コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第250回
2014年3月18日更新
第250回:人気ドラマ「24」が復活!ロケ地取材をレポート(前編)
2001年に全米放送を開始した「24 TWENTY FOUR」といえば、海外ドラマファンにとって金字塔のような作品だ。リアルタイムで進行する斬新なストーリー構成に、次から次に危機が発生するスリリングな展開、さらに初めてDVD化されたドラマということもあって、世界中で社会現象を巻き起こした。これをきっかけに、海外ドラマにはまった人も少なくないだろう。
10年にシーズン8で完結した「24 TWENTY FOUR」が、なんと復活を果たすことになった。「24:Live Another Day」と題された新番組は、従来の24話ではなく<ミニシリーズ>として12話のみが制作されるという。
この知らせを聞いた僕は、復活を喜ぶと同時に困惑した。
どうしてたった12話なのか? リアルタイム進行はどうなるのか? そもそも放送終了後に実現するはずだった映画化はどうして頓挫してしまったのか?
さまざまな疑問が去来するなか、なんと「24:Live Another Day」のセット取材のお声がかかった。かくして、飛行機に飛び乗り、ロケが行われているロンドンに向かったのだ。
まだアメリカでも放送が始まっていないし、そもそも撮影が始まったばかりなので、ネタバレにならないように注意しながら、2回にわたり貴重な体験をレポートしようと思う。
さて、「24:Live Another Day」の舞台は前作から4年後だ。指名手配犯としてヨーロッパで逃亡生活を続けてきたジャック・バウアーは、ある日、アメリカ大統領の暗殺計画が進行中であることをつかむ。正義感の強い彼は、お尋ね者であるにもかかわらず、計画阻止のために奔走することになるのだ。
撮影はロンドンを中心に行われていて、イースト・ロンドンにあるスタジオに固定セットが組まれている。演出家で製作総指揮ジョン・カサーは、シーズンあたりのエピソード数は24話から12話になったものの、1日24時間の出来事をリアルタイムで伝えるスタイルは変わらないと説明する。1日24時間の出来事すべてが描かれるのではなく、たまに時間を飛ばしながら12時間だけが映像化されるというのだ。
「たとえば、あるエピソードの最後でジャックがロンドンから電車に乗るとするよね。すると、次のエピソードはパリに到着しているところからが始まる。これまでは毎時間の出来事をリアルタイムで描かなくてはならなかったので長距離移動ができなかったが、今回は退屈な時間を飛ばすことができるので、行動範囲がずっと広くなっているんだ」
ジャックをサポートするのは、永遠の相棒クロエだ。突然のドラマ復活を聞かされたクロエ役のメアリー・リン・ライスカブは、ショックを受けたという。
「番組が終わったときは悲しかったけれど、すぐに映画化で再会できると思っていたの。“ジェイソン・ボーン”シリーズみたいに、シリーズ化するのかなとか期待していたのに、いつまで経っても実現しないので、いつのまにか『24 TWENTY FOUR』のことを諦めていた。そうしたら、今回の話が突然降って湧いてきたの」
今回のクロエは、これまでとは違う活動に精を出しているという設定で、ルックスも『ドラゴン・タトゥーの女』のリスベットのように変わっている。詳しい事情については、番組が始まってからのお楽しみ。
次回はジャック・バウアーこと、キーファー・サザーランドのインタビューをお届けします。
筆者紹介
小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。
Twitter:@miraikonishi