市子のレビュー・感想・評価
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杉咲花さんの演技に圧倒される秀作
失礼ながら、杉咲花さんは見た目も演技も子供みたいで、これまで全く魅力を感じませんでしたが、本作の彼女はすごいです
無戸籍児として自らのアイデンティティを否定され、不幸な家庭環境で絶望の淵で生き続ける主人公 川辺市子という到底 一般人には理解できない超難解な役を演じる杉咲さんの渾身の演技だけでも見る価値のある作品だと思いました
日本には市子のような無戸籍者が一万人ぐらいいるそうで、その人達が皆、このような辛い思いをしているかと思うと心が痛みます
それでも一生懸命生き続け、なんとか自分で幸せを見つけそっとしておいて欲しいのに、人の人生は残酷でとんでもない方向へ転がっていく、という顛末には驚愕を覚えました
市子はただただ幸せを願い、ようやく若葉竜也さん演じる長谷川くんと出逢いプロポーズまでされたのに、その辛すぎる出自と生い立ちはとんでもない”怪物”を生み出してしまったのか
と、観ていてめちゃくちゃ苦しいエンディングでした
時代が行ったり来たりしながら、市子を追う人々と一緒に彼女の人生を噛み締め、全貌が明らかになっていくストーリー展開が見事、グイグイ惹き込まれ、あっという間の126分でした
そしてそんなエモーショナルでスリリングな物語を彩る俳優陣も素晴らしかった
特に宇野祥平さん演じる後藤刑事が渋かったのと、中村ゆりさんが色っぽくてすごく綺麗でした
なかなか見応えのある良作でした
仕方なかったはありなのか
いくつかの問題を何層にも重ねて描かれている
フィクションとも思えない理不尽な状況に感情移入し、怒りと恐怖を感じ、市子の涙にこちらも涙した
ただし、不幸な境遇に翻弄された女の子をかわいそうだなと思う話しとするほど単純では無かった
市子とはどんな人間だったのか、観る人によってその人物像は様々であるように思う
個人的に、今年いちばん心をえぐられた
ちなみにわかり辛い時系列はパンフレットに年表が添えられている
原作は舞台作品であるという
この内容がどのように舞台上で演じられたのか非常に気になった
映画の興行が成功し、舞台の再上演など企画されたなら観に行ってみたい
正直いって本作は傑作だと思う
ぜひ映画館に観に行って、内容を人と論じて欲しい
以下、ネタバレ
エピソードは様々あるが、
わたしのレビューでは殺人についてのみ論じようと思う
作品の中で描かれた市子の3つの殺人
時系列で並べると、1.妹 2.義父?(修正:福祉課の小泉・パンフレットにて確認) 3.北と女の子
これらの殺人に重い軽いはあるのかが自分の中で引っ掛かった部分だった
状況が市子を殺人鬼にしたのか、元から市子にサイコキラーの素質があったのか
市子を演じる杉咲花がはかなげで、可愛いことがこの状況なら仕方ないよねと思う気持ちを助長したとも感じた
だが、3つ目の殺人で、市子が北もろともクルマを崖に落とす事を選択したことを知った時にハッとさせられ、市子の本性を見た思いがした
これらの殺人は3つとも全てが市子の人生を修正するために彼女にとって必要な殺人であったと思う
だが、限界を迎えていた精神状態での前2件は仕方なくて、3つめの殺人は利己的だと言えるのかは大きな問題点で、人を殺めても法の裁きを逃れ続けてきた人間の狡猾さが3件目の殺人で鮮明に現れたのでは無いだろうか
そんな気分でむかえた市子の鼻歌をバックに流れるエンドクレジットに空恐ろしいものを感じた
今後、市子は新たな名前と戸籍を手に入れてケーキ屋さんになるのだろうか
家族団欒を手にする日が来るのだろうか
そのとき、我々はそれをよかったねと笑顔を送ることが正解なのだろうか、、
市子なんて○○なのに応援しないわけにはいかない。
◆無国籍であることが市子を翻弄する。前日プロポーズされたのに無国籍だから逃げ出す。もちろん「結婚はしないけどずっと一緒にいたい」と市子が言うのも有りだが、市子は逃げることを選んだ。バッグは先に落とさんかい。
市子の思いや考えは分からない。市子が、感情や思考を語ったりしないように脚本を何度も練り直したらしい。 だから、市子の行動と周りの証言から推察するだけだ。
(終わり)
(続き)
◆市子が月子の酸素マスクを外して殺してしまったあと、帰ってきた母親(中村ゆりさん)が言ったセリフが、「ありがとう」。 悲しむより、怒るより前にホッとしたからだと思う。別に母は今まで殺そうと思ったことはないだろう。だけどホッとしたのだろう。
