劇場公開日 2025年9月19日 PROMOTION

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宝島 : 特集

2025年6月9日更新

【早すぎる、だが伝えたい“魂震”の超最速レビュー】
この物語を観ると、“新たな自分”を知る。全身で
感じる、圧倒的熱量の映画体験──3カ月後2025年9月、
何としてでも“今の時代に届けたい映画”が公開される

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すさまじい映画だった――。



そう素直に感じてしまったのが、映画「宝島」です。全身を直撃する圧倒的熱量の映画体験。作り手たちの気迫が、観る者の魂を震わす“魂震作”

公開は9月19日。封切りまで、まだ3カ月もある段階で、レビュー記事を掲載することは、筆者のキャリアでもおそらく初めてかもしれません。

感想を伝えるには早すぎる。しかし、どうしても言葉にしたい。今この瞬間から知ってほしい――。

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直木賞、山田風太郎賞、沖縄書店大賞を受賞した真藤順丈による同名小説を原作に、「龍馬伝」「るろうに剣心」シリーズなどで知られる大友啓史監督が映画化。主演には妻夫木聡広瀬すず窪田正孝永山瑛太といった実力派キャスト。

実際にあった出来事をベースに描かれる、全身で感じる約191分。先が全く想像できず、“時”を忘れて没頭し、さまざまな気持ちが抑えきれない――感想を、ありのままに、そしてネタバレ無しで書き綴っていきます。

※映画.comとして本作に向き合った経緯は、記事の最後に掲載しています。


【特報】激動の時代を駆け抜けた若者たち――衝撃と感動のエンタテイメント超大作

【本作が9月に公開されることを覚えておいてほしい】
観れば自分の中の“何か”が変わる…最速レビュー

妻夫木聡(グスク役)
妻夫木聡(グスク役)

【衝撃の鑑賞体験】
さまざまな感情がごちゃ混ぜに膨れ上がり、すさまじいエネルギーが湧き上がる…メモを取ることを止め、スクリーンをまっすぐに見つめざるを得なかった
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“夢中”――。



「宝島」の鑑賞体験は、この一言に尽きます。これまでの映画体験では味わったことがない、まったく異なる感覚に陥っている自分が、そこにいたんですから。

スクリーンにほとばしる登場人物たちの凄まじい“生”のエネルギーを一身に受けていると、喜怒哀楽だけではなく、名付けようのない感情が全方位へと加速度的に拡張・膨張していく。そして、それらの感情が全身をくまなく駆けめぐり、やがて体の内から外へと飛び出していって……感情をグッと押し留めることは? いや、無理です、まったくできません。

この膨れ上がる“勢い”は、想定以上――“アンコントロールな私”の状態に、自分自身ただただ驚くしかなかったんです。

広瀬すず(ヤマコ役)
広瀬すず(ヤマコ役)

スクリーンに広がっていたのは、想像することができなかった沖縄の姿――。「アメリカ統治下の沖縄」という“事実”は、記憶をさかのぼってみると、学生時代の「社会科の授業」で触れた覚えがあります。でも、映画を通じて、その光景を視覚的に目撃したことで、こんなことを思いました。

――私は当時の沖縄について“何も知らなかった”と。

鑑賞中はただひたすら、スクリーンを見つめていました。いや、見つめざるを得なかった――それが普通だって? いえ、普段であれば「試写=仕事の場」ですから、映画を魅力的に紹介するため、鑑賞中は必死にメモをとっています。でも、感情の奔流ともいえる感覚に陥った結果、手元のメモには“何も書けなかった”。

ペンを置き、スクリーンをまっすぐ見つめ、映し出される光景を脳裏に刻み続ける――それが、この映画との正しい向き合い方だと強く感じたんです。


【物語展開に強く引き込まれ、“心”が動き出す】
そして“知ろう”とする気持ちが止められない――未来を信じる若者たちの生き様に、あなたは何を受け取る?
永山瑛太(オン役)
永山瑛太(オン役)


“没入”――。



ストーリーは時に爽やかな“青春モノ”のムードもありつつ、サスペンス要素が多層的に重なっていくため、映画としての上質な高揚に満ちていました。作品世界へとグイグイと引き込まれ、“雑念”は頭から逃げ出していって……上映時間191分という長尺映画であることを“完全に忘れさせる”没入感です。

そして本作の若者たちは、あらゆる困難にぶち当たろうとも“前を見る”ことを諦めず、切り拓くべき“未来”を探し続け、やがて、その姿が“誰かにとっての希望”を生む。そんな彼らの喜びと哀しみ、今の時代にも通じる“怒り”について、さまざまな考えを頭の中で巡らせることになるはず。もしも“自分”だったら――そんな思考が、“私”は鑑賞から暫く経った現在でも続いています。

窪田正孝(レイ役)
窪田正孝(レイ役)

やがてスクリーンを凝視し続けていると、自分の“心”がぐわんぐわんと揺れ動いていることがはっきりと感じられ、そして「知ろう」とする気持ちが、徐々に、でも確実に大きくなっていきました。

「知らなかった自分」が「知ろうとしている自分」へ――。

“新たな自分”への変化を如実に感じた瞬間、主演の妻夫木聡さんの“言葉”をふと思い返していました。

「人の心を突き動かすことは容易ではありませんが、今を生きる私たちがどうあるべきか、どう生きていくのか、一緒に考えていきたい」(映画化発表時のコメント抜粋)

