コンクリート・ユートピアのレビュー・感想・評価
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よかった
クオリティが高いし題材もいいし、退屈なところもないし面白くないわけではないのだけど、なんかちょっと物足りない。期待しすぎたのだろうか。
死体もごろごろ出てくるし、美術も素晴らしいし、迫力もある。ユーモアさやふざけたところがなく硬いからだろうか。テンポとかグルーヴ感とか、全体的なセンスとか、が合わなかったのかもしれない。登場人物に魅力を感じられなかったせいだろうか。特に好きなキャラもいない。
正体を見抜いた隣の部屋の女の子が穴に突き落とされてあっけなく死ぬ。殺した男に成り代わってしっかり認知症のお母さんのお世話をしている。うんちの処理までしていて、なかなかできることではない。
団体行動が苦手なので、あのマンションには絶対にいたくない。車が動かせるなら人気のない山か海に行って自給自足生活をする。車が動かなくても徒歩で移動して人のいない場所に行く。争いがなくてもいたくない。
残機
年始になぜかスタンバイしてる韓国映画。ド派手な作品助かります〜と思っていましたが、中々ヘビーな作品で1から10までしっかり楽しめました。
初っ端とんでもない地割れで一つのマンション以外全部ぶっ壊れて、そこに元々あった寒さが襲って圧死と凍死のダブルパンチの中の人々を描くという、韓国こういうの好きね〜というのが伝わってくる作品でした。
破壊のVFXはかなり見応えがあって、ディザスタームービーとして見たかったなぁと思いました。
マンションの元々の住人たちは最初こそ助け合いの精神を持っていたものの、他の住人ことゴキブリたちが自分勝手になっていく様を見て、追い出そうとしてからがある種崩壊の始まりだったなーと思いました。
ヨンタクがリーダーシップをとって行動するため、住民が崇めるようになってからヨンタクが調子に乗ってしまったり、働いた分の報酬といったところでの差別が生まれてしまったり、ミョンファの正義感などなど色々と交錯していく中で分かっていく謎が物語に深みを与えていたと思います。
ミョンファの正義は素晴らしいと思うんですが、この世紀末な世界でそんな事言ってらんねーよなぁと少しイライラさせられました。明るい時間帯に食料とか渡したらそりゃバレるよ…。
偽ヨンタクの正体がバレてピンチに陥ってからはオーバーすぎて笑ってしまうところも少々ありました。
告発した903号室の少女をとっ捕まえて肥溜めに突き落とすのはこりゃまた唐突だなと笑ってしまいましたし、そこからは他の地域にいた人々が全員襲ってきて、ヨンタクもボコボコにされて食料を奪われて、住民たちも全員出ていく感じで終わりを迎えて、ミンソンとミョンファだけは脱出するものの、ミンソンは死んでしまい、ミョンファは助けられて、新しい生活を送っていくというまぁアンパイなところに落ち着いたなぁとは思ってしまいました。
設定が先行して面白く感じるのに、本編はその期待を超えてはこないのがここ最近の韓国映画だと思います。荒廃後の世界というのが興味深かったのに、基本はマンション内での揉め事がメインなのもあって、もう少し世界観の広がりが欲しかったなと思いました。
今年も多くお世話になると思う韓国映画でしたが、どうしてもちょい面白かったなーくらいの評価で落ち着いてしまうので、こんな評価を覆すくらいの傑作がポンポン出てきてくれたらなぁと思っています。
鑑賞日 1/9
鑑賞時間 13:35〜15:55
座席 J-13
アパートは住民のものです
日本でも高度経済成長期に団地建設のラッシュがあったが、今では特に地方に行くほどその団地地帯がゴーストタウン化している現状を目の当たりにする。
そんなことを韓国の住宅事情が説明される冒頭の映像を観ながらぼんやりと考えていたが、次の瞬間に一気に意識が画面に引き戻された。
天変地異によってあっという間にソウルの街は破壊し尽くされてしまう。
ただひとつ奇跡的に倒壊を免れたひとつのアパートを残して。
これも災害が起こった時の人間の本質を残酷なまでに問いかけてくる作品だ。
人は希望を失った時にその本性が顕になる。
はじめは避難民を受け入れていたアパートの住民だが、次第に争いが耐えなくなり、住民の過半数が避難民を追放すべきだという意見を持つようになる。
投票によって代表に選ばれた男が避難民に退去を命じるが、それに反発した者たちとの間で流血沙汰になってしまう。
