クラユカバのレビュー・感想・評価
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この映画を仕上げた監督を尊敬します!
私は性根が下劣で、その映画に捧げた時間とお金を取り戻すぞと肩張り踏ん張り見るのですが、そんなふうにこの映画を見てしまうと物足りないところは多少ありますが、昭和レトロと現代のPOPカルチャーを共存させて、こうした独自の世界観の作品を仕上げた塚原重義監督の行動力を高く尊敬いたします。キャラクターの絵の不均一やシナリオが練れきれなかったところ、一言で言えば20年前のゲームの挿入動画みたいかなとか、不満も少しありますが、監督自身は真面目な方で、日本と海外のスタッフをバランスよく使いこなすとかご苦労も多かったことでしょう。
61分と短めなので、とにかく気楽に見ることをおすすめします。声優さん、挿入歌はよかったです。流石にプロのお仕事だなと感心しました。
昭和レトロといえばエログロも混在しますが、今はコンプラとポリコレ全盛。この世界観で思い切ってそっち方面にも突っ走って欲しかった気持ちもあります。
全体としては見てよかったです。
レトロ調の絵と音楽が良かったけど・・・
ここ数カ月、テアトル系の劇場で上映前の注意事項を絡めた予告編が流れ続けた本作をようやく観に行きました。ちょうど時間が空いたので、塚原監督はじめ、主演の神田伯山らが登場する初日舞台挨拶の回で鑑賞出来ました。
予告編によれば、主人公の荘太郎は探偵で、彼が大量の失踪事件を捜査する話であるらしいこと、絵の感じから大正時代から昭和初期の東京をイメージした街が舞台であることは分かっていましたが、題名の意味がイマイチ分からない状態でした。”クラ”と言えば”忠臣蔵”、”ユカバ”と言えば軍歌の”海行かば”を想起したものの、探偵物とか時代背景とはマッチしないものなので、どんな内容にしてこの題名を付けたのかに興味がありました。
結果、”クラ”とは”暗がり”のことであり、”ユカバ”は”海行かば”ではなく、単に”行かば”という意味でした。要するに、主人公が東京をモデルにしたと思われる大都市の地下に広がった文字通りのアングラ街を冒険するというお話だった訳ですが、正直この世界観がピンと来ませんでした。
最大の問題は、主人公の荘太郎の人物像とか、どんな探偵なのかと言ったものを掴む前に物語がどんどん進んでしまい、最後まで主人公に感情移入出来ないままだったことでしょうか。上映時間が1時間と限られていたので、余計な話を一切入れなかったということなのだと思いますが、もう少し荘太郎を理解できる話を入れて欲しかったなと思ったところでした。
ただ塚原監督独特のレトロ調の絵の感じや、それに合わせた音楽は心地よかったです。また、講談界の麒麟児・神田伯山の声も良く、さらには活弁士の坂本頼光も、小池朝雄のコロンボ調のトーンで登場し、満足させていただきました。
そんな訳で、本作の評価は★3.5とします。
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