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そう、この映画は“心”を激しく揺さぶり、考えるために“知ろうとする気持ち”を芽生えさせてくれる作品。だからこそ、この点においても“今伝えたい映画”――果たして“あなた”はなにを受け取るでしょうか? ぜひ劇場でその瞬間を目撃し、言葉にしてほしいと思います。


【この映画が完成したことが奇跡】
大友啓史監督らスタッフ・キャストの“試行錯誤と覚悟”の結晶…細部に刻まれた途方もない思いは、“衝撃的な映画体験”となり筆者に“時”を忘れさせた
「宝島」完成報告会見の様子
「宝島」完成報告会見の様子


“奇跡”――。



そもそも、本作が映画として日の目を見ること自体が“奇跡”だと感じられます。

というのも、2019年の原作権取得から6年、コロナ禍による2度の撮影延期――そんな不測の事態に見舞われながらも、スタッフ・キャストの「どうしても今の時代に届けたい」という強い情熱がたぎり、“作品の完成”に結びついているんですから。

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“あのときの沖縄”を真正面から描く――しかもドキュメンタリーではなく、劇映画というエンタテインメントで……そこに並々ならぬ“覚悟”を感じざるを得ません。決して間違いの許されないテーマだからこそ、徹底的に追求する姿勢が必要であり、実現のためには時間だけではなく、費用も相当かかってくるはずです。

たとえば、劇中に登場する車。当時の時代を象徴するクラシックカーがふんだんに使用されていますし、多額の費用と手間がかかったであろうそれらを、豪快に破壊するシーンも。音楽に意識を向けると、琉球音楽だけでなく、JAZZやロックまで引用。つまり、画面や音響の隅々まで“当時”を刻み込んでいます。

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ほかにも、予想だにしない苦労があったことでしょう――紆余曲折・試行錯誤を経てたどり着いた“覚悟の結晶(=ディテール)”。それは鑑賞前の想像を遥かに凌駕する体験を生み出し、私の“映画観”にとてつもない衝撃を与えてくれました。

“実際にあった出来事”を背景に、スピード感たっぷりに描かれる20年間の物語。191分、時を忘れて見入る――この“全身に浴びる”映画体験だけは、映画ファンの皆様に伝えずにはいられなかったんです。


【最後に】
大友啓史監督は“本気”を伝え続けている 上映終了後に明かされた数々のエピソード――劇場公開まで約3カ月 大友監督の集大成「宝島」の思いは、観客へ託される
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どうしても知っておいてもらいたい――「宝島」には“映画の中身”だけではなく、“外側”についてもそう強く思ったことがあります。

実は本作の鑑賞を終えた際、試写会場では、大友監督がメディアや関係者に向けて自らの思いを“伝える”場が設けられていました。普段さまざまな試写に参加していますが、これはとんでもなく異例なことでして……それほど、大友監督は“本気”なんです。

そこで大友監督はこんなことを語っていました。

「興行的な成功よりも“届ける”こと自体がスタート」

「これでダメなら“やめてもいい”という覚悟を持って製作に臨んだ」

さらにはこんなエピソードも――沖縄試写の上映終了後、大友監督のもとに地元の“おばぁたち”が駆けつけたそう。満面の笑みを浮かべながら“涙”を流していた彼女たちが、大友監督に投げかけたのは「ありがとうね」という言葉だったそうです。

大友啓史監督
大友啓史監督

本作を鑑賞したことで生まれる感想や思いは、人それぞれで異なってくると思います。

ただ、これだけは絶対に、どうしても言っておきたい。

“届ける”という姿勢を貫いている「宝島」は、鑑賞した人たちが一様に“誰かに伝えたくなる”映画なんです。鑑賞者同士で感想を伝えあい、さらに未見の人に作品から受けとった思いを伝えたくなる――この連なりと広がりは、公開後、きっと大きくなっていくはずです。

ここまで書き連ねた“私”の感想なんて、まるっと記憶から消してしまってもかまいません。どうか“あなた”の感想を紡いでほしい。だからこそ、最後に改めて、絶対に覚えておいてほしいことを“伝えます”。



9月19日、魂震作「宝島」が公開されます。



まずは、これだけを忘れないでください――。


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本特集について、お伝えしておきたいことがあります。少々長くなりますが、何よりも大事なことだと考えますので、ご容赦いただけますと幸いです。

今年3月、映画.comの公式Xアカウントにて投稿した沖縄県に関するポストが、多くのご意見をいただくこととなりました。その背景には、映画.comの歴史的・社会的な事実と文脈への理解の不十分さがあったと、深く受け止めています。

以後、編集部として、情報を発信することの責任を改めて問い直すことになり、今に至ります。そんな中、とある映画宣伝プロデューサーから一つの作品を紹介されました。

「今だからこそ、そして、映画.comだからこそ、この映画と真剣に向き合ってほしい」

その言葉とともに手渡されたのが「宝島」でした。

本作を特集する資格が、果たして私たちにあるのだろうか? ……鑑賞前、そうした葛藤があり、躊躇したことを正直に告白します。

けれども、本編を鑑賞し、圧倒的熱量の映画体験にどうしようもなく度肝を抜かれ、「この映画をユーザーに伝えたい」という気持ちが抑えられませんでした。

そのような経緯から、映画.comとして本編を観て感じたことを“ありのままにお伝えする”という、今回の特集へと至っています。

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