ホゾを咬む

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ホゾを咬む

解説

PFFアワード2023に入選した短編「サッドカラー」などで高い評価を得る新鋭の映像作家・高橋栄一監督が、ASD(自閉症スペクトラム症)のグレーゾーンと診断された自身の経験に着想を得て手がけた長編作品。その独自の視点と切り口で、「愛すること」をテーマにモノクロームの映像で描いた。

不動産会社に勤める茂木ハジメは結婚して数年になる妻のミツと2人暮らし。ある日の勤務中、ハジメは普段とは全く違う格好のミツを街で見かけるが、帰宅後に本人に聞いてみると、ミツはどこにも外出していないと言う。ミツへの疑念や行動を掴めないことへの苛立ちから、ハジメは家に隠しカメラを設置する。周囲の人々の言動に心を掻き乱されながらも、妻の監視行動を続けるハジメ。そしてある日、ミツを尾行しようとする彼の前に、見知らぬ少年が現れ……。

主人公のハジメ役は「MAD CATS」「クレマチスの窓辺」のミネオショウ。映画デビュー作「少女 an adolescent」で国際的にも評価されて以降、活躍を続ける小沢まゆがヒロインのミツ役を演じているほか、プロデューサーも務めている。

2023年製作/108分/G/日本
配給:second cocoon
劇場公開日:2023年12月2日

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映画レビュー

5.0美しいコメディとサスペンス

2023年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

一見相反するジャンルが絶妙なバランスで同居している

『サッドカラー』の、美しさの中に共存するバカバカしい笑いと狂気に大興奮!
『ホゾを咬む』の公開を楽しみにしていました。
『サッドカラー』が“笑いと狂気”だとしたら『ホゾを咬む』はミスコミュニケーションから生まれる“笑いと恐怖”…
恐怖と言ってもホラー的な怖さではなく、心がゾワゾワして不安感に襲われるので、サスペンスの恐ろしさに近い。
とにかく一つのシーンがコメディにもサスペンスにも映る面白さ!
そしてどちらも美しい愛の物語です。

漫画家の楳図かずお先生が「人間の原始的な感情である“恐怖”と“笑い”に興味がある。」と語ってらしたのがずっと心に残っていましたが、髙橋監督の映画で実感しました!
そもそも笑いは人の不幸で出来ているものですが、笑いと恐怖も紙一重。
行き過ぎた笑いは恐怖になって
行き過ぎた恐怖は笑いになる
まさに楳図ワールド

ちょっとした偶然なら笑えるけど、ものすごい偶然だと怖くなるし
ちょっとした勘違いなら笑えるけど、ものすごい勘違いだと怖くなる

知っていると思っていた相手の別の顔が見えた時…
相手のことを信じられなくなるのか?
それとも自分のことを信じられなくなるのか?

自分を形どっているはずの“自分”という存在までもが危ぶまれてくる恐ろしさ。

相手の見えていなかった部分が“本当”なのだとしたら、見えていた部分は“偽物”なのか?
でも、同じものを見ていたとしても、受け止め方は人それぞれだし、自分だって自分の耳の裏は見えていない。
自分自身ですら自分のことがわかっていると言えるのか?
むしろ出逢う人それぞれの中に、異なる自分が存在しているのだと思えてきます。

会話をじっくり分解して観察することで、会話に至るまでの心理の裏側が炙り出されていきます。
本当は聞きたいことがあるのに、言い出せなくて別の話題をしてみたり。笑
聞いて欲しかったのはそこじゃないのに、相手は別のポイントが気になっていたり。笑
こちらの真意は言葉にしないと相手に伝わらないけど、言葉にしたからといって相手に伝わるとも限らない。
私たちが普段あまり意識せずに交わしている会話の裏には様々な心理が交錯していて、表情やちょっとした仕草、間などから瞬時に判断して次の言葉を選んでいる。
“会話をする”ということは非常に高度でエキサイティングなコミュニケーション。
そのドキドキハラハラも伝わってきます。

見えていない部分を無理に見ようとしなくても良いけど、相手に一歩近づきたい。

子供の頃、大人たちがする天気の立ち話を生産性のない不毛な会話だと思っていましたが、コミュニケーションを取ろうとすること自体が愛なのよね。

監督でもあり脚本家でもある足立紳さんが「奥さんの事が大好きすぎる人の話し」とおっしゃってましたが、まさにその通り。
不器用な愛が笑えて泣けます。

こだわり抜かれたモノクロの映像は、どこを切り取っても絵になる美しさ。
こんな詩的な映像に笑いを入れてくるセンスがたまらない!
私、泣かせるよりも笑わせる方が難しいと思っているコメディ至上主義者です。
ベタな笑いも好きですが、本人たちはこの上なく真剣なのを引いた目線で捉えた笑いが大好き。
長回しだから活きる面白さに、カットのタイミングで笑わせる気持ち良さ!
寝室のシーンが最高に笑えました。

◾️2024/2/25 カラー版鑑賞
1回限りのカラー版の上映とのことで、ファンとしては見逃せません。

色がつくことで登場人物やモノに質量が生まれる!!
モノクロ版の幻想的な禍々しさや緊張感が薄れて、リアル世界のヘンテコな人々の物語に見えました。

確かに監督の狙いとしてはモノクロが正解なのですが、双子が座るソファーとラストの暖かな光には、カラーならではの感動がありました。

観ることができて本当に良かった。

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shiron

3.0パラアミノ安息香酸

2023年12月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

他の様々な文芸作品でも描かれているように、愛する者への関心は容易に嫉妬や猜疑に結びつく訳で、それを突き抜けるのか、ありのまま受け容れるのか、答えを提示している訳では無いが、腹を括るきっかけになるかも。夫の持つ日傘は常識とか世間とかで、変な餓鬼は「客観」みたいな物かな?
夫婦円満の秘訣を伝授する教育的作品とか、◯津◯二郎のパロディとか、色々解釈・連想できる面白い一本。

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ひろちゃんのカレシ

3.0妻の浮気を疑う男の幻想譚

2023年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

妻の浮気を疑う男の幻想譚。

柔らかいトーンのモノクロで綴られる白昼夢。夫が務める不動産会社を訪れる変な客たちやら、日焼け止め男 (「はこぶね」の 木村知貴) やら、飛行帽の少年やら、クセのある脇役が可笑しい。

実にあっけない結末も良い。客を選ぶ作品とは思うが決して出来は悪くは無い。

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Jellyfish

0.5日焼け止めの方が気になる

2023年12月3日
Androidアプリから投稿

単純

寝られる

町で普段とは違う格好の妻をみかけたサラリーマンが、不安に苛まれる様になる話。

普段家から出ずに過ごす妻とそっくりだけど派手な服装の女を見かけ、帰宅後聞いたら出かけていないと言われて…。

モノクロにしている狙いも良くわからないけれど、全体的に引きの画が多いし画面が暗いし、殆どの場面で表情がよく見えない。

何がしたいのかわからないシーンも多いし余計な間が多く、会話も噛み合っていなかったり、兎に角まったりで非常に冗長。

カメラを買いに行くシーンも店内のポップを読んで察して下さいですか?

疑心暗鬼に陥って、闇堕ちしたり狂気的になって行く様な感じもなければ、鬼気迫る様子もなく、子供がついてくる辺りからの流れはかなり無理があるし。

自分には何から何までと言っていいぐらいハマらなかった。

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Bacchus