聞いた話なのだが、ガンなどの病気の看病が長く続くと、亡くなった時まずホッとするのが先のこともあるらしい。もちろん悲しいのだけど、なんかホッとするのが先だったりするらしい。
僕は、芸能人がテレビで自分の体験を語ってたのを聞いただけだ。確か対談番組で、ゲストが、身近の者が長い闘病の末亡くなったとき「まずホッとした」と言ったのを受けて、「分かる、僕もそうだった。悲しいんだけどまずホッとした」と司会者が共感したのを見ただけだ。
ところで市子は現在、冬子になって逃亡中。多少同情もするが、市子なんて4人も殺して殺人犯。だけど、逃げろ市子ォ~、と思ってしまった。冬子だけど。
◆時系列で混乱したが、ちゃんと追えたと思う。ん~、たぶん?(^^) 。 パンフレットでは時系列の年譜があるらしい。
(ホントに終わり)
冒頭から終末まで雰囲気はヘビー級
「市子」タイトルどおり市子の周りで起きる事件を描いたストーリーだが、市子目線で描かれるストーリーはほぼ無し。
基本的には、市子周りのキャスト目線で、市子についてのストーリーが描かれている。
映画を観ていると、市子の仕草や話し方、笑顔が魅力的すぎて観客はどんどんと市子そのものに吸い込まれていったのではないか。
登場人物の全員が市子を救いたい、という切実な思いをもっているがその闇の深さに手が負えない情勢。
さらに主演目線の気持ちは描かれておらず、
市子の気持ちは市子にしか分からない。
つまり観客の感受性に委ねる構図。
ラストシーンまで考えれば考えるほど、私も蟻地獄に落ちてしまいそうな気分になる。
個人的には今年一のヘビー級映画で久々に喰らいました。
幸せになれるまで、何度でもリセットする⁉️
最後までハラハラドキドキしながら観ていた。逃げて逃げて逃げまくって、何度も罪を犯して、人生リセットしまくって、いったい何処に行ってしまうんだろう。最後のシーンの、若干勝ち誇ったかのようなふてぶてし気な市子の表情(私にはそう見えた)‥強っ‼︎だてに修羅場をくぐり抜けてないわ‼︎っ。メンタル最強。もう一度やり直しよ⁉︎。違うか??。杉咲花の市子役は良いなー。一見、何処にでも居そうな容姿に見えるけど、実際には滅多におめにかかれない。手が届きそうで届かない。口数少なくて煩く無い。話し方が良い。声が良い。ミステリアス。薄幸な影を纏っている。いつもは無表情なのに笑うとめっちゃ可愛い。魅力をあげればキリがない。気がついたら市子だけを必死で追っていた。好きだわー。魔性の女???。
良く分からないし具合が悪くなった!!
同年公開の「法廷遊戯」で杉咲さんの演技が良かったので、こちらも観ましたが微妙に感じました。戸籍のない女性が、難病の妹の戸籍を乗っ取って生きる話、かと思ったらそうでも無かったので、良く分からなかったです。また、北君の存在と喋り方がウザく、「ナイトクローラー」(2015年の洋画)的にこのキャラは間違い無く死ぬ!!と思ってそれが的中したようなのですが、演技派の杉咲さんを起用したのに殺害シーンが省略されていて、かなりガッカリしました。映画のクライマックスだと思うのですが、省略っておかしくないですか。戸籍を売りに来た?女性も死んだのでしょうか。ラストは長谷川との楽しかった過去のシーンが続き、結末がどうなったのか良く分からないし、まともな登場人物もあまりいないので具合が悪くなる映画でした。作家性を出そうとして気持ち悪い内容になったと思いますが、杉咲さんもメンヘラ演技専門になってしまうなら何か残念です。久しぶりにユナイテッドで観たのですが、立体音響で良かったです。
結局は何も話せない自分を観ている
結婚しようとしたら突然失踪する彼女
映画は彼女の過去を追っていく
戸籍のこと、障害者の介護、性暴力
こういうことが存在するにしても、盛り上げすぎるように感じる
主演女優は素晴らしいし、終盤彼女を探し求める男との暮らしに辿り着く構成も納得できる
しかしもどかしさが拭えない
こう生きるしかない今の肯定に、絶望しかないからか
微妙な人間関係
市子の出生の秘密と、彼女の人生に関わってきた人間との微妙な人間関係のうえに生きてきた市子。そうせざるを得ない状況とは言え、彼女の犯した事を認められない部分もあります。全体的には、展開や人物設定などは良かったですが、最後はどうかと思います。市子に最後の展開が何かあっても良かったのでは?
