「一作目は神堕ちとして、二作目は神奉じとして」JUNK WORLD ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)
一作目は神堕ちとして、二作目は神奉じとして
2021年公開の〔JUNK HEAD〕から四年を経ての新作。
前日譚の〔JUNK WORLD〕の舞台は
遡ること千年前の世界とされている。
地下世界で起きた異変を調査するために人類は部隊を派遣、
人工生命体「マリガン」と共に探査にあたる。
人類と「マリガン」との間には
嘗て戦争があったものの、今では停戦協定が結ばれている。
往時でも女性の存在は貴重であり、
地上から降りてきた女性隊長『トリス』を巡り、
「マリガン」の先鋭思想「ギュラ教」信者との間に、
スラップスティックめいた争奪戦は繰り広げられる。
が、狙われる方はたまったものではないだろう、
なにせ彼女を食べることで、性の分化が得られるとの
カルトまがいの思想なのだから。
前作で頻出した男根をイメージさせるクリーチャーの登場は過少。
もっとも、そのモノ自体をギャグとして扱うシーンはある。
その一方で、
千年後の世界でも連綿と存在する異形のモノが
なぜ生まれたのかは明らかにされる。
また、前作でも、愛情(のようなもの。生殖行為は失われている)は描かれたが、
本作では更に進めて『トリス』の護衛として付き従うロボット『ロビン』の献身が
一つの鍵となる。
彼女を救うためだけに
飛ばされた別世界で自身が神となって君臨、
千年以上の歳月をかけて一つの文明を創り、
更なる発展のために意図的に貧富の差を生み
諍いのタネさえ仕立てるのは、
人類の過去の歴史や
イマイマの世界と引き比べても頷けるものがある
(賛成しているのではない。陰謀論者は喜びそうだが)。
そうした文明批判は盛り込みつつ、
大きな流れは〔JUNK HEAD〕への繋ぎ。
前作を復習しておくほど、
世界観への理解がはかどるわけだ。
エンドロールを確認すると、
前作よりも遥かに長くなっており、
それだけ携わる労力は増えたとのことか。
だからと言って『堀貴秀』の負担がその分減ったとも思えぬのだが。
前作の製作期間七年よりも、かなり短縮されたことを勘案すれば。
狂言回しの『トリス』の名前は、
日本のウイスキーブランドからのいただきなのを初めとし、
全編に引用やパロディは多々。
中でも、〔2001年宇宙の旅(1968年)〕を彷彿とさせる
設定やシーンには特に笑ってしまった。
まさしく「人類の夜明け」を再び観られるのだから。
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