劇場公開日 2023年5月19日

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「メラねえ、カワユス。」縁路はるばる Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5メラねえ、カワユス。

2024年2月15日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

幸せ

萌える

※2024.4.17追記&☆0.5上乗せ(笑)

香港は小さな島々(合計しても面積は東京都の半分)だが、740万人住んでいる。
何かと比較されることのあるシンガポールよりも多い。

本作は、ちょっとした「香港ガイド」だ。
決して観光スポットではないが、繁華街しか知らない私は、この作品を通じて香港に大いに魅力を感じた。

遠路はるばる、の「遠」を「縁」に置き換えている。
原題『緣路山旮旯』をほぼ忠実に翻訳している。
主人公のモテないエンジニア、ハウをカーキ・サムが好演している。
ハウを巡る恋のお相手候補として5人の美しい女優が出てくるが、みなさん、なかなか魅力的であり、全員が各々違う事情で異なる辺境(と言っても狭い香港の中だが)に住んでいる。

◆会社の同僚役で闘病生活を余儀なくされるエイリー:シシリア・ソー(蘇麗珊)
◆駐車場が隣で偶然同じ車種に乗っているミーナ:レイチェル・リョン(梁雍婷)
◆とにかく早く結婚したいファファ:クリスタル・チョン(張紋嘉)
◆5人の中でも一番辺鄙な郊外に住む不思議系クリエーター、みんなのマドンナ「女神」リサ:ハンナ・チャン(陳漢娜)
◆主人公の大学同期、元タレントで知名度抜群のメラニー:ジェニファー・ユー(余香凝)

中でも、「メラねえ」ことメラニー役のジェニファー・ユーは、若かりし頃の酒井和歌子の雰囲気があり、美しいだけでなく、活発、オトコまさり、そんな感じがとても良かった!

印象深いシーンをひとつだけ、、、

ミーナとようやく交際に発展した主人公ハウだが、メラニーと食事に出掛けたレストランで、偶然にもミーナと遭遇してしまう(ミーナも男性タレントと食事に来ていた)。
その場はお互いに気付かない顔してやり過ごすのだが、後日、デート中のミーナから「女とレストランにいたでしょ」と突っ込まれる。
気付かれてないと思っていたハウは、あわあわモードに入ってしまい、ミーナも他の男と食事を楽しんでいたのに、なぜか一方的に防戦に回ってしまう、イケてないハウくん(笑)。
必死にメラニーがただの大学同期だということをスマホに保存してある写真を見せながらアピールするのだが、「見ないわよ、見ないって言ってるじゃない」と言いつつも横目でスマホの写真を確認したミーナは、
「おぉ、メラニー。。。」
と小声で嘆息し、(この女には勝てないな)という表情を一瞬みせるが、勝ち気なミーナはすぐに立ち直り、
「メラニーが理系の大学にいくわけないじゃない」
空気を読めないハウ、
「いや!本当だって。おれたちは、メラニーじゃなくて、メラ姐(メラねえ)と呼んでた」

と、ミーナにトドメを刺すような ″仲良しアピール″をしてしまう。。。
こういうミス、やっちまうよな。
これをキッカケに、ミーナはよそよそしさを増していき、ハウくんは別れを告げられてしまう。
ミーナは泣きながらクルマを運転し家路につく。

ミーナは、自分からハウを振っておいてなぜ泣くんだ?

と戸惑っていたが、後半、タネ明かしされる。

例の鉢合わせしたレストランで、ハウとメラニーはテーブルの上で手を繋いでたのだ。
これは、いたずら心満載のメラニーが、タレントと食事に来ているミーナに、わざと当てつけるよう仕掛けたものだが、ミーナはそれを見て「ハウにとって自分は本命じゃない」と思ったに違いないだろう。
そりゃ泣くわな。

人騒がせなイタズラを仕掛けたメラニーだが、実は。。。

タレントを辞め、世間の好奇の目を避けるように生きていたメラニーに声をかけてきて、エンジニアとして第二のステージを用意してくれたハウくんに対して、
メラニーは信頼と好意を抱いていたのだろう。
(本作を3回見直して、このように解釈しました笑)

モジモジくんの主人公と、個性的で美しい女優陣が織りなす、ほのぼのラブストーリー。
挿入歌もなかなか良い出来になっていて、
昭和のラブストーリーを思い出す。

Haihai