劇場公開日 2023年12月15日

  • 予告編を見る

「まるで印象派の絵画のような美しさ」ポトフ 美食家と料理人 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0まるで印象派の絵画のような美しさ

2024年2月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

途中の森の中での会食場面など、まるで印象派の画家たちがモチーフにしてきたような世界だなぁと思って観ていたら、どうやら、描かれている年代が19世紀後半ということで、そりゃそうかだった。

「料理界のナポレオン」と呼ばれる美食家のドダンと、そのドダンの考えたレシピを20年以上に渡って実現し、時にはそれを超えた料理を創り出してきたウージェニー。その2人の物語なので、映画の大半が調理場面や食事場面なのだが、どの場面をとっても、文句のつけようがないほど美しい。そして、何よりどの料理も美味しそう。

最初、「美食家」と「料理人」との関係が、今一つつかめなかった。もっと言うと、観終わってからやっとわかった(ドダンは海原雄山なのか!)くらいなので、互いに求めあっていながら20年も結婚しなかった理由がよく分からなかった。けれど、その関係がつかめると、そこにあった彼女自身の揺るぎないプロとしてのプライドとか、彼女自身の映画の中での振る舞いの意味とかがだんだんとわかってくる。

映画のあまりの穏やかさに、近くの方から寝息も聞こえてきたが、それは、「ノーナレ」のドキュメンタリーのように、余計なナレーションや音楽を入れない演出によるものだろう。それが観ていて、とても自然で心地よかった。(ラストにタイスの瞑想曲が流れて初めて、そういえばBGMがなかったことに気がついた)

もう一つ、パンフレットがよくできていて、映画に登場する料理のレシピもついているのでおすすめ。

sow_miya
きりんさんのコメント
2024年2月25日

共感&コメント
ありがとうございました。
sow_miyaさんと同じ食卓を囲んで、笑いながら舌鼓を打っているような心持ちです。

恐らく長い原作の小説なのでしょうね、
邦題の「ポトフ」は、実際は、皇太子のための料理で、仕事仲間で恋人のウージェニーに作ってやったのは別の料理だった訳ですが、そこはまあ許せてしまえる程度の御愛嬌でした。

そして
時を経て、ウージェニーの死後、「新しい料理人(女性)発見」の知らせに家をすっ飛んで飛び出して行くドダンの姿。
「愛はどこに!」と憤慨する向きもあるでしょうが、彼は本物の料理馬鹿だったのだと、微笑ましく思った僕です。

ではまた。

きりん