「ちょっと説明が欲しい部分がないこともないけど、「リベンジホラー」的要素に一味加えたさじ加減が面白い一作」PIGGY ピギー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと説明が欲しい部分がないこともないけど、「リベンジホラー」的要素に一味加えたさじ加減が面白い一作
いじめられっ子がいじめっ子に復讐を果たす、といった「リベンジホラー」的作品はその金字塔の一つである『キャリー』(1979)を始め数多く存在するんだけど、本作は復讐したい相手が連続殺人鬼にさらわれたことで、恨みをひとまず置いて彼女らを救うのか、あるいは見捨てる形で復讐を果たすのか、の選択に悩む、というひねりが加わっています。
展開の先行きの見えなさにハラハラすることはあっても、良心の呵責に苛まれる主人公サラ(ラウラ・ガラン)の葛藤は観客にも十分共感できるものです。一方で、連続殺人犯の行動もサラの描写と並行して描いていくんだけど、こちらについてはあまり行動の背景を明確に描いている訳ではなく、かなりの部分を観客の創造に委ねる形となっています。とはいっても、おおよその察しはついてしまうんだけど。
サラがいじめを受ける原因には家族との関係が大きく関係していることは折々の描写から明らかで、サラの母親役のカルメン・マチは、配役としては脇役のはずなのに、さすがの演技力でその家族が抱える問題に強い説得力を与えていました。
いじめの当事者だけでなく、サラと連続殺人犯、サラと家族といった関係も絡みつつ、しかしカルロタ・ベレダ監督は難解という印象を抱かせず、ホラーとして楽しめる要素をちりばめています。クライマックスの展開、というか状況設定に至って「もー我慢できん!」とばかりにやや暴走気味になってるけど。
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