劇場公開日 2023年10月20日

「壮大かつ緻密にデザインされた近未来の神話」ザ・クリエイター 創造者 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0壮大かつ緻密にデザインされた近未来の神話

2023年10月30日
PCから投稿

ギャレス・エドワーズは我々が触れたことのない静かなる驚きの映像世界を展開させる人なのだと改めて思い知った。とりわけ本作は舞台となる近未来を断片的に垣間見せるのではなく、地球規模で壮大かつ緻密にデザインし、今すでにAI技術の転換期の隣り合わせにある我々に「手の届きそうな距離のリアリティ」として実感させてくれる。それでいて悲観的なビジョンばかりを提示するのではなく、深い感情や体温で満たされたエモーショナルな物語を根付かせていることが極めて尊い。数々の名作映画の影響を感じる一方、それ以上にエドワーズの過去作を思い起こす瞬間も多かった。実写と特殊効果を生々しく融合させた『モンスターズ』、人間の理解や常識を超えて”生命体”を広く見つめた『GODZILLA』、一つの使命を繋ぐため身を捧げる『ローグ・ワン』という旅路を辿ってきたからこそ、この作品は今、まさにキャリアの集約地のごとく産声を上げたのだろう。

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牛津厚信