コラム:細野真宏の試写室日記 - 第218回
2023年9月26日更新
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
試写室日記 第218回 全米でバズった!パワーワード作品「コカイン・ベア」は、まさかの実話ベースの映画
今週末9月29日(金)から公開される「コカイン・ベア」は、タイトルだけを見ると「よくあるトンデモB級映画」なイメージがあります。
ところが、この作品は、実話をベースにしている「ちゃんとした映画」なのです!
1985年9月11日、FBIに追われていた麻薬密売人がセスナ機から大量のコカインが入ったバッグを投げ捨て、自身もパラシュートで降りようとしました。
ところが、思わぬハプニングが発生。多くのコカイン入りバッグが森の中で放置される事態になったのです。
そして、体重80キログラムの巨大クマが、それを食べてしまったのです。
この衝撃的な実話をベースに作られた本作は、まずアメリカ最大級のスポーツイベント「スーパーボール」で短めのCMが流され、その強烈なタイトルのインパクトでトレンド入りするほどバズりました。
さらに、2023年のアカデミー賞の授賞式に“コカイン・ベア”が登場。映画業界でも大いに盛り上がっていました。
全米では2023年2月24日(金)から公開。初週は大規模公開の「アントマン&ワスプ クアントマニア」に敗れましたが、初登場2位となり大ヒットしたのです!
本作で注目すべきは、エリザベス・バンクス監督の3作目の作品になっている点です。
アカデミー賞ノミネート女優のアナ・ケンドリック主演の名作「ピッチ・パーフェクト」シリーズに出演していたバンクス監督。監督1作目となったのは、「ピッチ・パーフェクト2」(2015年)でした。
同作は、アメリカで「ミュージカル・コメディ映画で歴代興行収入1位」となるほどの大ヒットを記録しています。
2作目は「チャーリーズ・エンジェル」のリブート版(2019年)を手がけましたが、これは正直なところ「う~ん」な出来でした(笑)。
つまり、エリザベス・バンクス監督は「ピッチ・パーフェクト」シリーズのようなコミカルな物語が向いていると思われます。
それもあり、本作は「R15+」指定となっていて、ややエグいシーンもありますが、そんなシーンでも試写室内では笑いが起こっていました。
日本では、ムビチケカードに「白い粉」が付いていたりと、良い意味で悪ノリしている感があります。(白い粉の正体は、入浴剤です)
公開規模は80館に満たない規模ですが、果たしてアメリカのように話題となるのか?
人を選ぶのかもしれませんが、見て損はないスリラー・コメディ作品だと思います。
筆者紹介
細野真宏(ほその・まさひろ)。経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。
首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。
発売以来15年連続で完売を記録している『家計ノート2025』(小学館)がバージョンアップし遂に発売! 2025年版では「全世代の年金額を初公開し、老後資金問題」を徹底解説!
Twitter:@masahi_hosono