「悲しい」イコライザー THE FINAL aさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しい
イコライザーファンです。書き殴ったので読みにくかったら申し訳ありません。
全編を通して酷いです。一作目が好きな人は見ない方がいいです。
そもそも一作目のマッコールさんは「CIAで手を汚してきた過去は決して誇れるものではなかった。死んだ妻にも殺しを反対された。それでもなお眠れなくなるほどに強く沸き起こる正義感に悩み続け、スーザンの助言を経て、善良で非力な一般人のために自分ができることをやると決意し、妻に二度目の別れを告げ、完全なる利他主義のもと求道者として第二の人生を歩み始める」という唯一無二の、ある意味悲劇的なヒーローだからかっこよかったのであって、「自分が気に入った場所だから」という個人的な理由で怒りに任せてマフィアを殺しまくったり、一般人の目に入る場所で堂々と暴力を振るい、挙句の果てには「他所でやれ(他所でならやってもいい)。」などと言ってしまう三作目のマッコールさんはもはや原型を留めていないです。
もっとわかりやすく言えば、「マッコールさんはそんなことしない」です。
殺しに個人的な感情が絡むという描写は、友人であり唯一の理解者であるスーザンを殺された二作目で十分ですし、これは人間離れしたマッコールさんの人間的な部分を強調するためのスパイスに過ぎないはずです。同作でマイルズを救ったのも「黒人だから個人的に救った」というような安直な理由ではなく、「本当は殺しなんかしたくないのに、生きるためにしなくてはならない」という彼の境遇に過去の自分を重ね合わせ、「自分と同じ道を歩んでほしくない」、「自分と同じ道を不本意ながら歩まなくてはいけない善良な人を救いたい」という利他主義からの行動であり、マイルズが黒人なのはおそらく「奇しくも父性を知らずに育ったマイルズの父親代わりとなった」みたいなお涙頂戴要素であり、マッコールさんの個人的な同胞意識ではないはずです。
マッコールさんの人間的な部分を描写した二作目は、妻と決別し、さらにスーザンまで失ってしまったマッコールさんが例外的に感情を爆発させ、実の妹と肖像画で二度別れを経験したおじいさん、娘と店を同時に失いそうになる行きつけの本屋、マイルズの兄とマイルズを二人失いそうになる母親を救済し、逆にマッコールさんを失って自らスーザンまで亡き者にしたデイヴに制裁を与え、最後に指輪を外すことで妻との別れを強調して感傷に浸るエピローグ的な扱いだと認識していました。
かと思えば三作目、マッコールさんはがっつり指輪してますし、みんなのためではなく個人的にムカつくから敵を痛めつけていますし、なんならその敵も小物ですし、殺し方もオーバードーズってなんかシャープじゃないし、レモンを万引きして食っててシンプルに犯罪だし、なんか役者も大根だし、演出もわざとらしくて好きになれないし、これはもはやイコライザーではないです。「ジョン・ウィックのファンが適当に作ったイコライザーの続編」と言われても信じてしまうくらい酷い出来でした。本当は星0.5にしたいですが、最後にスーザンの写真が出てきたことろで思わずグッと来てしまったので星1にします。