「寡黙なプロ」イコライザー THE FINAL ココヤシさんの映画レビュー(感想・評価)
寡黙なプロ
イコライザーは『1』も『2』も楽しく観たので、この『THE FINAL』の公開を楽しみにしていた。連休中を避けて、休み明けに鑑賞。
字幕版で観たけれど、ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)が「リフト」で客を乗せたという表現がある。これは米国の配車サーヴィスの呼称らしいね。ボストンで「リフト」に乗せた老夫婦が、年金をハッキングで盗まれて困窮していると知ったロバートは、犯人を追及。シチリア島の葡萄園にたどり着いて、犯人グループが覚醒剤密輸にも関与していると知る。戦闘になって犯人グループを瞬殺するが、農園主の孫息子に油断して背中を撃たれてしまう。
命からがらシチリア島からフェリーで脱出して、CIAのエマ・コリンズ(ダコタ・ファニング)に覚醒剤密輸を密告。レンタカーでアマルフィ海岸を逃走するが、そこで気を失ってしまう。
国家憲兵隊のジョルジョ・ボヌッチ(エウジェニオ・マストランドレア)に救助され、美しい港町アルトモンテの町医者エンツォ・アリシオ(レモ・ジローネ)のもとに担ぎ込まれる。ロベルト(ロバート)にいい人間か悪い人間かと尋ねて、「分からない」と返答されたエンツォは、そう答える人間はたいていいい人間だと判断して、ロベルトを匿うことに。
人々に親切にされて傷を癒したロベルトは、アルトモンテを去ろうとするが、気のいい魚屋や正義感あふれるジョルジョがナポリの犯罪組織カモッラに抑圧されているのを目にして、ふたたび立ち上がる――といったストーリー。
このシリーズのいいところは、ロバートが寡黙なところ。『ミッション・インポッシブル』も『1』はそうだったが、シリーズが長引くにつれて、イーサン・ハントのキャラを深掘りしようとして、軽口を叩かせたりするようになった。けれども、プロはそうじゃないよね。
もう1つ気に入っているのが、ロバートが決して国家的陰謀に立ち向かうのではなく、身近な人々を苛む悪を断とうとするところ。ロバートもすべての人々を救うことはできないと承知しているけれど、目に止まった悪は許さないと決意しているんだよ。このあたりは西部劇のテイストに近いかもしれないな(ただそのやり方が徹底していて、『1』ではロシアにまで乗り込んでいってロシア・マフィアの首領を処断しているし、今作でもカモッラの一家を全滅させているけれど)。
ラストでなぜロバートがエマに親切にするのかが明らかになって、『1』『2』とのつながりも鮮明になっている。
原題は『イコライザー3』だから、『4』もありえなくはないな。