考えさせる白夜行?
新作映画選択の参考としている日経新聞電子版のレビュー評価が以外に普通だったが、キャストと内容から期待を持って映画館へ。
本作のストーリーもそうだが、主人公を好きになってくれる人達は登場してくるが、逆に彼女の孤独を感じる作品となっており、人の他者との関わりについて考えさせるものになった思う。主人公の過去が行きつ戻りつするので、少し分かりにくいところもあるが(パンフにある年表が確認には便利)、ラストも含め観客に委ねるところもあり、いやミスとも違う味わいが残る。「考えさせる『白夜行』」というところか。細かいツッコミどころはあるだろうが、主人公には、どこかで焼きそばと味噌汁を味わっていて欲しいと思わせる作品でした。
自分としては生きられない
時系列が行き来する中で、“市子”という存在が朧気に象られる。
市子は何故、プロポーズの翌日に姿を消したのか。
長谷川ならすべてを話しても一緒にいてくれたように思うが、そこまで信じられなかったのか。
あるいは、無戸籍による負担や過去の罪を背負わせたくなかったのか。
本作は、市子の“外”からしか描かれないため、彼女の真意は分からない。
キキの元を去ったことや、北のところに身を寄せることになった経緯など空白も多い。
それにしても、相変わらずこういう映画に出てくる男は漏れなくクズですね。
宗介は逃げずに受け止めろ、北は押し付けがましい。
逆だったら、ヒーロー気取りの北は受け止めただろうし、チキンの宗介ならストーカー化しなかったと思うと皮肉。
月子と小泉の件は同情も擁護もするが、最後の(冬子はまだしも)北のことはサスガに非難したい。
そこまで追い詰められ、タガが外れたのか。
高校卒業後から“市子”を名乗り続けていた彼女が、自分として生きるのを諦めたことも辛い。
聴き込みに同行させるなど有り得ないので、市子を追うのは刑事だけでよかったとは思う。
あるいは長谷川の職業を記者にするとか。
他にもツッコミどころはあるが、杉咲花の圧巻の演技がある程度相殺してくれた。
最初に逃げ出す時、荷物は先に落とせばええやん…とか言ってはダメですかね。笑
市子の子役が、見た目も声もミニ前田敦子に見えた。
後半ジワジワくる
難しい話をうまく描けている。
難しい役をすばらしい演技をしている。
私はハッピーエンドだと思った。
なぜなら自分の境遇の中で多少なりとも幸せがあり、若い(綺麗なうちに)複数の男性に愛されて散っていったから。
年老いて誰からも相手されず迷惑がられて居なくなるほうが悲惨だと思う。
難点は、不幸が重なるレアな境遇が共感できないこと、髪の毛ボサボサで幸薄そうな市子が男性に執着される(モテる)ところが理解できないところ、プロポーズされたときに「私、戸籍が無いから結婚できへんねん。内縁の妻でええやろ?」で済む話しをなぜ失踪するかなぁ。
存在のない人生
三年間の同棲生活を経て、義則は恋人の市子にプロポーズをする。
彼の差し出した婚姻届に思わず感極まって涙を流す市子。
しかしその翌日、市子は義則の前から姿を消した。
義則は刑事の後藤から市子という人物など存在しないと衝撃の事実を告げられる。
そして市子は山中で発見された白骨死体と何らかの関わりがあるのではないかと示唆される。
物語は市子の小学生時代に遡り、やがて様々な人間の証言を通して謎に包まれた彼女の人物像が浮かび上がってくる。
市子の境遇が明らかになるにつれて、彼女が背負わされた人生の重荷が観ているこちら側にもずしりとのしかかってくるようだ。
まず彼女が背負わされた重荷は彼女自身にはどうすることも出来ない。
複雑な事情から市子は、難病で寝たきりの妹の月子として生きることを余儀なくされる。
幼くして彼女は偽りの人生を歩まされてしまったのだ。
彼女の母親は男関係にもだらしがなく、市子は家庭でも辛い思いをさせられてきた。
そんな彼女が二つの大きな罪を犯してしまうのだが、人生を捻じ曲げられた彼女に他に選択肢はあったのだろうかと思わず考えさせられてしまった。