しかし代表の気迫に押された避難民たちは退去を余儀なくされる。
住民たちは声を上げて代表の栄誉を称え、代表はその声に恍惚な表情を浮かべ、やがてカリスマ的な存在となっていく。
ここで描かれるのは住民と非住民との完璧な分断だ。
代表は何度も「アパートは住民のものです」と宣告する。
外からやって来た者には容赦をしないが、住民がいくら規則を破っても命を取るようなことはしない。
代表はやがて住民を結束させるためのルールを掲げ、彼らを縛り付けていく。
後にその代表の男の出自が明らかになるというサスペンスの要素もあるのだが、この映画を観ていかに非常時に人の思考が麻痺していくかを思い知らされた。
そして善人でいられるか、悪人になってしまうかは、その人間の本質ももちろんあるが、その時の状況次第でもあるのだ。
たまたまアパートの住民であったという為に「持っている」側にいられた人間か、非住民であるが為に「持たざる」側に立たされてしまった人間。
アパートの住民のほとんどが自分たちだけが助かる道を選んでしまったが、自分たちだけ助かっても意味がないのだ。
集団心理とは恐ろしいものだが、それでも人は助け合わなければ生きていけない生き物だ。
身勝手の先にあるのは憎悪と破滅だけだ。
正直、観ていて暗い気持ちになるシーンばかりの作品だ。
そして自分だったら正常な思考でいられるだろうかと何度も考えさせられた。
このアパートには夢も希望もなかったが、映画の終わりは少しだけ光が射し込むような柔らかさを感じた。
韓国では全然違う観点で見られているので要注意(内容の核心につき言及あり、ネタバレ注意)
今年8本目(合計1,100本目/今月(2024年1月度)8本目)。
ネタバレなしで投稿したら問題になってしまったので、ネタバレありで投稿します。
この映画、よく見ると、いきなり「登記がなくても我が家なんだぞ」等の「登記」といった語句が飛んでくるので、韓国民法ネタ(韓国民法186条、日本民法177条相当。不動産登記関係)か?ということは資格持ちにはある程度ピンときますが、そこに気が付くかどうかで相当判断が分かれる特殊な作品です。
実は韓国民法は韓国の成立後(1948年後)、それまでの日本民法を若干変更したものが取り入れられていて、不動産登記関係はそもそも制度が違います。また、日本ではマンションなどの賃貸借は「債権」に分類されますが、韓国では韓国民法303条以下が規定する「チョンセ権」という物権になります。これは、購入時の金額の5割~7割をオーナーに提供して退去時に返却する代わりに、その頭金を運用して得られる利益が家賃と相殺されるシステムです(日本の賃貸借に似るが、債権ではなく物権である点が異なる)。
ところが韓国ではこのチョンセ権は韓国の不動産登記法上、登記されうるものですが、日本のそれ(日本では賃貸借)がほぼ登記されないのと同じように、登記されないのが普通です。その場合、日本の賃貸借と「扱いはほぼ同じ」になります(制度が異なるに過ぎない)。
しかし上記に書いたように「頭金を活用して得られる利益」とあるように、これを詐欺的に私的流用したり勝手にギャンブルなどに流用する類型がいくつか存在し(あるいは突然オーナーが変わっていたりというもの)、それによるトラブルが非常に多く、韓国では2020年にこれらについてある程度の規制がかかるようになりましたが、日本と違い借地借家法等にあたる法による「借り手有利な事情」になっていない韓国では「家の賃貸借トラブル」が非常に多く、この映画も実はそれを「災害」として述べたものです。
※ こうしたことは韓国公式サイトやKBS(韓国の国営放送。日本のNHKにおよそ相当する)などで調べると実はすぐにわかります。
この理解の有無によって、日本では時期的に能登半島の震災もあったことから、この映画の述べる「災害」が何なのか映画内では描写されておらず(突然地震が起きるが、そこだけで起きることが不自然)、こうした点の理解まで求めようとすると一定程度法律系資格を持っている等でないと無理で、極端に高い知識が求められるかな…といったところです。
※ よって、いわゆるコリアタウンがあるような大阪で開業している行政書士と(不動産登記は扱えないが、コリアタウンの性質上、相談を受けることがあるので、韓国のこの制度についても知っていないと理解ができなくなる)、不動産登記を扱う司法書士の二重論点ということになります。
