劇場公開日 2023年3月17日

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「「落ちっ放し」という訳でもないけれど…」零落 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0「落ちっ放し」という訳でもないけれど…

2024年3月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

作品が売れている間は、アシスタントとの関係も良く、あまつさえ、自分の担当編集者とも結婚してしまうほどの「人生バラ色」だったようですけれども。
しかし、人気の連載が完結し、次が続かなければ、たちまちそれらの関係性が崩壊し、風俗漬けの自堕落な生活に陥っていく…。
その「脆(もろ)さ」を描いたということなのだとは思いますが、そこには「表現者(=クリエイター)」としての苦悩もあったことと思います。
ある意味では、常に「無」から「有」を生み出し続けなければならないのが、表現者(=クリエイター)の宿命と、評論子は思います。

風俗嬢と客とが、こんな関係性を築くかは別論として、それなりの関係性を築いていたちふゆには「宇宙飛行士ではない何か」としか明かさなかった自分の職業を、そこまでの関係性を築いていない後の風俗嬢には「漫画家」と明かしたということは、妻やアシスタントとの破局を乗り越えて、自分が漫画家(表現者=)という職業を人生の生業として選び取ったという現実をを、ちゃんと自分の中に受け入れたということなのでしょうか。

それなりの良作ではあったと思います。評論子は。

(追記1)
「犬は人(飼主)に懐(なつ)くが、猫は家に懐く」とも言われますけれども。
ちふゆの「猫目」は、一見すると人(相手)に懐いているように見えて、その実は、客には懐くものの、客である人そのものには懐かない(素性=陰の部分を他人には見せない)ことの象徴だったように思えてなりません。評論子には。
(そういうところには行ったことがないことに、一応なっているのて、評論子には、しかとは分かりかねますけれども。)

(追記2)
光の使い方が独特だなぁと思いました。本作は。
昼間のシーンでも、あえてカーテンを閉めて、光量を制限する。
人物を、あえて逆光気味で撮る。
それでいて、夜(風俗嬢と過ごすラブホテル)のシーンの明るさ・鮮やかさ。
深澤の鬱屈した心理の描写としては、活きていると思いました。

talkie
talkieさんのコメント
2024年3月23日

humさん、コメントありがとうございました。
また、別の作品でお会いできればとも思います。
今後ともよろしくお願いいたします

talkie
humさんのコメント
2024年3月11日

共感ありがとうございます。
特に追記についてなるほどなと思いながら読ませていただきました。

hum