劇場公開日 2023年8月11日

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「炎上を恐れてすぐに取り下げたり謝罪したりする日本企業は見習ってほしい」バービー えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0炎上を恐れてすぐに取り下げたり謝罪したりする日本企業は見習ってほしい

2024年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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すべてが完璧で今日も明日も明後日も《夢》のような毎日が続くバービーランド! バービーとボーイフレンド? のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン。しかし、ある日突然バービーの身体に異変が! 原因を探るために人間の世界へ行く2人。しかし、そこはバービーランドとはすべて勝手が違う現実の世界、行く先々で大騒動を巻き起こすことに─?!彼女たちにとって完璧とは程遠い人間の世界で知った驚きの〈世界の秘密〉とは? そして彼女が選んだ道とは─?予想を裏切る驚きの展開と、誰もの明日を輝かせる魔法のようなメッセージが待っている─!(公式サイトより)。

徹底した世界観の作り込みと、コメディ要素たっぷりの脚本でなければ表現し得ないメッセージがあるのだなーと感心した作品。恐らく、アメリカ人には抱腹絶倒な内輪受けギャグも満載なのだろう。

なにより全面協力したマテル社(バービーを開発販売する実在の会社)の振り切り具合が小気味よい。一見、ブランドを棄損するようなストーリー(ルッキズムや白人至上主義等、バービーという人形自体が生んでしまった負の価値観を認める脚本、時代遅れ感のあるバービーCEOや幹部連の描かれ方等)だが、根底には「人形」への深い洞察がしっかりとあり、長年にわたって移り行く世の価値観に同社なりに全力で回答を出し続けてきたことへの自負は決してぶれていない。炎上を恐れてすぐに取り下げたり謝罪したりする日本企業は見習ってほしい。

マーゴット・ロビーは単に美しいだけでなく、実はかなり難しい役どころを演じきった。山崎賢人とはひと味違う役者魂が感じられる。CEO役のウィル・フェレルもかなり良かった。「ドライブ」で演じためちゃくちゃクールな役が好きだったライアン・ゴズリングのことを今度、どう見ていいのか分からない。

えすけん