劇場公開日 2025年1月31日

「池田理代子による原作劇画のパワーを再認識」ベルサイユのばら 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0池田理代子による原作劇画のパワーを再認識

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

萌える

宝塚の舞台はもちろん、TVアニメにもなった人気劇画初の劇場用アニメをこのタイミングで観ると、改めて池田理代子の原作がいかに優れていたかがよく分かる。フランス革命という史実をベースにした男装の麗人、オスカルと、オスカルの従者で幼馴染みのアンドレの悲恋物語は、拘束が強い時代だからこそ価値がある、自由の意味を問いかけて来るのだった。あの『ベルばら』ブームの本質はここにあったのかという驚きと共に。

アニメ映画としての視覚効果については議論が分かれるかも知れない。でも、隙間だらけのスクリーンを埋め尽くし、そしてそれを凌駕する物語の熱さに、思わず込み上げるものがあったことは事実だ。

それにしても、オスカルとアンドレの関係性に潜むジェンダーというテーマが改めて浮き彫りになったこと。そこにも、池田理代子の視野の広さを感じないではいられない。

昔、話題になった劇画のアニメ化という表層だけで判断せず、劇場に足を運ぶこそをお勧めする。

清藤秀人