「群衆真理と洗脳」コンクリート・ユートピア N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
群衆真理と洗脳
設定は韓国版「マッドマックス」。
見るうちに「パラサイト 半地下の家族」が過る。
だが格差激しいと聞く韓国内の、終の棲家争奪戦メタファかと思えば最後過ったのは、北へむけての、いやあらゆる場所で多かれ少なかれありそうな独裁による洗脳、メディア等の情報操作による一方的な思い込み、または洗脳への警告と受け取る。
ゆえに登場人物ら同様、2時間あまり見続けたせいで「外の世界は地獄」が刷り込まれてのラストショットは、これが思い込みであり洗脳というヤツなのか、と見ていた私自身も解けけたせいで、はっとした。
脱北者たちもソウルの光に同じことを感じたのではなかろうか。
群集心理の描写や、従い変遷してゆく群衆の姿の描き方が違和感なく、スケール大と繰り広げられてゆくところが見ごたえあった。
それでいて登場人物個人個人の背景もおろそかになることなく、個々の動きの動機付けにも予断がない。ゆえに、やや長めの尺だが長さにも納得する。
ディザスターものを期待して行けば少々肩透かしを食らう本編。
アパートをあらゆる大きさの集団に置き換えて観ることで、解像度が増す作品だった。
ある意味、誰も傷つけることなく痛烈批判。すこぶる良作。
コメントする