ブルーバック あの海を見ていたのレビュー・感想・評価
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ブルーバック あの動きはスゴイ
監督は見逃した評判作「渇きと偽り」のロバート・コノリー。
8歳時、15歳時、そして現在の娘(海洋生物学者)と母親(環境活動家)との物語が交差する。
海の見える家からの風景、夕陽、海上の風景、海の中等いつも画がキッチリしている。色合いも良い。
本当に驚いたのはブルーバック。あの魚との触れ合いをどうやって撮ったのかと思って家に帰ってメイキング映像を確認したら、なんとクリーチャー・テクノロジー社の作ったものだった。私は旅先でも水族館に行く程魚類は好きなのだが、水中でのエラや胸ビレの動きは本当の魚にしか見えなかった。水中で電動は使えないので4人がかりで操作して動かしているそうだ。
映画を観たら、ぜひメイキング映像を確認して欲しい。監督とスタッフのこだわりがこの映画を更に素晴らしいものにしている。
見逃した「渇きと偽り」を見なくては。
追記 メイキング動画は予告編・動画一覧にあります。
環境問題訴求映画としては弱いが、ネイチャー系映画と映画としてなら及第点
2024.1.2 字幕 アップリンク京都
2022年のオーストラリア映画(102分、G)
原作はティム・ウィルトンの『Blueback(1997年)』
脳卒中で倒れた母の元に帰る海洋学者が故郷の思い出を振り返るヒューマンドラマ
監督はロバート・コノリー
脚本はロバート・コノリー&ティム・ウィントン
原題の『Blueback』は、劇中で主人公が魚につける名前
物語の舞台は、オーストラリアの西オーストラリア州にあるロングボード・ベイ
海洋学者のアビー・ジャクソン(ミア・ワシコウスカ、15歳時:イルサ・フォグ、8歳時:アリエル・ドノヒュー)は、助手のギトゥンドゥ(Albert Mwangi)とともに海洋調査に出向いていた
珊瑚礁の実態を調査するために海に潜り、検体を採取してはそれを記録していくアビー
そんな折、幼馴染のブリッグス(クレランス・ライアン、15歳時:ペドレア・ジャクソン)から「母ドラ(ラダ・ミッチェル、老齢期:エリザベス・アレクサンダー)が脳卒中で倒れた」との連絡を受ける
慌てて故郷に帰るアビーだったが、母は脳卒中の影響で言葉を発することができないと聞かされる
アビーは母との思い出に耽り、自分が海洋学者になろうと決意した過去に思いを馳せていた
映画は、8歳時に初めて海洋でダイビングをした思い出から始まり、15歳時に海洋の専門学校にいく決意を固めるまでを描いていく
母は地元の海を守る環境活動家で、湾岸開発業者のテッド・コステロ(エリック・トムソン)と事あるごとに衝突していた
時には警察が鎮圧するデモに発展し、母は決定権を持つ評議会に訴えかけていく
その頃のアビーは母と距離を置き始め、8歳時に遭遇したブルーバックと名付けたウェスタングローバーという魚との日々を過ごしている
ブリッグスと良い感じになりながらも進展せず、魚の絵を描いては、より詳しくなるために勉強に励む日々を過ごしていた
さらに、漁師のマッカ(エリック・バナ)と仲良くなり、担任のカーライル先生(Dalip Sondhi)からたくさんのことを学んでいく
アビーは、母の活動から距離を置いていたが、ある時、自分が描いた絵を持って町役場へと向かった
固有種の絶滅危機を訴えるものの、評議会からは良い反応を得られない
だが、有権者の一人が心を変えたことで、母の活動は一歩前に進むことになっていた
映画は、ほぼ回想シーンで構成され、主にブルーバックとの日々が描かれていく
ヒーリングビデオにも似た映像美と魚たちとの交流が描かれ、物語としてはさほど奇妙な展開を迎えることはない
ロバースヘッドと呼ばれる湾の窪みに棲んでいたブルーバックを助けるために取った行動が決定機となって海は守られることになったのだが、環境汚染の背景に違法な経済活動があるというわかりやすい展開になっていた
これらは原作者の体験談に近いものと思われるが、環境系の訴求効果としては、広大な海の映像と自然との戯れを見せることで、これを壊す意味があるのか?を問うていく流れになっているように思える