幸せを望むことも、夢を見ることも憚られるような壮絶な彼女の人生に胸が痛くなる。
そんな彼女を助けたいと願った男が二人いる。
まずは彼女にプロポーズをした義則、そして彼女の罪を消そうとした秀和だ。
しかし彼らの市子を助けたいという想いは本当に市子のためになっているのだろうか。
ただの彼らのエゴなのではないか。
その答えは物語が進むに連れてはっきりしてきたように思う。
彼女の罪を受け入れ、彼女を守りたいと願った秀和。
一方で義則はほとんど彼女の過去を知らずに生きてきた。
最初は秀和の想いの方が強いと思ったが、彼はずっと市子に見返りを求めていたように思う。
だから市子は共に罪を背負った彼の側を離れてしまったのだろう。
一方、義則は純粋に彼女を助けたいという想いだけで彼女の人生を追いかける旅に出る。
市子が彼の側を離れたのは、真実が明らかになることで二人の幸せが壊れることを恐れたからだろう。
市子に重荷を背負わせた母親のなつみが全ての元凶なのだが、彼女の人生もまた幸せからは程遠かったことが分かり、とてもやるせない気持ちになった。
なつみが市子を助けたいと船に乗り込む義則に頭を下げる場面がとても印象的だった。
この映画は観る者に想像する余地は与えるが、最後に明確な答えを出さない。
果たして市子と義則の人生が再び交わることはあるのだろうか。
二人が初めて出会う祭りの夜店の場面が微笑ましいだけに、悲しい余韻が残る作品だった。
よくわからなかった
時代、主役の入れ替わりの多さと、個人的な相性もあって評価ほどの感情がわかなかった。月子がラストまで写真のみでしか出てこなかったので本当にいたのかなとか散漫になった。ラストの呼吸器を外すとこと、母親のありがとうが印象に残った。他は散文的な感じで、感情が入る前に転換していった印象。ラスト、一緒に自殺?した男の子の家に漫画がたくさんあったのが少し違和感があった。あんだけ悩んでる様子で結構、気持ちに余裕あるように見えた。結果、市子は生きているのかいないのか、曖昧に感じたのと、恋人の青年が何故あそこまで執着してたのかと共感できなかった。父親も実の父親なのかよくわからなかったのと、踏切に置いてくる間に見つかりそうだな、とか山にどうやってとか、関心を引くところが省略された演出だったので、多分、相性の問題かと思った。
真イクラ見事(改定)
真イクラ(シャケの娘笑)である杉咲花の真面目な演技は明るい所も暗い所もいいやつなときも嫌な奴の瞬間も関西弁も、その真面目さで納得させられる。「おちょやん」も話題にならなかったかもしれないけどかなり良かった。
スジ的なことを言うと、市子には二つの悲劇が重なって覆いかぶさってきていたが、ここは一つに絞った方が良かったのではと思う。役者では、中村ゆりは年齢を隠さず下品なアピアランスなれど、船を見送る姿などロングになるとその美しさを隠せず、別の意味が出てしまう。ある意味ミスキャスト。
最近「キャラクター」とか「ある男」とか、これまで当たり前と思ってきた基本的なところが実は曖昧な場合もあるということを知らされる。日本の無戸籍者は一万人以上だという。俺が幸せに無知で過ごしてきただけか。わかっているのに簡単にはどうにもならないのかわからないことにも触れる機会が増えたなあ。
追記 殺害場面は一度も映されていない
自分を生きる
闇を抱えた女性の話である。
福祉が介入しなくてはならない家庭は沢山あるが、これはとてもきつい。
自分の存在が無いことになるなんて。
ケーキ屋を友達と開きたいという話になった時、本当に自由で、自分の人生を生きられると嬉しかったのだろうな。長谷川と出会った時も、プロポーズされた瞬間も。
警察が市子に接触する場面はなかったが、時間の問題か。その後が気になる。
杉咲花ちゃん、ムコ…無辜ゲームの次は無戸籍の話か…などとつまらない事を思いつつ、難しい役どころでしたが演技が素晴らしかった。