この映画はこうした部分の説明が極端に少ない…というか、ヒント描写が実質「登記されていないだけで我が家なんだぞ」だけですから(ここからこの家は購入した家ではないことがわかります。購入時の登記は韓国民法では義務だからです(韓国民法186条/日本では「当事者では有効だが第三者に対抗するには登記しろ」で177条)。
こうした点の説明不足があいまって本映画の理解はかなりの差が出るのではなかろうか…といったところです。
採点は以下の通りです。
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(減点0.5/上記の理解にたどり着くことが困難)
・ 正直、韓国公式サイトや韓国のニュースサイト他を見て事前にこのことを知らないと理解が???な展開になってしまうのが厳しく、かつ日本民法にない「チョンセ権の理解」まで問われるので極端に厳しい印象です。
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何を伝えるためにこの映画を撮ったのか、答えが見つからなかった
救いの無い映画だった。
ディストピアである。
なんのために撮られた映画なのだろうか、何を伝えるための映画なのだろうか、と自問する映画だった。
ヒロインであるミョンファの最後の言葉「(彼らは)普通の人々でした」が印象的だった。
万人の万人に対する闘争、そういった言葉も思い出される。
ただ、何を描きたいのか、やはりそれがわからなかった。
単に救いが欲しいというわけではない。
人間はこんなに酷い生き物。そう描くためだけにこれだけの時間とお金をかけたのだろうか、と思った。
恐怖を提供するホラー映画は、一瞬の救いを提供する。助かった、と安堵させる瞬間がある。その後に奈落の底に突き落とす恐怖が起こる。そう、助かったと安堵させて後に井戸から黒髪の女が這い出てくるのだ。
この映画はそういったものもない。暗澹たる状況が続き、最後の混乱の終末へと突き進む。だから、一瞬の安堵さえも無い。ラストシーンも安堵には思えなかった。なんのためにこの映画を撮ろうとしたのだろう。その答えが見つからない映画だった。
意外なほどに紳士的な鬼が登場するが、実際に起きたらもっとエゲツないと思う
2024.1.5 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年の韓国映画(130分、G)
天変地異によって唯一崩壊しなかったマンションの住人を描くディザスターパニック映画
監督&脚本はオム・テファ
原題は『콘크리트 유토피아』、英題は『Concrete Utopia』で、共に「コンクリートの楽園」という意味
物語は、原因不明の天変地異にて、「皇居アパート」の103棟だけが崩壊を免れているところから紡がれる
周囲の建物は全て瓦礫と化し、生き残った人々は皇居アパートに集っていた
だが、物資は枯渇し、住民たちは会議を開くことになった
会議を主導したのはアパートの女性副会長だったキム・グメ(キム・ソニョン)で、そこには火災を鎮めた902号室のキム・ヨンタク(イ・ビョンホン)、その手伝いをしたキム・ミンソン(パク・ソジュン)とその妻ミョンファ(パク・ボヨン)がいた
その他にはグメの息子ジヒョク(イ・ヒョジェ)と友人のチョンウ(キム・シウン)などもいて、23年かけてアパートを購入したワン(クァク・ジャヒョン)は「外部の追い出し」を提案する
碁石による投票の結果、大多数の支持にて外部住民を排除することになり、特に高級マンションのドリームハウスの住民との過去の軋轢が行動をエスカレートさせていた
彼らはアパートの前に3つのルールを書いてバリケードを敷き、そして防犯部隊を設置して、食料は外部へと求めるというダブルスタンダードの恐怖政治を始めてしまう
そして、皇居アパートの代表にヨンタクが選ばれ、彼の主導のもと、統治体制は築かれ、ミンソンはそれに加担していくことになった
妻ミョンファはこの体制に反対の立場だったが、生き残るためにやむを得なく同調するしかない
やがてヨンタクは、外の人間を「ゴキブリ」と称し、「自分たちは選ばれし者だ」という選民思想を生み出して、暴力的な支配を続けていくのである
映画は、この状況がどのようにして起きたかという背景の説明は一切なく、国の機能も崩壊し、全世界的な災害であるように描かれていく
通信網、ライフラインも全て寸断され、飲み水すら碌に手に入らない
