源氏物語 浮舟

劇場公開日:

解説

源氏物語「宇治十帖」に登場する浮舟をヒロインにした北条秀司の同名戯曲の映画化。「朱雀門」の八尋不二が脚色、「月形半平太(1956)」の衣笠貞之助が監督した。撮影は「母白雪」の竹村康和。主演は「鼠小僧忍び込み控 子の刻参上」の長谷川一夫、「朱雀門」の山本富士子、市川雷蔵、「女優(1956)」の乙羽信子、「大阪物語」の中村鴈治郎、中村玉緒、三益愛子。ほかに夏目俊二、柳永二郎、浪花千栄子、浜世津子、橘公子など。色彩は大映カラー。

1957年製作/118分/日本
劇場公開日:1957年4月30日

あらすじ

きらびやかな平安の都に東国から二人の母娘、常陸の介の妻中将と、中将がいまは亡き都の貴族八の宮との間に生んだ少女浮舟がやって来た。--浮舟にとっては異母姉にあたる八の宮の姫大君の葬いにきたのだ。丘の上の墓所で、母娘は大君を愛していた薫の君に出遭った。薫の君は浮舟の野性美もさることながら、その顔立ちがあまりにも生前の大君と瓜二つなので驚くが、いつしかそれは彼女への深い思慕に変った。浮舟母娘は大君の妹の中の君が嫁いでいる匂宮の館に滞在しているが、匂宮は清純な愛を信じる薫の君とは反対に次から次へと女を愛する快楽主義者であった。ある日、薫の君の案内で洛中の名所をめぐりまわった浮舟は、朱雀門の池の端で薫の君から想いを打ち明けられたが、彼女は踵をかえして走り去った。その数刻後、彼女は清冷院の東庭で匂宮に出会った。匂宮は強引に彼女を抱き寄せたが、彼女は彼を突き飛ばす。--時が流れて、浮舟は居を宇治の元の八の宮の山荘に移し、いまは薫の君の深い愛を信じ、毎日彼の訪れを心待ちに待っている。その間も匂宮は何かと浮舟を誘惑しようとした。ある日、匂宮は浮舟に薫の君が帝の勅諚で皇女二の宮と結婚しなければならなくなったと騒ぎ、彼女が動揺するのにつけ込んで、その夜無理矢理に彼女の体を抱いた。だが、浮舟の理性が崩れ去った頃、薫の君は地位も名誉もなげうって、浮舟の愛のみを信じ、勅諚に反して彼女の許へ牛車を急がせていたのだ。しかし、薫の君は全てを知って絶望に立ちすくんだ。勝ち誇った匂宮は浮舟を都に連れて行こうとする。と、彼女は山荘のどこにもいない。薫の君は浮舟の死を直感した。たとえ、どのようなことがあっても、二人は心の底で結びついていたのだ。山荘の女房たちの浮舟を求める声を遠くに、いつか薫の君は宇治川のほとりに出た。夜明けの靄が川面に垂れこめている。その時、白い被衣が川底に没して行くのがわかった“浮舟ッ”薫の君は悲痛な叫びをあげ、一歩、二歩思わず川の中に身を進めていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0まるでコントのような

2025年5月24日
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鑑賞方法:映画館

笑える

斬新

源氏物語の宇治十帖の話。市川雷蔵映画祭で見たのだが、主役の薫の君は長谷川一夫で、雷様はライバルの匂宮。ヒロイン浮舟には、ミス日本の山本富士子が演じている。長谷川一夫、この時幾つ?えらい貫禄がある。まあ、忠臣蔵で大石内蔵助、酒呑童子では鬼やった方ですから。リアルな平安貴族にしようと、皆が白塗りお歯黒なんだが、お富士さんに全然あってない。墨東綺譚で玉ノ井のお雪を演じた時は綺麗だったけど。でも、白塗りお歯黒の雷様が、まさに我らが考えているスケベな好色貴族にぴったり。ドリフのコントなんかに出てきて「麿は」と言いそう。眠狂四郎なんかの凛々しい雷様しか知らない者には新鮮かも。それと薫、せっかく浮舟が身を捧げようと覚悟を決めたのに、心と心が繋がっているからと断るなんて、なんと無粋な。匂宮のように力ずくでものにするなんて論外だが、女心をわからない男は、どんなに美男で高貴な出であっても、女を不幸にするんだなぁ。

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ヤマナ