「68歳のデンゼル、アクションもまだまだいける」イコライザー THE FINAL 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
68歳のデンゼル、アクションもまだまだいける
リーアム・ニーソン主演の「96時間」(2008)が世界中でヒットして続編も作られるなど大成功を収めてから、元軍人や元特殊工作員の中高年主人公が自警団的活躍をみせる“二匹目のドジョウ狙い”がいくつか作られたが、ジョン・トラボルタやショーン・ペンの主演作はどちらも不発。だが例外的に、「イコライザー」(2014)から始まったこのシリーズは興行面で成功し内容も高評価を保ってきた。原作は1980年代の人気テレビシリーズ(日本での放送時の題は「ザ・シークレット・ハンター」)なので世界観が確立されていたこともあるが、やはりオスカー俳優デンゼル・ワシントンの確かな演技力と、1954年12月生まれで現在68歳(ちなみにニーソンは1952年6月生まれ)にもかかわらず日々のトレーニングによって維持されてきた身体能力によるところが大きいだろう。
さて3作目の「イコライザー THE FINAL」の物語は、イタリアのシチリア島で始まり、続いて風光明媚で知られるイタリア半島南部アマルフィ海岸に近い小さな町に舞台を移す。ワシントンが演じるマッコールはわけあってこの地で静かに暮らし始めるが、一帯を牛耳るカモッラ(マフィアの一大勢力)が住民らを苦しめるのを見過ごせず、ついに立ち上げる。
マッコールが室内や店内にある身近な道具などを武器に変えて多数の敵を次々に瞬殺するという、本シリーズのトレードマーク的な戦い方はやや少なくなったものの、静から動へのメリハリが効いたアクション演出は健在で、さすがワシントンと5度目のタッグとなるアントワン・フークア監督ならでは。本作単体でも楽しめるが、ラスト近くで過去作とのつながりが少し示されることもあり、時間があれば前2作を復習しておくといいだろう。