スーパーなどにある保存食を分け合うものの、数十人もいればすぐに枯渇し、範囲を広げて捜索するしかない
だが、ヘイトを募らせる行動ばかり繰り返しているため、外部住民から反撃を喰らうハメになってしまうのである
映画は、極限状態の人間を描いていて、権力を持った人間が豹変する様を描いている
本来ならば、身を隠して生きようとしていたヨンタクだが、行動を認められて代表に抜擢されてしまった
彼らは奪うことで生存を考えるのだが、それは永続的なものではなく場当たり的で、その対極にあるのが、ラストの倒壊ビルで過ごす人々になるのだろう
だが、近くにはホームレスが潜伏している状況なので、あの場所も安全とは限らない
最適解があるとすれば、皇居アパートよりも手狭で管理がしやすい建物で、中庭などを利用して自営するしかないように思える
いずれにせよ、極限状態だと人は鬼になるという典型の映画なのだが、崩壊の度合いを考えると、この環境でどう生きていくかに早めにシフトするしかないと思う
皇居アパートの屋上に登れば、この世界がどうなっているのかが一目瞭然なので、世界を知ることで対策が取れることもあると思う
それでも自暴自棄になるとか、絶望から命を絶つとか、全ての欲望を解放する奴が現れるなどのことが起こると思うので、描かれている世界はぬるめになっているのではないだろうか
世界が終わることを望む病的な人間も出てこないし、女性を襲う男性も出てこないので、そう言った意味では不思議と紳士的な世界になっているのは微妙かなあと思った
震災に措ける普通の被災者って何?! 生きたいと思う事は罪なのか混沌とした世界の中で自問自答する!
偶然にも1/1発生の能登半島地震とまさかの被りとなった日本公開。
本国韓国でも大ヒット!
そんなヒット作の事も全く知らぬまま今日は劇場で「コンクリート・ユートピア」を鑑賞です。
コレね、イ・ビョンホンさんをはじめ、パク・ソジュンさん、パク・ボヨンさんが出てるねん。ふ~んやろな・・・みんなの反応はそう思うわw。
地震やとぉ~?災害はそうでなくても起こってるのに これ以上のリアル体験を既に味わってるんじゃい。今更 想像した疑似体験展開話はイラン~そう感じると思うねんわ。
まずこの住んでる世界の地震規模が懐疑的。倒れ方、破壊の背景が凄すぎて絶句。政府の助けは一体どうしたって思うのよ。核兵器落とされた後ぐらいの壊滅で とてもこのマンションアパ-トの住人だけで助かるとは正直思えない。それにこの震度衝撃なら建物の窓が何処も全傷して割れてると思うねん。
また韓国は特に寒いし、生きて行くのは大変。そんな背景の展開流れだけども。
ゾンビ系で人気牽引してたのを、震災系生き残り物に変えただけと感じたな。
何となくやってる事は同じ風。食料、燃料、薬、救援機材、ねぐらと安全圏の確保。それの繰り返しで統率力と生活確保の為の障害闘争をどう皆で解決し乗り切るかだと思う。
その中で 集団リーダ-の暴走があって、反逆があって、別れが有って、そして新たな合流が起こる。
今の世界の何処かで起こってる戦争紛争とその後の和平平和も同じと思えるねぇ。
みんなで助け合えば もっと有効な手段で生きて行けるかもだが、絶対にそうとは言い切れないなとも私は思う。映画終盤でヨンタクのニセモノだった事がバレて、ミンソン、ミョンファはマンションを後にして新たな場所を目指してゆく。ミンソンは亡くなり、ミョンファはそこで新たな人々と出会い助合いながら生きて行こうとした。出会った人から あのマンションの住人は人食い人種では?とか言われたが、彼女は普通の人達だったと答える。
つまり人には常に二面性が隣り合わせにあって、神にも悪魔にもなるって事なのだと思う。
ヨンタクも人殺しではあったが元々嘘を言っていた訳ではなくマンション部屋は彼の部屋であったと思うし、酷いのは彼をだましたヤツである。
ペットショップで犬猫が見つかって、その後の場面で肉料理が出てみんなが満足する所が有る。あ~やっぱり食ったのねと感じた。でもそれが人なんだと思うよ。生きて行く為に。
この映画をみて ちょっとタイタニックを思い出したナ。
救命ボート上の人数は限られている。少しでも船に近づく溺れた者はオールで突き放して寄らなくした。そうする事でボート上の人達は助かったのである。
それが人って言うものだ。決して誰も責めることは出来ない。そう思うんだな。
ただ一言、能登の被災者の方々が一日も早く日常を取り戻して貰えたらと願うよ。
今作品に興味ある方は 劇場へ!
