コラム:人間食べ食べカエル テラー小屋 - 第17回

2020年6月10日更新

人間食べ食べカエル テラー小屋

玉石混交の投稿動画界隈でもかなり玉側!「やりすぎ感」が特徴の大御所シリーズ

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本コラムを読んでくださっている方ならご存知かと思うが、視聴者から送られてきた恐怖映像を紹介する、いわゆる投稿動画系の映像作品群の中に「封印映像」というシリーズがある。このシリーズは、毎回3~4本の恐ろしい投稿動画を取材も交えながら紹介するのだが、その最大の特徴は「やりすぎ感」だ。

幽霊は当たり前のようにクッキリ映るし、それ以外にも人間を超越した狂人や、果てにクリーチャーや妖怪まで出てくる。そして、そこそこの確率で人が死ぬか廃人になってしまう。映像は毎回バラエティに富んでおり、今度は何が映るのかと、つい手を伸ばしてしまう魅力がある。実はすでに40巻以上も出ている大御所シリーズだが、今回はその中から第41巻を取り上げ、収録されている計4エピソードそれぞれの内容について書いていきたい。

一つ目の映像は「ツーリング」。投稿者の男性がツーリングコースのある峠に向かう道中を、バイクに取り付けられたカメラから映し出す。その映像の中に恐ろしいものが映り込んでいた……。

まずは王道の心霊映像からスタート。白昼の山道をバイクで走る投稿者。途中で道に迷い、通行人に目的地の峠の場所を聞くが、その名前を出した途端に通行人の雰囲気が変わる。それでも何とか道を聞き、ようやく峠に着く。そこで、ある異様なものが映る。道端に靴や免許証が不自然に落ちているのだ。アイテムを道にただ置く事で、お手軽に気味の悪さを演出。これは中々いいアイデアだ。このタイミングで、ただのドライブ映像から一気に空気を変えると、あとは怒涛の心霊嫌がらせ!チラリズムに心霊音声、トドメの一撃を華麗にキメる。特段恐ろしいわけではないが、ここまでの巻数を積み重ねてきたからこそ出来る、熟練の心霊技を堪能できる。テンポを重視した心霊現象の重ね撃ちが冴える。安定感すら感じられる堂々の1本目である。

「お葬式」の一場面
「お葬式」の一場面

続く2つ目は「お葬式」。これは女性が葬式のため家族と実家に帰省した際に、彼女の主人が持っていった一眼レフを使って、2人の娘が撮影した映像だ。実家の少し古びた感じや、お葬式を行うという空気感が、不気味な雰囲気を醸し出す。

ここにきて封印映像が少し本気を出す。実家を訪れた親族夫婦の奥さんが突然腹を押さえて苦しむ。そして腹から血が!突然の事態に居合わせた一同騒然!そこに一瞬映る女性の霊!!そう、今回は物理で殺りに来る霊が登場(どんな物理かは見てのお楽しみ)だ。霊の登場時間は非常に短いが、その分かなりクッキリ映るのが嬉しい。そして短いと言えば、霊が珍しいミニスカート姿なのが印象的だった。

3つ目の映像は「ビデオレター」。投稿者は、一人娘がいるAさん。別れた旦那が癌で亡くなる前に撮ったビデオレターが、彼の友人を通じて送られてきたものだという。それには案の定恐ろしいものが映り込み……。程よく気味が悪いが、正直なところかなり映像的なインパクトが弱い。次に行きましょう。

ラストを飾るのは、この巻のサブタイトルにもなっている「田中」だ。投稿者は、投稿動画系が大好きな佐々木(仮名)さん。知り合いの男女2人に心霊スポットの一軒家を探索させ、その様子を映して動画にしようとしたのだが、案の定……という内容だ。

映像の冒頭、カメラを回す佐々木さんが、女性に「田中みたいにやってくれ」と意味不明な言動を放つ。もう取り憑かれた!?と思いきや、これは封印映像スタッフの1人である田中さんみたいにやってくれと言っていたとの事。それでサブタイトルが「田中」というわけか。いろいろ投稿動画は観ているが、名前がサブタイトルになるスタッフは初めて見たかもしれない。

さて、一軒家に入ってからの雰囲気は良い。暗く荒れた部屋には、いかにも何か出そうだ。投稿動画ホラーの醍醐味の一つは、こういった場所の探索を疑似体験できることだと思っているが、ここでもそれが味わえる。出来ればもっと探索してほしいところだが。で、この佐々木という男。女性一人だけに探索させようとする。冒頭から言動が鼻につくと思っていたが、こいつ中々のクソ野郎だ。案の定、無理やりやらされた女性は霊の仕業でおかしくなり、そのまま精神病院に直行。その顛末を悪びれもせず話す佐々木に、封印映像スタッフ一同もドン引き。一人ヘラヘラする佐々木。切れるスタッフの田中さん。一体何を見せられているんだ!?これはもうタイトル「佐々木」にした方がいいんじゃない?とまあ、いろんな意味で印象に残るエピソードである。

というわけで第41巻、最後に凄い乱着陸を見せてくれた。封印映像は、波はあるけど大体どの巻でも強烈な映像が拝めるので、玉石混交の投稿動画界隈でもかなり玉側だと思う。他の巻もOSOREZONEで配信中なので、気になった方は鑑賞してはいかがだろうか。

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■「封印映像」シリーズは、OSOREZONEで配信中!
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筆者紹介

人間食べ食べカエルのコラム

人間食べ食べカエル(にんげんたべたべかえる)。人間食べ食べカエルです。X(旧Twitter)で人喰いツイッタラーをやっています。ID @TABECHAUYOで検索してみてください。WEBや誌面で不定期に寄稿をするほか、新作へのコメントなどを書いています。好きなジャンルはホラーとアクションで、特にモンスターに人が食べられるタイプの映画に目がありません。「ザ・グリード」に出てくる怪物を目指して日々精進しています。どうぞよろしくお願いします。

Twitter:@TABECHAUYO

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