劇場公開日 2023年12月1日

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「お父さんは怖いよ。」エクソシスト 信じる者 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0お父さんは怖いよ。

2023年12月2日
PCから投稿

無印公開から50周年。企画ありき、のホラーはやっぱり見に行かなきゃ。懐かしところで、2006年6月6日の「オーメン」リメイクもお祭り企画だったので、あれも目くじら立てずに微笑ましく、というのはさすがに嘘だが、本作、意外と言っては失礼だが、面白かった。

「エクソシスト 信じる者」




無印の「新たな」続編、ということだが、これまでの続編がダメだったかというとそんなことは決してない。

謎だらけを映像と音楽と雰囲気とハッタリで押し通した「1」。善と悪の戦い、というのは割とはっきりしていて、ドキンちゃんは違うかもしれないが、少なくとも「善」=「キリスト教」の勝利、という図式は見て取れた。

その謎、「善」とは何か、なぜ、リーガンなのか、について、ムチムチのブレア嬢をアイドル化して、「選ばれしもの」と理由付けを行い、ブアマンの揺るがない土着嗜好のスタイルと、モリコーネの変態&ヘンチクリンなシンセの劇伴がB級感をなぜか漂わせ、これはこれで面白かった。大好きな続編。ただメリンとパズズの馴れ初めは要らないっちゃいらない謎とき。

「1」の「善」の勝利、「2」のその理由付けが、カチンときたのか、「3」は原作者ブラッディの変態な作家性がさく裂、当時のサイコサスペンス風の、ネタバレするのも申し訳ないが、神父はことごとく餌食となり、刑事は「悪」を認め、銃=暴力、で旧友の魂を開放するという、原作者のくせに「1」さえひっくり返す珍傑作。(まあ、「1」でもカラス神父がボクサーのくせに、リーガンボコって、自分に憑依、というトンデモ決着だったが)

「ビギニング」は今だと先に「ドミニオン」を見てたほうがより楽しめるが、「ドミニオン」をお蔵入りさせる、全編撮り直しの「反動のエンターテインメント」が潔い。この時は、レニー・ハーリン復活!と勝手に思った。そしてそれは思い違いだとすぐに気づいた。

「ドミニオン」は、ポール・シュレイダーファン以外はNG。

そして本作。

異人種の集まりで悪魔祓い、とあたかも「人類みな力を合わせて」みたいな、もうええやろ、と言いたくなるような人間側の設定だが、今回の特異点は、自身を信ずる(Believer)、無神論者が勝利するところだろう。もう一つの家族は信仰厚い家族だが、子供の命の選択の提案である「悪の言葉」を信じて裏目ってしまう。本作の憑りつかれた少女が2人なのは、そこが描きたかったのだろう。

さらに神父に至っては、自身を信じ、信仰を貫き通し、悩んで、思い返し、決心し、(自身を信じて)ここぞのタイミングで登場したのに、いわゆる「エクソシスト」の謎であった首回転の真実、種明かしの餌に使われてしまう。

その点は「3」に負けず劣らず、教会からのクレーム案件。

また、正当な続編の言い訳に使われているマクニールの登場だが、「1」を見る限りは、そんな人ではなかったでしょ?とは思うのだが、あ、これはテレビ版との関係もあるのか。ただし、ほとんど必要のない存在。

劇中、頻繁に画面の奥にドアや部屋があり、廊下、通路で登場人物の会話が多く、「向こう側」への意識を迫られるが、「1」や「3」(特に「3」)のような効果はあまりなかったか。

おっと、本作のいいところを忘れてた。オレは娘の父親なので、娘が女友達と森に行った、帰ってこなかった、靴が落ちていた、3日間見つからず、納屋で見つかった、処女膜検査をした、とか、全部恐ろしいのである。「1」でも言われていたように、これは思春期を迎えた女の子の親への反発、反抗をメタ的に描いたとも言え、むしろその点は「1」よりはっきりうかがい知れる。

今回の主人公の娘が発する言葉は実は悪魔が話す内容ではなく、娘自身の心の叫びでもあった。

まあ、娘の親ならでは、がこの映画の怖さではある。

追記1

しかし、このままだとどうしてこの2人が、という疑問がやっぱり残る。悪魔様が、これらのショボい家族の女の子に憑りつかなくて、ええとこのお子様を狙えよ、と。ダミアンの親はずいぶん用意周到だった。

3部作ということで、なんだが次はブアマンの「2」寄りになりそうか。それとも救われなかった家族側の視点になるのか。楽しみにしてもいいくらい、今作は楽しめた。(というか親として怖かった)

追記2

そうそう、ホラーの、女囚もののアイドルと化した、あの人。あっと驚く、というより少し笑ってしまった。

追記3

ということで、ランキング

「1」>「2」≧「3」>>「ビリ」>「ビギ」>>・・>>「ドミ」

しんざん