湾岸開発の無許可状態での強硬とか、リアルに描かれる側面もあるものの、そのあたりが背景になっていることが本作の特徴的な部分だろうか
いずれにせよ、海洋ネーチャー系ドラマとしては淡々とした内容で、ドラマ部分に重きを置くと少し退屈な映画かもしれない
ブルーバックとの交流はどうやって撮ったのだろうかと思わせるほどの接近描写になっていて、助けるためとは言え「ブルーバックを殴るシーン」があったりするので、別の意味でハラハラしてしまう
これらの映像美に浸る映画になっているので、それを楽しめる人ならば問題ないと思う
環境問題への提起としては弱いものの、これ以上提案が強いとクドイと思うので、これぐらいがちょうど良いのかもしれません
ブルーバックにもう一度会いに行きます
主人公の幼少期から成人としての現在まで、回想シーンを含めとても丁寧にバランスよく描かれ、脚本、演出とても素晴らしい作品でした
鑑賞した後もホームページ、動画を見返すたびに日本から遠くはなれた、日々温暖化にさらされる西オーストラリアの風景が目に浮かびます
ブルーバックの命を守るために彼女が取った悲しみの行動から、月日を経て故郷の自然を守る事になってのエンディングでの再会、2023年末最後に出会えた素晴らしい作品でした
あそこに潜ればいつもブルーバックがいる、そんな素晴らしい環境で生活できたらどんなに幸せなことか、そしてそれを守るためなら、自分も何かの形で行動を起こすはず
今週またブルーバックに会いに行きます
彼女が守った海
この映画に登場するブルーグローパーとは少し違うが、かつてYouTubeで観たダイバーと心を通わせ続けるコブダイの存在を真っ先に思い出した。
どちらも巨大で長寿な魚であることは同じで、そのいかつい見た目とは対照的な愛くるしさと、人と魚が交流することが出来るのだという驚きの事実に感動させられた。
しかしどちらも美味な魚であるという点も共通している。
観終わってから非常に複雑な気持ちにさせられる映画だった。
この映画は海洋学者であり環境活動家でもあるアビーの目線によって語られるのだが、彼女の生活が自分とは全く無縁の世界だと思っていたことに気づき、何とも言えない居心地の悪さを感じてしまった。
漁師が魚を獲ることによって我々はその恩恵を受けているわけだが、一方で乱獲によって環境が破壊されているという事実もある。
そして開発によって貴重な生き物の住処が奪われているという事実も。
アビーはオーストラリアの海でサンゴの生態を調査しているのだが、ほとんどのサンゴが白化してしまっている事実にショックを受ける。
そんな折、母親のドラが脳卒中で倒れてしまったと連絡が入る。
何とか一命は取り留めたものの、ドラは口がきけなくなってしまう。
彼女は母親の姿を見つめながら少女時代を回想する。
初めてのダイビング、そして初めてグローパーの「ブルーバック」と心を通わせた瞬間。
無骨だが憎めないはみだし者の漁師マッカとの出会い、そして突然の別れ。
彼の死によって故郷の海が荒らされ始めたこと。
熱心な環境活動家のドラが必死で故郷を海を守ることを訴えていたこと。
そして故郷の海を守りたいと願うドラと、世界の海を守りたいと願うアビーの間に亀裂が生じ始めたこと。
アビーの危険を顧みない行動によってブルーバックは救われたが、それ以降姿を見せなくなってしまったこと。
映画の終盤でドラの尽力によって故郷の海が環境保護区になっていたことが明らかになる。
アビーとドラは離れ離れになってしまったが、ドラはずっと故郷の海を守り続けてきたのだ。
誰かが声を上げなければ、失われてしまう自然はまだまだあるのだろう。
故郷の海にクジラが戻って来るクライマックスは感動的、そして久しぶりに故郷の海にダイビングしたアビーが目にしたものも。
海の青の美しさと対照的に、人間の行為がとても恐ろしく感じられる作品でもあった。
ハッピーエンド過ぎて
ハッピーエンド過ぎたのが、逆に残念でした。
母と娘の成長を描いた映画ですが、映像は綺麗だった一方、人間の自然破壊は愚かでした。
成り行き上、魚を殴るシーンがありましたが、流石に「この映画で動物虐待はしていません」の字幕は流れませんでした(笑)
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