極限状態の人間模様、生き様
ネタバレあり
未曾有の天災(多分)により壊滅したソウルの街。
壊滅した街で唯一崩壊を免れたマンションでのお話。
最近唯一のマンション好きだね。
この前は地盤沈下して沈むしね。
韓国らしくとても怖い作品。
以前見た殺人鬼の映画の犯人と比べ、
根っからの悪い人じゃ無いからか、狂気はあまり感じなかった。
個人の狂気というか、
他人を持ち上げて崇拝するような感じとか、
住人以外をゴキブリと呼び排除する行動の方が狂気。
だまされて詐欺師に対して憎しみを抱き息の根を止めてしまったが、
アパートを(もしかしたら自分の居場所を?騙されて奪われた(と思ってる)自分の部屋を?)守るため、
襲ってきた群衆に立ち向かう気持ちは住人と同じだったんだろうなあと。
大切なものを守りたかったのかなあと。
まあ、おそらく外に出たときにいろんなものを強奪してきたんだろうから、因果応報か…。
遠い韓国での出来事(作り話だが)、韓国ではこうなるのかな?と思うが、
救援や支援が無ければ人間こうなるんだろうなあ。
いや、最後の集落や奥さんの考えのように、
みんなで助け合おう、お互い様、という気持ちを忘れなければ、
助け合って生きていけるのだろうか?
問答無用で襲ってくる相手がいたらどうするのだろうか?
と考えさせられる映画でした。
24.1.8 映画館
コンクリート・ディストピア
よくある“極限状態で人間の本性を炙り出す”系の作品。
外部との衝突、背信、増長、成り代わりなど、予告の時点で予想された以上のことは起こらない。
しかし、一定以上の緊迫感はしっかり保たれており、最後まで楽しめた。
外部の人々の排斥まではまだ理解できる(例外を出し始めたらキリがない)が、以降は胸糞展開。
自らの住居や財産は固守するが、火事場泥棒もしっかり行う。
それも、無人の家のみならず店主を殺害してまで略奪し、パーティさえ開く非道ぶりには閉口した。
しかも「仕方ない」と目を背けるでもなく「ゴキブリ」と罵る始末。
国民性なのか、ああでもしてないと正気を保てないのか…
その割に、この手の作品には珍しく性暴力的な描写はなかったな。
そもそも、継続的な食料調達の仕組みをつくらない限りは先細りでしかない。
誰も農耕などを提案しないし、外部(と言えるところが残っているか不明だが)へ行こうともしない。
徹底して現実を見ず、刹那的に生きている。
災害の原因や範囲は明かされないが、住民と同等の情報という点では主観的に観られる構造だった。
タイミングの良すぎる突入によって、ヨンタクの身バレの件が有耶無耶になったのは残念。
中盤がやや冗長で、車ごと吹っ飛ぶシーンは派手ながら必要性を感じない。
あの尺なら、主要人物に“外”側の人間もほしかった。
演技に関してはみな良く、終盤のミョンファが見せる目の揺れからの落涙は白眉。
あんな災害が起きたら絶滅するだろ、とか、あのアパートだけ残るわけないだろ、とか言うのはナシで。笑
ユートピアorデストピア
「コンクリートユートピア」うまく付けられたタイトルだなぁと思います。
誰かにとってはユートピア、しばらく時間が経ち人間の本性が出てくるとそこがデストピアに変わっていってしまいます。
イ・ビョンホンの一見「普通の人」を感じさせる演技がとても素晴らしかったです。
パクソジュンの、真面目な青年がどんどん歪んでいってしまう目つきも素晴らしい。
ただ、途中からなんとなく終わり方が見えるストーリーではあるので、上映時間が長く感じました。
ずっと同じような描写が続くので、せめて1時間半くらいで終われなかったものか…と。
もしくはドラマ化だったらもう少し見応えがあったのかなぁ…と。
資源の不足が戦争を招く
地面が突然隆起するというあり得ない災害が起きて、主人公たちが住むアパートだけがほぼ無傷で残るんだよね。そして生き残るために様々な決断をしてくの。
貧すれば鈍するの究極形だからね。だんだん利己的になってくんだよ。
権力をもった人間の嫌らしさも描かれてて、これは北朝鮮を意識してるのかなと思うの。
そんななかでも理性を保つ人たちはいて、語り手夫妻の奥さんなんかはそうだね。
ここの描き方もうまくて、理性を保つ人たちは、食料調達にいってないの。
