、幾田さんマルチな方だなぁと再認識しました。
おんたんはもうドンピシャリであのちゃんがハマっていました。ふにゃふにゃな喋り方やハイテンションで駆け回る姿、殻にこもっていた昔の姿だったり、もうあのちゃん以外考えられないんじゃないくらいのはまりっぷりには拍手ものでした。
ドラ○もんをブラックな方に昇華させた「イソべやん」が良いモチーフになっていて、この作品も読みたいですし、杉田さんとTARAKOさんの邪な掛け合いも魅力たっぷりでした。
作画も素晴らしく、浅野先生の独特な絵柄がアニメになって動き回っているのが衝撃的でしたし、クセの強さもどんどん馴染んでいきました。
爆発描写や東京の街のディストピアな雰囲気だったり、背景部分にも凝っていて
前章だけでもとんでもないボリュームと情報量が襲ってきて最高でした。
後章は2ヶ月後、ここからどんな決戦が始まるのか、どんな結末を迎えるのか、注目していきたいです。
鑑賞日 3/22
鑑賞時間 10:00〜12:15
座席 M-6