「永遠の52ヘルツ」52ヘルツのクジラたち humさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の52ヘルツ
海の中でひとり
スイスイと
気持ちよさそうに通り過ぎる誰かとはちがう自分
泳ぎ方も、なにかちがう自分
わかってもらいたいと
願いながら
声をあげることもできない
闇夜の手探り
やがてそれもあきらめる
自分の居心地は自分にしか
わかり得ないのに
もしかしたら
そのおかしさにさえ気がつかぬままの
いのちもある
たったひとりのクジラたち
そこから救いあげることができるのは
本当に聴こうとする存在だけ
そんな人がひとりでも増えれば
今日も誰かを救えるのかもしれない
そして寄り添う人に
また寄り添う人がいてくれたなら
どんなに心強いことかを知る
ふたりの心の前に現れたくじらは
巨大に光る黒い体を空中で捻らせて何を言ったか
〝どうか彼女を幸せにしてください〟
全身に漲る感情は
海原を叩き割る
ざばざばと慌ててうごめく波間に
蹴散らされた海水が
おお粒のしぶきをきらめかせ消えていく
貴瑚は52ヘルツの音に耳をすませて
手をさしのべ愛を救った
晴れ上がる空と海を臨む高台で
笑顔が集まる光景に貴瑚と愛が和む
それは安吾が貴瑚にかけた言葉が辿り着かせた居場所だ
〝抜け出していい〟
〝生き方をかえてみない?〟
そして、そう教えてくれた彼さえも貫けなかった現実
深すぎる海に再び消えた
永遠の52ヘルツの響きを忘れてはいけないのだろう
誤字修正済み
humさん、コメントありがとうございました。
> ふたりの心の前に現れたくじら
こう解釈すると、確かにアレも納得できますね。原作でも、確か、夢として出てきたように思いますし、なるほどと思いました。
コメントありがとうございます。
そうなの!私の威嚇も52ヘルツw
全集中出来ず残念でした。
しかし、いつものように、humさんのレビューで、読み取れなかった所を補完出来ました。感謝!
安吾についての考察、ありがとうございます。
安吾は、遺書ではあのように書いていたけれど、あの専務が永続的に彼女を幸せにできるはずがない、とも気づいていたはずですよね。そこから救い出せないことの呵責と自分が非力なことへの悔しさと。
正解はないと思いますが、ピュアで優しい人ほど自分を責めてしまうし、必要以上に追い込んでしまうのが、悲しくて辛すぎます。
他作へのコメントありがとうございます。仕事で疲れ果てて(介護)観てもなかなかレビューできずにいる私にhumさんのレビューはいつもとても腑に落ちます。同じ没入型のせいかなぁと勝手に思ったりして。
コメントありがとうございます。
〝世界で一頭だけのクジラ〟なのにタイトルはクジラたち、と複数形。
この語義矛盾に込められた原作者の意図が知りたくなりました。
自分が声を聞き救ってあげた人が、52ヘルツの声の存在を知らない人たちの側に去ってしまったことへの絶望的な感覚。
安吾は本当に居場所が無くなり、声を上げ続ける気力もなくなった。
そういうことかもしれないですね。
コメントありがとうございます。強さ弱さ傲慢などなど、人の様々な内面を上手に描いてますよね。全編でちょっと切な過ぎて評価は高くしてないのですが、良い作品だと思いました。
繋がり大事ですよね!最近になってやっと仕事もプライベートでもしみじみです。(笑)
志尊淳は綺麗だから女性設定ハマりました。顔立ちが選役のポイントでもありましたね。