食料調達に行った人たちは、自分たちや家族が生き残るために、他の人を殺すの。そこは葛藤があるんだけど「しょうがないじゃないか」ってやってくの。
マンションで待ってる人たちは、その人達が調達した食料を食べてるんだよ。葛藤してない。だから理性を保てるとも言えるね。
観てて思ったのは、なんで利己的な決断になるかっていうと、資源が足りてないんだよね。食料や住居や。それらが、どうやっても手に入らないとなったら、他の人から奪うしかなくなっちゃう。
戦争になる原因に、資源の不足があるというか、健康で文化的な最低限度の生活が保てない状態はあるだろうなと思ったよ。
いま色んな格差があって「奪うしかない」っていう状況がうまれやすい。民主政治が機能しなくなる可能性も少しずつ出てきてる。
トマ・ピケティが「r > g だから格差は拡大する。このままいくと革命か戦争が起こる」と書いた本が多く読まれたけど、ここ考えないといけないと思ったな。
人間のエゴと欲望の象徴‼️
終末級の大災害時における、エゴや欲望といった人間の様々な感情を露わにした作品‼️大災害を唯一生き延びたアパートを舞台に、人間の支配性、従属性、主張性などが絡み合い、なかなか見応えのある人間ドラマを生み出しています‼️それを象徴するのがイ・ビョンホン‼️代表に選出され、アパートの住民以外を追い出し、リーダーシップを発揮し食料確保に尽力しながらも、実は住民を殺害して成りすましている偽物という設定‼️その正体が暴かれ、住民以外の団体と争いに発展する中で、アパートの住民たちの規律が脆くも崩れ去り、正気を保つことが危うくなる‼️そんなにヒネリはなく、ストレートな物語なんですけれども、時事的な事もありチョット恐ろしさ倍増‼️終盤、暗闇の雨の中にそびえ立つアパートが人間の愚かさの象徴のように見えて戦慄‼️どういう災害なのか⁉️どうしてそういう災害が起こったのか⁉️映画で語られることもなく、解決の目処も立たないまま、映画が終わってしまうのもコワい‼️ただ、ラストに漂う希望が一抹の救いを与えてます‼️
ユートピア
映画なので舞台設定を突っ込んでも仕方無いですね。よく口コミに無理な舞台設定を批判される方がいますが、映画はドキュメンタリーでは無いので、リアリティを追求するのはどうかなぁと毎回思います。
この映画のテーマは現代の紛争や戦争について描かれていると思います。唯一残ったマンションの住民というだけで選ばれた人間だと勘違いして他者排斥に暴走してしまう。そして信じて来た指導者さえ本当は住民では無いといういい加減さ。今の紛争、戦争も行き着くところは同じだと思います。
ラストシーンでヒロインがおにぎりをもらって、此処に居ても良いかと聞いた答えが、生きていることが条件だと‥
人は助け合って生きて行く事が大事なんですね。
この映画が作成された時期が分かりませんが、終盤に出てきた絵が黄色と青色の絵だったのでウクライナ紛争を意識されたのかと思いました。またステンドグラスにキリストが描かれていたのはパレスチナ紛争を意識されられました。
閉塞感がありすぎ
韓国映画のディザスタームービーは過去2作が良かったので、期待したのだが、長く感じられた。
人間をじっくり描くのはよいけれど、あのように色が少ない大画面を2時間以上見続けるのはつらい。やはりパニックが起きる前日譚と、一応災害の原因と後日譚は入れてほしい。そのほうが効果的だと思う。
それでも地震に怯える私には十分身につまされる内容であり、人間の恐ろしさが伝わってきた。今の普通の生活がどんなに幸せであるか顧みさせる役者たちの熱演に打たれた。
イ・ビョンホンが妻?に「解決」できたことがないとなじられたことを回想したり、いざ実行となると頼ってくる婦人部長に言い返すシーンがリアルで説得力があった。韓国社会も決断力のある「男らしさ」が求められるのだろう。男の人は特に辛さがわかるのではないだろうか。
若い夫婦に好感が持てたので最後は残念。井上真央似の妻がとても可愛かった。
ただの災害映画ではない傑作
韓国映画お得意のパニック災害モノかと思いきや、それだけではなく社会派の側面もあり、とても見応えのある作品だった。
