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長谷川和彦監督が語り尽くす「青春の殺人者」新事実 本邦初公開の資料も

2014年1月17日 06:00

長谷川和彦監督と樋口尚文氏「青春の殺人者」

長谷川和彦監督と樋口尚文氏
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[映画.com ニュース] 長谷川和彦監督のデビュー作「青春の殺人者」(1976)が、2月12日にキングレコードから撮影監督・鈴木達夫氏の監修を経た史上最良のマスターでブルーレイ化&再DVD化され、発売される。特典映像は、長谷川監督自らが本作製作時に直面した脚本家・田村孟氏との創造上の相克などを語り尽くした82分の貴重なインタビュー、題して「『青春の殺人者』という事件の現場」。映画.comは、総監督と聞き手をつとめた映画監督・映画評論家の樋口尚文氏に完成にいたるまでの奮闘の日々について独占取材した。

青春の殺人者」は、76年度のキネマ旬報ベスト・テン第1位に輝いた傑作。74年10月に千葉・市原で実際に起こった事件を取材した、中上健次氏の小説「蛇淫」が原作で、衝動的に両親を殺害した青年・順(水谷豊)の姿を通して、親が子に向けるゆがんだ愛や若者の心の葛藤を描いている。

樋口氏は76年の封切り初日、ATG専門館・日劇文化劇場で鑑賞して大きな衝撃を受けたという。中学2年生だったそうで、「主人公の順が親を殺したのに自分を持て余している感じがリアルでした。当時は、ここまで無様なアンチヒーローを描いた映画ってなかった。感動を通過して衝撃を受けた」と述懐。さらに、「敗北的な感覚が僕らの世代の映画だなと思いました。ニヒルで優しいし。どんなシナリオなんだろうと思って読んでみたら、大事な箇所が本編と全然違う。2度目の衝撃を受けました」と話す。

今作の脚本を手がけたのは、元創造社のメンバーで作家に転向以来5年ぶりに執筆した田村氏。樋口氏には、公開当時から長谷川監督に聞きたいことがあった。「脚本は、親というものを中心にした“家族帝国主義”を破壊するゲリラになるんだと宣言する若者を描いている。ただ、ゴジさん(長谷川監督の愛称)は撮影中に大幅に本を書き変え、自分の側、観客の側に引きずり寄せた作品に仕上げた。ということは、田村孟さんの脚本とゴジさんの演出の相克というか対立というか、よほどの格闘があったのではないかと感じたのです」。

今回のインタビューに際しては、昨年8月から4カ月にわたる長期の交渉が続けられた。「当初インタビューを固辞するゴジさんからは『おまえが監督をするのなら、おまえなりの新しい視点を掘ってくれ』とずっと言われていたので、質問状がラブレターですよ(笑)。意外と聞かれていない孟さんとの作家的な格闘という部分をお聞きしたいと。直談判をするため、どこかのトークショーに現れると聞けば、新たな質問とワイルドターキーを持参して口説く……という日々でした」。その思いが結実し、インタビューは実に5時間近くに及んだという。

特典映像内には、「長谷川和彦はトロツキストか?」を皮切りに、興味深い見出しが幾つも躍る。「『卓のチョンチョン』で監督デビュー?」「ATGらしくないATG映画を」「タイトルはこうして生まれた」「今村昌平とケンカする」「相米慎二杉田二郎?」「ゴダイゴが現場で説得」などと続くなかで、「セットをまるごと燃やしたい」「無許可ゲリラ撮影が大好物」のくだりでは、今作と「太陽を盗んだ男」撮影時にプロデューサーや製作担当が何人も逮捕された様子を生き生きとした面持ちで語っている。また、水谷、ヒロイン・ケイ子役で撮影当時は17歳だった原田美枝子とのその後の交流にも触れている。

そして、田村氏との創造的相克については、長谷川監督が本邦初公開となる資料を提供してくれたという。樋口氏は、「その資料というのは、孟さんからの激しい抗議文だったんです。私は読みながら感動と戦慄を覚えました」と語る。その内容とは、「『あなたは監督だからといって、現場に入ったら監督の自由だなんていう甘えた考え方は捨てなさい。観客を泣かせる映画を作ろうとしているようだが、私はそんなものを書いたつもりはない。これ以上改変するようなら、提訴して上映差し止めにすることもありうる』と書いてあったんです。怒っているのではなく、真摯なんです。作家的資質や世代的な違いを、それぞれの作家が譲らないという対決の跡。素晴らしく貴重な資料でした」と振り返った。

長谷川監督は、「太陽を盗んだ男」以降、35年間も沈黙を貫いている。しかし、本編内では「問題はこれからだな。これから、どうするんだ。昨日までダビングをしていた気分だ」と話しており、往年の長谷川ファンにとっては必見の映像といえる。樋口氏は、「当初のモチベーションは積年の質問をしたいということでしたが、話を聞いているうちに『この映画づくりをめぐる格闘は次代の観客に伝えなければいけない』と思いました。映画って本来は自由に作られるべきだし、スリリングでやばいものなんだよ、と。これだけやばい映画があるんだということを、伝承しなければならない。あのやばさを広めたいんです」と言葉に力を込めた。完成した映像を見た長谷川監督からは電話があったそうで、「『本当にどうもありがとう』とおっしゃってくださいました」と安堵の表情を浮かべた。

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