吉田都 : ウィキペディア(Wikipedia)

吉田 都(よしだ みやこ、1965年10月28日 - )は、日本のバレリーナ。

東京都国立市出身。1988年より2010年まで22年間にわたって英国の2つのロイヤル・バレエ団でプリンシパルを務めた。2020年9月より、新国立劇場の舞踊芸術監督を務めている。

経歴

東京都国立市に生まれる。父親は地方公務員、母親は専業主婦で、二人姉妹の二女だった「こころの玉手箱(2)」 日本経済新聞 2008年2月26日夕刊。

1974年、9歳で石沢秀子にバレエを習い始める。1981年に全国舞踊コンクール・ジュニア部門で第1位『全国舞踊コンクール50年史』 (東京新聞社、1994年)p.101。同書によると吉田は同コンクールで1979年に入賞(このときの部門名は「バレエ第2部」)、1980年 第2位、1981年 第1位であり、3年目にしての優勝だった(pp.97-101)。なお 『MIYAKO 英国ロイヤルバレエ団の至宝・吉田都の軌跡』 (文藝春秋、2006年 ISBN 9784163577203) および 『バレエのプリンセス 吉田都の世界』 (新書館、1997年 ISBN 4-403-32003-1)では誤って「1980年 第1位」と記載されていた。。その後石沢の勧めで松山バレエ学校に移籍した。松山在籍中の2年間にはコール・ド・バレエとして松山バレエ団の公演にも出演した前掲 『…吉田都の世界』、p.53。。

都立北多摩高等学校2年在学中「特報 第11回ローザンヌ賞」 The TES Graphic 1983 Vol.7-1 〔通巻42号〕、テス・カルチャーセンター、 p.26の1983年、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞し、英国ロイヤル・バレエ学校に入学。当初は上級学校の1年生のクラスだったが間もなく最終学年に移され吉田都 『吉田都 一瞬の永遠』 世界文化社、2011年、ISBN 978-4-418-11502-0、p.92、1年後の1984年にサドラーズウェルズ・ロイヤル・バレエ団 (現バーミンガム・ロイヤル・バレエ団) に入団した。ピーター・ライト卿に認められ、4年後の1988年には最高位プリンシパルに昇格した。

ロンドンを本拠地とする姉妹カンパニーのロイヤル・バレエ団にはプリンシパルとして度々客演していたが、1995年にバーミンガムから正式に移籍した。この理由について家族的な雰囲気のバーミンガムに居続けることで成長が止まってしまうことを恐れたためと後に説明している「丸の内キャリア塾 No.76」 日本経済新聞東京版夕刊 特集広告、2008年10月21日(火) 。

イギリスでは 『眠れる森の美女』、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『ジゼル』、『ドン・キホーテ』 といった代表的な古典の主役のほか、アシュトン振付 『シンデレラ』、ニネット・ド・ヴァロア振付『コッペリア』、マクミラン振付『ロミオとジュリエット』などの少女役・妖精役を得意とした。

2009年11月、ロイヤル・バレエ団からの引退公演が発表された"Royal Ballet Guest Principal announces her final performances with the Company", Royal Opera House。2010年4月にロンドンのオペラ・ハウスにてさよなら公演として『シンデレラ』を踊った。2010年6月29日、東京文化会館で同バレエ団の来日公演 『ロミオとジュリエット』 のジュリエット役を踊り、26年間に及んだイギリスでのキャリアを終えた。

ロイヤル退団後は日本を拠点にフリーランスとして活動している。2011年3月11日の東日本大震災の直後には、ロンドンにてJapan Tsunami Appeal Concertというチャリティー公演を企画し、支援活動を行った。2011年5月には東京で、古巣バーミンガム・ロイヤル・バレエ団と『真夏の夜の夢』を踊った「2011年公演ラインナップ」、日本舞台芸術振興会。

2018年6月28日に行われた新国立劇場運営財団理事会審議にて、同年9月から新国立劇場舞踊部門次期芸術監督予定者として芸術参与に就任することが決定した。

2019年8月7日・8日に引退公演「Last Dance」を上演し、ダンサーを引退。2020年9月1日、新国立劇場の舞踊芸術監督に就任し、新国立劇場バレエ団を率いることとなった。

私生活では2005年に日本人の遠藤貴と結婚した。

バレエ以外の活動と受賞

その他

ドキュメンタリー

  • BS1スペシャル「LAST DANCE〜バレリーナ吉田都 引退までの闘いの日々〜」(2019年11月24日、NHK BS1)
  • SWITCHインタビュー 達人達「吉田都×宇佐見りん」(2021年6月19日、NHK Eテレ)
  • NHKアカデミア「吉田都 "揺るぎない知性"との出会い」(2022年8月30日、NHK Eテレ)

著書

  • 『Miyako : The jewel of the royal ballet :英国ロイヤルバレエ団の至宝・吉田都の軌跡』宮沢優子, ビル・クーパー写真. 文藝春秋, 2001.8
  • 『吉田都終わりのない旅。』阪急コミュニケーションズ, 2005.6
  • 『吉田都一瞬の永遠 英国ロイヤルバレエ・プリンシパルのすべて』篠山紀信写真. 世界文化社, 2011.6
  • 『Miyakoレッスン 吉田都のエッセンス・バレエ・クラス』吉田都 指導・モデル. 新書館, 2011.6
  • 『バレリーナ踊り続ける理由』河出書房新社, 2016.11 のち文庫
  • 『吉田都 永遠のプリンシパル』河出書房新社, 2019.8

注釈

出典

著書

  • 『吉田都 終わりのない旅』 阪急コミュニケーションズ、2005年、ISBN 4484052091
  • 『吉田都 一瞬の永遠』(文:吉田都、写真:篠山紀信) 世界文化社、2011年、ISBN 978-4-418-11502-0
  • 『Miyakoレッスン 吉田都のエッセンス・バレエ・クラス』新書館、2011年、ISBN 978-4-403-33051-3
  • 『Miyakoレッスン 吉田都のエッセンス・バレエ・クラス(DVD)』新書館、2011年
  • 『バレリーナ 踊り続ける理由 』河出書房新社、2016年、ISBN 978-4309277691
  • 『永遠のプリンシパル』河出書房新社、2019年、ISBN 978-4309290423

評伝

  • ビル・クーパー (Bill Cooper) 『MIYAKO 英国ロイヤルバレエ団の至宝・吉田都の軌跡』 文藝春秋、2001年、ISBN 4163577203
  • くりた陸『Miyako バレリーナ吉田都ものがたり』新書館、2010年、ISBN 978-4-403-33043-8

関連項目

  • 東京都出身の人物一覧

外部リンク

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