ファングンアパート(劇中で唯一陥落しなかった建物)の住人たちは、現代社会の縮図といっていいだろう。序盤からそれは明確で、アパートの火災が起きた際に果敢に消火活動を行った住人•ヨンタク(イ•ビョンホン)を、全員が住民代表に推薦した場面は、自分で責任を負いたくない、誰かに責任を負ってもらいたいという現代人の思考を象徴したような場面だった。
また、終盤でヨンタクが偽物の住人だと判明した際に、他の住民たちが一斉にヨンタクを責め立てる場面も印象的だった。散々食糧を探しに行ってもらったり、アパートでのシステムなどを率先して考えてもらっていたくせに、そのような感謝の気持ちは全然ない。もちろんヨンタクが行ったことは許されることではないが、少なからず住民たちは恩恵を受けていたはずだ。もっといえばヨンタクをリーダーにしたのは住人たちである。人間の身勝手さを揶揄しているかのような場面であった。
ただ忘れてはならないのは、住人たちは全員「普通の人」だったということだ。災害が起きる前はみんな平穏に暮らしていた。しかし災害が起きてからは、自分たちの食糧を確保するのに必死で、そのために部外者を追い出したり、食料品店の店主を襲ってまでして食糧を確保する。人間が未曾有の大災害に直面したらどうなるのか、ある意味製作陣が映画を通してシュミレーションしているような感じでだった。
映像面も素晴らしかった。アパートの瓦礫群のどこまでがセットでどこまでがCGなのか、全く見分けがつかなかった。またミンソン(パク•ソジュン)の回想シーンで、地上が隆起して街が襲ってくる場面があったが、まるで自分がその場にいるかと錯覚するほどの緊迫感とリアリティーがあった。災害映画としてもかなりの力の入れ具合だった。
ただツッコミ所がなかったわけではない。それは政府の存在だろう。おそらく大規模災害に政府も混乱しているのだとは思うが、それにしても一切救援は来ないし、驚くほど存在感を感じられないのは疑問だった。まぁ、助けが来てしまうと話が終わってしまうので、ツッコミべきではないのだろうが。
役者の演技に関してだが、やはり主演のイ•ビョンホンについて触れないわけにはいかない。最初はリーダーに乗り気でない感じであったが、住民たちに頼られるうちに感化されて、本気で生き延びるための策を考える。しかしそれが暴走してしまい、狂気の人間へと変貌する様は凄まじいものがあった。終盤での絶望と悲壮感が混じったような目も忘れられない。まさしく熱演と呼ぶに相応しかった。
最後に、少し話題は逸れるが、2024年1月1日、石川県を中心に大きな地震があった。そのような出来事があった後なので、この映画を鑑賞するかは悩んだが、今だからこそ観てもいいのではと思い鑑賞した。実際、映画を見て「自分があのような状況に追い込まれたら、赤の他人に食糧を分け与えたりするだろうか」と考えたりもした。この映画で描かれたことは、決して他人事ではないのだ。
【”排他、同調圧力。そして招いた因果応報。”大災害時、一棟だけ壊滅しなかったアパートに住む排他的行動を取った人々の愚かしくも恐ろしい姿を、物凄いシニカルな視点で描いたディザスタームービーである。】
■今作は、大災害に見舞われたソウルの街を舞台に、唯一崩落を免れたに「皇宮アパート」の住民たちのサバイバルを描いている。
そして、当然の如く周囲の倒壊したアパートたちの住人は「皇宮アパート」に殺到する。
◆感想
・「皇宮アパート」の婦人会会長が、アパートの軍歴がある比較的若い人を集めて行った、外部の人を受け入れるか、拒否するかを決める裁決シーン。
ー 結果は、圧倒的多数で拒否を決める人たち。更に、住民代表を決める選択で、住民代表に選ばれたのは、その前に一階で起きた外部から侵入した者による放火を身体を張って消火したヨンタク(イ・ビョンホン)であった。
ヨンタクは部屋の隅っこに座っていたが、住民代表に選ばれた事で、彼の狂気性が徐々に露わになって行くのである。
イ・ビョンホンはどんな役を演じても素晴らしい俳優であるが、今作は彼の圧倒的な狂気性を漂わせた演技が炸裂していると思う。-
・ヨンタクは、公務員であったミンソン(パク・ソジュン)を防犯隊長に指名し、危険の多い外部に出掛け、食料を調達し始める。
