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“シネマドリフター(映画流れ者)”リム・カーワイの原点「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」11月29日公開

2025年10月10日 12:00

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ポスタービジュアル
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(C)cinemadrifters

リム・カーワイ監督のデビュー作「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」デジタルリマスター版が、11月29日から公開される。予告編、黒沢清監督らが寄せたコメントが披露された。

大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称する映画監督リム・カーワイ。その原点となる「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」がデジタル・リマスター版として、15年の時を経てスクリーンに蘇る。

近年は東京国際映画祭コンペティション部門に「カム・アンド・ゴー」(2020)がノミネートされ、バルカン半島三部作「どこでもない、ここしかない」(2018) 「いつか、どこかで」(2019) 「すべて、至るところにある」(2023)、初のドキュメンタリー映画「ディス・マジック・モーメント」(2023)が公開され、映画監督として精力的に活動するも、2024年に突然の休業宣言したリム・カーワイ監督。

画像2(C)cinemadrifters

休業期間中も「台湾文化センター台湾映画上映会」キュレーター、週刊文春CINEMAにて「香港からの手紙」の連載など、大阪を拠点に国際的な活動を展開し、その存在感を示していた。2025年、優良な中華圏の映画の企画とグローバルな投資企業をつなぎ合わせることを目的とする台湾の企画マーケット「金馬創投会議」に、新作企画「遠雷的午後」がノミネートされ、プロデューサーに映画監督のトム・リン(「九月に降る風」「夕霧花園」)が名を連ねたことも話題となった。

映画監督だけではなく、多角的な視点で、グローバルに活躍するマレーシア出身の映画監督リム・カーワイ。大阪大学卒業後、サラリーマン生活に別れを告げ、北京電影学院に飛び込んだリムが、2009年北京郊外で初メガホンをとったのが本作「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」だ。

画像3(C)cinemadrifters

自分の存在が消失する恐怖、日常からの逃避を2部構成で、虚構と現実を行き来するふたつの世界が、映画的構造美の中でゆらめき、観客を白昼夢に突き落とす。中国、日本、アメリカ、香港、ボリビア等、多国籍なキャストスタッフ編成で自主制作映画された、“シネマドリフター”の原点となる作品が、初めてスクリーンに映し出される。

11月29日よりイメージフォーラム他全国順次公開。

▼コメント
■リム・カーワイ/「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」監督
長編デビューから気づけば15年が経ち、この間に11本の長編映画を制作してきました。
作品ごとにテーマやスタイルはそれぞれ異なりますが、無国籍/多国籍で根無し草のような原点は、やはりこの「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」にあると思います。
これまで劇場公開の機会がなかなか得られませんでしたが、今回こうして初めて劇場で上映できることを本当に嬉しく思います。
これを機に、当時ビデオで撮影した本作の色と音を改めて調整し、デジタル・リマスター版として仕上げました。
この映画が、まだ出会ったことのない多くの方々に届くことを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
■黒沢清/映画監督 ※2011年当時に寄せられたコメント
アジアのパワーと混沌が、ヨーロピアンな深い思索をもって構築され、最後にはまるでハリウッド映画のような興奮で観客の心を釘付けにする・・・世界映画の理想的なカタチがここにある。つまりこの作者はエドワード・ヤンがやったさらにその先を提示しようとしているのだ。彼の名前はリム・カーワイ、是非とも覚えておかねばなるまい。
■筒井武文/映画監督
第1作にして、この完成度。リム・カーワイの「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」には、心底驚かされた。10年ぶりに帰郷した青年を家族をはじめ、街の誰もが覚えていない。狂っているのは、自分か、世界か。その場の関係性をワンショットで描き切る。それどころではない。世界の陰謀が明かされそうになると、それを超える不条理が見事なモノクロ画面に定着され、今度は内容を映画形式が凌駕していくことになる。15年前に撮られた傑作を遅れてきた観客として発見すること。しからば、リム・カーワイ世界の進展という追体験の愉しみが待っている。
■樋口泰人/boid主宰・映画批評家
まるで太古の昔より根を張りそこにあったのだとでも言うかのような振る舞いを見せる登場人物や街の風景に貼りついた、しかし明日はどうなるかまったくわからないといったどこか無責任で限りなく危うい浮遊感。それはおよそ0.12ミリという35ミリフィルムの薄さのもつ頼りない存在感とも言い換えられるだろう。リム・カーワイは初の長編であるデジタル作品で、その半透明の怪しい揺らめきを見事に映し出したのだ。そこでは現在が当たり前のように融解して過去や未来になだれ込み、「今ここ」という現在を形作るいくつもの地層を暴き出すだろう。フィルムの連なりとも言える、見るものすべてをそんな「映画」へと誘うミステリートレインは絶賛走行中である。荒野を走るその長い長い列車を見たら、誰もが「映画」の世界へと連れ去られるに違いない。

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