コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第18回
2013年12月13日更新
第18回:「攻殻機動隊ARISE」黄瀬和哉総監督に聞く
今月のアニメコラムは特別編。人気タイトル「攻殻機動隊」の新シリーズ「攻殻機動隊ARISE」で総監督を務める黄瀬和哉氏のインタビューをお届け。11月30日から劇場上映され、12月25日にDVD&ブルーレイの発売を控える第2話「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」の見どころは?
取材・文・写真:トーキョーアニメニュース
11月30日より全国の劇場にて上映が開始された「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」。本作は、大きな広がりを見せる「攻殻機動隊」待望の最新作であり、主人公・草薙素子の過去を描く「攻殻機動隊ARISE」の第2幕となっている。今回は「攻殻機動隊ARISE」全4話の総監督・キャラクターデザインを務める黄瀬和哉氏にお話をうかがった。
「今回は総作画監督としても関わっていて、素子やバトーなど『攻殻機動隊』本来のメインキャラクターである公安9課の面々が登場するシーンはほぼすべて僕自身が手を入れています」ということで、黄瀬監督の力の入り具合は第1幕である「border:1 Ghost Pain」を上回る。だが、入魂のあまり、お気に入りのシーンについて尋ねると「作品の随所に挿入されるカーアクションですね。自分が現場に関わっていない3DCGのシーンを多用したバトルシーンは印象深いんですよ。逆に、自分のシーンについては、慌ただしい中での制作だったのでパッと思いつきませんね(苦笑)。本作をご覧になった皆様が“ここがよかったよ”と言ってくだされば、そこがお気に入りです」と苦笑い。
そんな本作のテーマは“アクション”だという。「本シリーズでは、各話ごとにひとつずつテーマを設けるようにしてあります。『border:1』では、それが“ミステリー”だった。打って変わって今回は、アクションシーン多めの脚本を、脚本家の冲方丁さんにお願いしています」とのこと。「マルドゥック・スクランブル」などハードなSFアクションアニメも手がける一方、全くジャンルの異なる人間ドラマを中心とした実写時代劇「天地明察」でもその実力を見せつけた冲方氏が参加しているだけあり、上質なアクションとドラマが融合した物語が堪能できる。一方で、次回以降へのステップアップの物語でもあり、草薙素子が所属する公安9課のメンバーが、ついに1人を除き一堂に会するのも目玉だ。残る1名については、最後の予告編を見る限り、続編「border:3」にて公安9課参入のドラマが描かれるようなので、期待が高まるところ。
「『攻殻機動隊』という作品は、士郎さんの原作、押井守さんの劇場版、神山健治さんの『STAND ALONE COMPLEX』があってのものであり、世界観はその時点ですでに完成している。それこそが僕が考える『攻殻機動隊』なので、その点はファンの皆さんと共通している」と語る黄瀬総監督。だからこそ、シリーズファンの期待を裏切らないクォリティの作品作りができる。「今回のシリーズは過去の話なので、ラストがその後に繋がってさえいれば何をやっても大丈夫、という安心感があります」とは言うものの、やはり気をつけるべきところはあり、劇中のテクノロジーについては後のシリーズとの矛盾を起こさないように描写しているとのこと。一方「登場人物がスマートフォンを使っていることについては、現実が作品世界に追いついてしまったということで、サラっと流してください」と、ひと笑いする一幕も。
インタビューの最後では「とてもパワフルな作品になっていますので、ぜひよろしくお願いいたします。『border:3』については、なるべく間を空けずに皆様にお届けしたいのですが、ようやくコンテ作業が終わり、これから本格的に制作が始動するところです。皆様の応援次第では、今後のさらなる展開もありえるかと思いますので、まずは4話構成のラスト『border:4』までお付き合いください」とファンに呼びかけた。
■「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」
2013年/日本
総監督:黄瀬和哉/監督:竹内敦志
声の出演:坂本真綾、塾一久、松田健一郎
新宿バルト9ほかにて上映中/12月25日、Blu-ray&DVD発売
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