ー それを、心配そうに見ている妻、ミョンファ(パク・ボヨン)。彼女は唯一、人間の温かい心を最後まで持つ女性として描かれる。彼女は外部の母と息子を部屋に入れ、面倒を見ているのである。-
・だが、ヨンタクは外部の人間を”ゴキブリ”と呼び、匿っていた人達を連帯責任として正座で200回詫びの言葉を唱えさせるのである。
ー ヨンタクの狂気性と、彼に同調していく「皇宮アパート」の住民たちの姿は、軍国主義が形成される過程を見ているようである。
そして、婦人会会長やヨンタクの排他的思想、行動に違和感を感じ、外部の人間を匿っていた男は、そんな彼らに抗議するようにアパートから身を投げるのである。-
■場面は、一転して大震災前の「皇宮アパート」に血走った目で車を走らせるセボムという男(イ・ビョンホン)の姿が描かれる。
そして、彼は902号室に住む”ヨンタク”に”金を返せ。詐欺師!”と言って激しい乱闘になる。”ヨンタク”は不動産詐欺師であり、セボムはその被害者であった事が分かるシーンである。
・903号室に住んでいた若き女性ヘウォン(パク・ジフ)が奇跡的にアパートに帰って来るシーンから、ヨンタクは徐々に追い詰められて行く。ヘウォンはヨンタクを見ても挨拶もしない。当たり前である。
ー そして、ヘウォンはミョンファのみに、隣室に住んでいた男はヨンタクではないと密かに告げ、二人はヘウォンの部屋からベランダ越しにヨンタクの部屋に忍び込む。寝ていた老女は完全な痴呆状態であったが、部屋の中に在ったガムテープでぐるぐる巻きになっていた冷蔵庫を開ける・・。ウワワワー。ー
■ミョンファが「皇宮アパート」の住民の前で、殺された”ヨンタク”の身分証を見せるシーンも恐ろしい。
ヨンタクはあろうことか”このアマ!”と言ってヘウォンを深い亀裂の中に投げ込むのである。
統率が取れなくなった「皇宮アパート」の住民たちに襲い掛かる外部の人間達。
彼らは血だらけになり902号室に逃げ込んだヨンタクの脇を土足で歩き、物資を漁るのである。
ヨンタク=セボムは部屋に飾ってあった妻と娘と自分が幸せそうに写っている写真を見ながら事切れる。
ー ヨンタク=セボムも、”妻と娘と夢のマイホーム”を失った、哀しき男である事が分かるシーンである。ー
・そして、「皇宮アパート」を追い出された腹部を負傷したミンソンとミョンファ。二人は廃墟で夜を明かすが、日が昇った時にはミンソンは冷たくなっている。その姿を見たミョンファの目から落ちる一粒の涙。
ー 本来は、公務員として真面目に働き、妻を愛する男が、同調圧力により取った行動故の哀しき因果応報である。-
<ラストは、唯一心が慰められるシーンで終わる。一人になったミョンファは見知らぬ女性達と比較的損傷の少ない建物に入る。そして、そこで暮らしていた女性は、彼女達を拒否する訳ではなく、ミョンファに暖かいおむすびを差し出すのである。”温かいうちに食べて。”と言う優しい言葉と共に。
今作は、有事の際にこそ人間の善性を保ち行動する事の大切さを逆説的に描いた作品ではないかと、私は思ったのである。>
人間が1番恐ろしい
あまりに公開のタイミングがよろしくない😫
割り切って「映画」を楽しむ
イ・ビョンホンの怪演は見どころ
彼もまた被害者、ただの独裁者ではない
助け合って、譲り合っての精神は美しい
でもいざとなった時にそれが本当に自分に出来るのか。
人としての真価が問われるところ。
「偽善者」と言う人間がいないよう
みなが同じ精神で生きていれば、戦争も起こらない。
ユートピア?
唯一この環境で崩れなかったアパートがユートピアになったのは、主役の1人イビョホン演じるヨンタクだった。
彼は絶望的な状況下、更に震災が起こったことで人生が逆転してしまう。狭い世界であるが王様気分に。
能登半島で大地震が起こった直後の公開なのであまりいい気はしないのだが、作品は中々見せてくれる。
終末の世界のようで、人間の隠の部分を描いている。
自分達の生活環境を守る為、他は排除し人殺しもやる。
阪神淡路、東日本大震災の時には性的被害あっと聞いてますが、そういった事は表現されていなかったなのは良かったと思う。
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