バビロン

劇場公開日:

バビロン

解説

「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーら豪華キャストを迎え、1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に撮り上げたドラマ。チャゼル監督がオリジナル脚本を手がけ、ゴージャスでクレイジーな映画業界で夢をかなえようとする男女の運命を描く。

夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。

共演には「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア、「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング、監督としても活躍するオリビア・ワイルド、ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリーら多彩な顔ぶれが集結。「ラ・ラ・ランド」のジャスティン・ハーウィッツが音楽を手がけた。

2022年製作/189分/R15+/アメリカ
原題:Babylon
配給:東和ピクチャーズ
劇場公開日:2023年2月10日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第95回 アカデミー賞(2023年)

ノミネート

美術賞  
衣装デザイン賞  
作曲賞 ジャスティン・ハーウィッツ

第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)

受賞

最優秀作曲賞 ジャスティン・ハーウィッツ

ノミネート

最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ)  
最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ) ディエゴ・カルバ
最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ) マーゴット・ロビー
最優秀助演男優賞 ブラッド・ピット
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(C)2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

映画レビュー

4.5デイミアン・チャゼルの音楽センスが健在。3時間超は配信視聴向きかも

2023年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

楽しい

映画の道に進む前はジャズドラマーを志し、実体験に着想を得た「セッション」やミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」でその音楽的センスを演出に活かしてきたデイミアン・チャゼル監督。この「バビロン」でも劇中曲やBGMの使い方だけでなく、長回しと短いカット割を使い分ける編集のリズムにもスリリングな音楽のようにぐいぐい引き込まれる心地よさを覚えた。

あいにく公開時に見逃して配信での鑑賞。序盤の乱痴気騒ぎのパーティーや日没間際の野外ロケでのシーンなどは大スクリーンに映えそうだが、トイレを気にせず軽く飲みながら観られたのは良かった。

チャゼルが「セッション」で名声を博す前の2009年にはすでに本作の構想があったが、無名監督にしては壮大すぎる企画とみなされたのか売り込みは不発。だがプロデューサーのすすめで、業界での成功を夢見る男女の軸は残しつつ、時代設定を変え、ミュージカル映画としてストーリーを作り直したのが「ラ・ラ・ランド」だという。ちなみに「バビロン」のネリー役には当初エマ・ストーンが予定されていたが、コロナ禍による撮影の遅れでストーンが降板したのちマーゴット・ロビーが起用された。

古き良きハリウッドを描き、ブラッド・ピットとマーゴット・ロビーが共演している点でも「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と比較されるが、個人的には「バビロン」の方が好み。往年の“ハリウッドの夢”を支えた多様な人種や出自の人々すべてに対する憧憬と敬愛が伝わってくるのが、チャゼル監督作品の美点だと思う。

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高森 郁哉

3.5ロマンチストな監督が稚気大開放にして描くハリウッド混沌期

2023年2月28日
PCから投稿

まだまだ有象無象がひしめくカオスだった1920年代のハリウッドから、清廉潔白を表看板にした大資本の時代へ。その劇的な変化を、サイレントからトーキーへの過渡期と重ね合わせるのがこの映画の趣向。乱痴気騒ぎに過ぎない序盤のパーティーシーンには面白みを感じられなかったが、映画の撮影シーンの混乱から作品が生まれるエネルギーには惹きつけられる。ただ、ケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」を手本にした、かなり露悪的にカリカチュアされたハリウッドという印象ではあり、歴史の再現というよりも一種のダークファンタジーだと思って観た。良くも悪くも人生観や世界観が未成熟く思えるのはこれまでのチャゼル(どうやら発音はシャゼルが正しい)と変わらないし、それが個性でもあり、物足りなさでもあるのだが、チャゼルが一貫して極度のロマンチストであることは浴びるほど伝わってきたので、やっぱり嫌いになれない。糞尿ネタで嬉しがってんじゃねえよと眉をひそめつつも、どこかしら可愛いんだよな。

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村山章

3.0トーキーで失ったもの

2023年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

サイレントからトーキーへと移り変わる時代のハリウッドの狂騒と哀愁。『雨に唄えば』の変奏として見ごたえはある。だが、何か足りないというか、いまいち本物の狂気感がないなという感じがある。メインプロットとサブプロットのバランスをどう考えて構成したのかとも感じた。マーゴット・ロビーとブラッド・ピット、2つのメインプロットに、字幕作りのアジア人女性や黒人ジャズミュージシャンのサブプロットなどが挿入されていく。マイノリティの置かれていた立場の検証として興味深いのだが、映画全体にどのような効果を及ぼしたか。
サイレントからトーキーへと変わり、前向きな変化だけがそこにあったわけではない、滅んでいくものへの哀悼がある点はこの映画の美徳だろう。笑われ、退場させられた人たちにも人生はあった。
個人的にはトーキー化によって映画が何を失ったのかを端的に描いた点が良かった。マーゴット・ロビーがマイク位置の場ミリのポイントに上手く立てないで苦戦するシーンがある。華麗に踊りながら行こうとしたらずれてしまって、音が拾えない。だから、ただ地味に歩いて移動するしかない。自由奔放な動きでスターになった彼女の没落は、映画が自由な動きを失ったことと符号する。声を得た代わりに運動を制限されたのがトーキー化だったわけだ。

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杉本穂高

4.0美醜と狂騒のステップと、それを上回る創造性の爆発と。

2023年2月25日
PCから投稿

本作はキメラのように幾つもの要素を持つ。一つは美醜の混濁した狂騒劇としてのイメージ。とりわけ冒頭パーティーで高鳴る音楽に乗せて夥しい数の人々がステップを加速させていく描写は圧倒的だ。が、かと言ってチャゼル監督がこの序盤30分のうちに巧く各キャラを印象付けられたかというと疑問が残るし、しつこいほど繰り返されるビザールな描写に(汚物が垂れ流されたり)嫌気が差す人もいるかもしれない。その一方で、本作はハリウッド黄金時代の空気感と、『ジャズ・シンガー』による業界の大激震を刻んだ秀逸な”映画史の教科書”のようなところがあり、時代の裂け目に堕ちていく人々の悲哀とサスペンスと『ラ・ラ・ランド』にも似た悲恋と郷愁をも併せ持つ。正直、長すぎるしまとまりに欠けるものの、ラストの創造性の爆発には驚嘆したし、本作に強く惹かれる自分がいるのも確かだ。少なくとも燃える野心と実験精神を持った怪作であることは間違いない。

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牛津厚信
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