若葉さんも、この役がよくあってて良かったと思う。
今日は「天外者」の特別上映も見てきたので、森永悠希君二本立てでした。
過去に別れを告げる再生物語とその葛藤
プロポーズされた翌日に失踪した市子。恋人は、失踪届けを出し、警察と調べていく内に、市子の戸籍自体がないことがわかる。市子とは誰なのか?というセンタークエスションがこの映画のひとつのテーマ。
市子の小学時代、高校時代、ここ数年間等、過去のフラッシュバックして過去シーンを織りなす中で、次第に「市子」は誰かがわかってくる。難病の妹?(姉?)をもつ過去。さらには父親がわからず、継父と暮らしていた過去。この継父がだらしない酒浸りの男だったらしく。。さらには、高校時代に「市子」が一途に好きだった男子高生が居て。。
込み入った糸がさらに絡み合い、なかなかほぐれないもどかしさも感じながらすすむ。映画終盤になって、次第に頭が整理しようとすると、「市子」は母親が妊娠中に父親が失踪して戸籍がないまま育ったこと、難病の妹の延命医療器具を外したこと、そうしてその妹に成り代わって生きていたこと、さらにはその男子高生と継父を殺害したこと、一人の少女が背負うには重すぎる過去を背負いながらさまよっていた。
それが過去を忘れ、いまを生きようとしてケーキ屋を開店する夢に向かって再生していたとき、好きな男性と暮らして結婚という幸せが怖くなってしまったのだろうか、失踪してしまう。過去を背負いながらも、いまを生きようとする物語ととらえたい。一方で、幸せをいざつかもうとするとそれが怖くなってしまう(=自分は幸せになっていい人間だろうか?)、幸せが怖い、そんなジレンマも感じる、複雑な映画だ。
PS1.
市子は退廃的な感じながら奔放で笑顔も可愛く、そのツボにハマった男を虜にする女の子。いまの恋人も、高校時代の2人の男子高生も。こんな子の背景にこれほどの重い過去とだらしない母、継父の存在があるということか。確かに真面目な父母に恵まれた子はこんな退廃さを身にまとわないだろう。
PS2.
映画館の携帯のマナーモードはバイブレーションはNGです。ほんのときおりでも、ブブーって成る音は微かでも気になります。映画館でいうマナーモードは、飛行機モードか電源を切るという電波を受信しないモードであることを忘れずに!
今日はそんなハズレな観客が近くにいました。どうかハズれを引かないようにって祈りながら、映画始まるまで近隣の観客の動作みてます。ハズれそうなひとはだいたい雰囲気でわかるようになりました。予め注意したいくらいですが、「お客様同士のトラブル」になりかねないのでやめてます。
いったいどちらなんだ⁉️
どうしても『ある男』との違いを考えてしまう。
かなり大雑把に言うと、
①『ある男』は、過去の自分を無かったことにするために別の男の過去ごと手に入れた。
②『市子』は、法律上、無の存在である自分に未来をもたらすために別の女の過去を塗り替えて引き継いだ。
①は不当な手段を用いており、〝違法〟
②はもちろん法律違反であるが、反社会的行為(ここでは暴力団等に限定した意味ではなく社会に不安を招くという広義の意味)である殺人まで犯しているので〝不法〟
たぶん、辞書的には違法と不法とで、それほど明確な相違はないが、敢えて自分なりの感覚で①と②の違いを表すとすれば、そういうことになる。
法律を違える(たがえる)ことと法律を無いものとして否定することはやはり違う。
ある男へは一定の共感性が生じるのに、市子には不運や不幸への憐憫の情は強いものの、共感性は湧かない。
杉咲花さんの鬼気迫る演技に気を取られていると、重いけれどどこか深くまで沁みてくる映画のように勘違いしてしまいそうになるが、冷静に眺めてみるとなんとも不可解で捉えどころがないだけの凡作にも見えてくる。
いったいどちらなんだ⁉️
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